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アイデンティティ・ステイタス論

人間にはアイデンティティ(自我同一性)というものがあって、自分が今までどうやって生きてきて、これからどう生きていくのかを考え、決断を実行しながら日々を過ごしています。
発達心理学者のJ. E. Marcia(1964)は、アイデンティティがどの段階にあるかについて、4つに分けました。

まず、危機関与の定義をします。
危機とは、人生の重要な領域(進路、仕事、恋愛、政治など)について真剣に悩み考えて選択した経験のことです。
そして関与とは、自分で選択した結果に対して積極的に取り組んでいることを指します。

アイデンティティ・ステイタスは、この危機と関与を経験したかどうかで決まります。
自分の意志に沿って生きるということをあまりしておらず関与していない同一性拡散、どう生きるかを探索している途中にある(=危機を経験していないか経験中の状態にある)けれど取り敢えず積極的に生きている(=関与している)早期完了、危機の経験も関与もまだ不十分なモラトリアム、自分の人生について十分に考えて(=危機を経験していて)自分の意志で積極的に生きている(=関与している)同一性達成、この4つの状態があります。
図にするとこうなります。

アイデンティティ

同一性が拡散している人は、自分が何者で何をしたらいいのかわからずに途方に暮れています。ネガティブな考えに陥ることがあります。
早期完了している人は、他者や社会の価値観・期待をそのまま疑うことなく実行しています。そのため、物事が上手くいっている時には安定したパフォーマンスを見せますが、自分の意志を持っていないために、上手くいかない時に精神的な脆さを示しがちです。
モラトリアムの状態にある人は、いろいろなことをしてみて何が自分に合うかどうかを探索中です。
同一性達成に至っている人は、環境変化に対する柔軟性や安定した対人関係を持つことができます。

アイデンティティ・ステイタスはその人の人生の中で一定というわけではなく、様々な危機を経験したり関与したりする中でどんどん変わっていくものです。人間の発達のひとつとして考えることができます。

今回はここまで。
参考↓


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