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異文化間カウンセリング

1. 異文化間カウンセリングとは

異文化間カウンセリングとは、別の文化的背景を持つ個人・集団・社会の間で行なわれるカウンセリングのことです。
"異文化"というと外国人を想像しますが、必ずしもそうではなく、周りと同じ文化を共有していない人一般を指します。要は文化の役割に重点を置いたカウンセリングです。

2. 異文化への適応の援助

人が今までとは違う文化環境に置かれた時、さまざまな反応が起こります。

初期段階でみられるのがカルチャーショックとリエントリーショックです。
カルチャーショックとは、慣れ親しんだ生活習慣から離れて不慣れな環境に身を置いた時に生じる不安や当惑のことです。
リエントリーショックとは、異文化から元々自分がいた文化に戻った時に生じる動揺を指します。
これらのショックの程度や適応度は個人によって異なります。困難を感じている場合には、新たな社会で必要とされる社会的スキルの獲得を促す働きかけ(心理教育、SSTなど)をするとよいでしょう。

異文化に適応してしばらく経ってから、アイデンティティの葛藤など個人の内的な問題が生じることもあります。その人自身が複数文化の中にどのように自己を位置づけるかというアイデンティティの問題への取り組みが必要とされます。

3. カウンセラーに必要なこと

Arthurは、異文化間カウンセリングの際にカウンセラーが身につけておくべき能力を3つあげています。
①気付き:カウンセラー自身もある文化の影響を受けた存在であって、その文化的特徴がクライエント理解に影響を及ぼしていると自覚すること
②知識:ある集団の文化が個人に与える影響や異文化間の対人関係について理解しておくこと
③スキル:文化的背景が異なる人々が使いやすい形にサービスをデザインし、提供するカウンセラーの技量

留意点としては、文化的少数者は社会的弱者であることを理解しておくこと、クライエントが生きている現実を理解しておくことなどがあるでしょう。

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