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対象喪失と喪の作業

臨床心理学において対象喪失とは、愛着や依存の対象を失うことです。対象には近親者、友人、配偶者、住み慣れた環境、居場所、人生の目標、ペット、身体的自己像などが含まれます。なお、対象と一時的な別れをしただけで再会や修復が可能である場合は、喪失ではなく別離と呼びます。

対象喪失の体験をすると、多くの人は喪の作業を行ないます。対象を失ったことによる悲嘆から次第に離脱していく過程で、主に次の4段階で進んでいきます。
第1段階目は"無感覚の段階"です。対象を失ったショックで呆然とします。失ってから数時間~1週間程度持続します。
第2段階目は"否認と抗議の段階"です。対象を失った事実を受け入れられず、否認し、なんとか取り戻そうとします。
第3段階目は"混乱と絶望の段階"です。対象喪失の現実を認め、諦め、絶望に襲われます。この段階は最も精神的に酷で、うつ病になったり物質へ依存したりする人もいます。
そして第4段階は"離脱と再建の段階"です。失った対象を客観的に見ることができるようになり、落ち着いた心を取り戻して日常生活を送ることができるようになります。

しかし、中にはこの喪の作業がうまく進まず、悲嘆や絶望の期間が通常範囲を超え、専門的な治療が必要になる人もいます。DSM-5で「持続性複雑死別障害」として扱われています。この治療・介入には、認知行動療法や、同じ経験をした人とのグループセラピーなどが有効とされています。

短いですが、今回はここまで。喪の作業の4段階はしっかりおさえておきましょう。
参考↓


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