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公認心理師の職責

公認心理師とはどのような資格なのか、定義と定められている業務、欠格事由、名称独占、義務についての記事です。

1. 定義と業務

公認心理師は公認心理師法で定められた国家資格です。資格試験に合格し、公認心理師登録簿に登録することで名乗ることができます。合格しただけでは名乗ってはいけなくて、登録が必要です。
保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、心理支援と心の健康に関する知識の普及を行ないます。

公認心理師法第3条で定められた欠格事由があって、次の人は公認心理師になることができません(公認心理師登録後に欠格事由に該当する状態になった場合には登録が取り消されます)。

一 成年被後見人、被保佐人
二 禁固以上の刑(禁錮、懲役、死刑)に処せられ、刑の執行終了後から2年経っていない
三 公認心理師法その他保健医療、福祉、教育に関する法律を犯して罰金の刑に処せられ、刑の執行終了後から2年経っていない (刑事罰には科料、罰金、拘留、禁錮、懲役、死刑があり、この関連法律を犯して禁錮以上の刑に処せられると欠格事由二を満たすので、欠格事由三では罰金についてしか記載がありません)
※科料については現在法的な定めはありません。

これについては第1回公認心理師試験北海道追加試験で出題されています。

公認心理師には大きく分けて次の4つの業があります。
①心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
②心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行なうこと。
③心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行なうこと。
④心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行なうこと。
要するにアセスメント、要支援者への援助、要支援者の関係者への援助、心の健康教育の4つですね。


2. 名称独占

公認心理師法第44条では、公認心理師でない人はこの名称を使用してはならないし、たとえ他の心理系の資格を持っていても"心理師"という語を用いて名乗ってはいけないと定められています。("心理士"や"カウンセラー"などと名乗るのは構いません。)
この規定を破ると30万円以下の罰金です。

名称独占とは、資格を持っている人以外はその名称を名乗ってはいけないことです。名称を使用しなければ、資格を持っている人と同様の業務を行なっても問題ありません。公認心理師は名称独占がある資格です。
紛らわしいのが業務独占で、こちらは資格を持っていないと仕事そのものすらしてはいけないことを指します。医師、薬剤師、弁護士などが代表的です。


3. 義務

公認心理師法には、4つの義務が規定されています。

まず40条で、公認心理師はその信用を傷つけるような行為をしてはいけません。信用失墜行為には、守秘義務違反などの職務上の行為だけではなく、勤務時間外の私生活上の行為(例:SNSで職務遂行に支障をきたしかねない不適切な差別発言をするなど)も含まれます。

41条で定められているのが守秘義務です。正当な理由(例:心理面接中に特定の人物への殺害予告をしたクライエントがいた時、その被害者になりうる人を保護するために必要な通報をするなど)無く、業務で知り得た秘密を漏らしてはいけません。これは公認心理師でなくなった後についても同様です。
守秘義務に違反して告訴されると1年以下の懲役または30万円以下の罰金です。

3つ目の義務は42条で定められています。公認心理師は、支援が総合的かつ適切に提供されるように、保健医療、福祉、教育といった関係者と連携を保たなくてはなりません。特に、精神科等に通院しているクライエントに何か大きな問題が起こったら、まず主治医に指示を求める必要があります。法律で他職種協働が明記されているわけです。
医師との連携は別の記事で説明しています。

そして4つ目が資質向上の責務です。43条で規定されています。公認心理師は、国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務内容の変化に適応するため、知識と技能の向上に努めなければなりません。努力義務です。


4. 職業倫理

これは法律に定められていることではないのですが、心理専門職には守るべき倫理があります。

金沢吉展『臨床心理学の倫理を学ぶ』では、次の7つの原則が定められています。
第1原則:相手を傷つけない、傷つけるようなおそれのあることをしない
第2原則:十分な教育・訓練によって身につけた専門的な行動の範囲内で、相手の健康と福祉に寄与する
第3原則:相手を利己的に利用しない
第4原則:ひとりひとりを人間として尊重する
第5原則:守秘義務(これは公認心理師法第41条で定められています)
第6原則:インフォームドコンセントを得て、相手の自己決定権を尊重する
第7原則:すべての人々を公平に扱い、社会的な正義と公正と平等の精神を具現する

第1原則と第3原則に則ると、心理士はクライエントと多重関係を持ってはいけません。

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つい先日Twitterで「友だちが心理士と付き合い始めた。どこで出会ったのかを聞くと『カウンセリングの時のセラピストで、セッションの最終回に告白されたの』と言っていた」というツイートを見かけたのですが、その心理士の行動は絶対にしてはいけないことです。


今回はここまで。国家資格である公認心理師、責務は重大だなと思いました。
参考↓


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