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抑うつに関する認知理論

今回は抑うつに関する認知理論を2つ説明しようと思います。
うつ病については『気分障害』という記事の1章目に書いたので、そちらも合わせてご覧ください。

1. 抑うつスキーマ仮説

Schachterは感情二要因理論で「同じ生理的な状態でも、それに対する認知的ラベル付けが異なると、体験される感情が異なる」と述べています。その考え方を基にしてBeckが提唱したのが抑うつスキーマ仮説です。

スキーマとは物事に対する知識体系のことで、パーソナリティに比較的近い安定的な概念です。
人間の認知過程は、スキーマ→推論の誤り→自動思考の順番に流れていきます。うつ病の人を調べると、「自分は人間として失敗者である」といったような抑うつ的なスキーマを持っていることがわかりました。このようなスキーマを持っていると、例えば仕事で失敗した時にスキーマが活性化され、その日たまたま失敗しただけだったのに毎日仕事に失敗しているかのような過度の一般化という推論の誤りを経て、「やっぱり自分は失敗者なんだ」という自動思考が起こってしまい、抑うつが喚起されます。

つまり、この仮説では、同じ出来事に対して人は個々の捉え方をしていて、その結果として生じる抑うつの程度が異なるということが述べられています。

2. 抑うつ処理活性仮説

Bowerは、感情ネットワークモデルといって、ある感情が生じるとその感情と結びついている記憶を思い出しやすくなったり解釈の仕方が気分と一致した方向に向きやすくなったりする現象を見つけました。ここから発想を得てTeasdaleが提唱したのが抑うつ処理活性仮説です。

この仮説では、気分の落ち込みが生じると抑うつ的な情報処理が活性化し、その結果としてネガティブな記憶を思い出したり体験をネガティブに認知しやすくなったりするので、抑うつ気分が生じるのだと考えられています。

気分が落ち込んでいる時はどうしても物事を悪い方に考えてしまい、些細なことで落ち込んだり自分を責めたりしてしまう現象は、この仮説で説明可能です。


今回はここまで。抑うつや認知に関する記事がぐちゃぐちゃで、ところどころ他の記事と内容がかぶっていてすみません…

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