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「バ美肉おじさん」呼称が好きという話

まず始めに、私はバ美肉おじさん・Vtuberとして活動しています。
趣味でゆるゆるやってるタイプです。

私は「バ美肉おじさん」という言葉が好きな方です。
ただ、語感の部分を除いて「バ美肉おじさん」という単語自体にはこだわりがないので、同じ意味の別の言葉が生まれるならそれでも構わないと思っています。

また、私の場合Vtuber・バ美肉おじさんとしての自己認識は「美少女を『演じている』、声をあてている中の人はおじさん」という認識です。
たぶん、これはそんなに多数派ではない認識なんですが、どうなんでしょう。この辺りは、「俺自身が美少女になることだ」という方や「私は『私』としてバーチャルに存在する」という方とは意見のずれがあるかもしれません

この記事では「バ美肉おじさん」当事者として「バ美肉おじさん」という言葉が何故好きなのか、逆になぜ嫌われるのか、眺めていきたいと思います。


◆「バ美肉おじさん」とは

まずはWikipediaを見ましょう。「バ美肉」で記事がありますね。
今回は特に「バ美肉おじさん」の話だけにしたいと思います。

例えば成年男性が受肉すれば「バ美肉おじさん」と呼ばれる[8][7]。本来は「バ美肉」という言葉は、男性に限らず、企業などによるプロデュースではなく自分でキャラクターを作り、それに声を当ててサイバースペースで活動することを指していたが[12][13]、現在[いつから?]では自分でキャラクターを制作したか否かに拘らず、男性がボイスチェンジャーなどを使用し、女性として立ち振る舞うこと、または、その人(バ美肉おじさん)を指すことも多い[14][15][16][17]。


◆自虐的・見下すニュアンスをどう受け取るか

Wikipedia「バ美肉」から引用

おじさんが自分で絵を書いて自分で動かしたLive2Dの体に受肉して、更に自分でボイスチェンジャーを使って声帯を弄って、自分で声を当てた地獄のようなコンテンツです。
マグロナ 自らの動画内にて[5]

「地獄のようなコンテンツ」というマグロナさんの言葉もありますが、
「バ美肉おじさん」には自虐的・見下すニュアンスが含まれていると受け取る方が多めだと思います。

自虐的な印象に対しての名乗り方は結構タイプが分かれるようなイメージがあります。

「えーっ?♡ 可愛いって?♡ でも、私、バ美肉おじさんなんだよー!♡ ざぁこざぁこ♡ バ美肉おじさんに可愛いって思っちゃうざぁこ♡」という上げるために一旦下げるタイプ
「私……バ美肉おじさんなのでみなさんみたいに可愛くはなれません……」という単純に自分に自信のないタイプ
「あっ、自分、バ美肉おじさんなんで」という可愛いと言われればラッキー、言われなくても自分で予防線を張っているのでセーフというタイプ

これに関しては「陰キャ」「コミュ障」という自称をしたがる人とそれを嫌う人みたいな雰囲気と似たものを感じます。
悪いニュアンスが含まれている以上、嫌う人がいるのは当然ですね。
自分で言う分にはいいけど、他人から言われるのは嫌だという場合もありますね。

個人的な印象ですが、最近は見下す印象が弱めになってきて、単純に「おじさんが美少女になること」を示している言葉になってるような気もします。
なので、私はあまり自虐的・見下すニュアンスの言葉としては受け取っていません。「これはひどい」とか「ヤバい」あたりのニュアンスが近いのかな。
私の周りにいる人が優しいだけか、私が鈍感なだけかもしれません。


◆語感の面

「バーチャル美少女受肉おじさん」
「バ美肉おじさん」
「バビニクオジサン」

決して可愛さやきれいさを感じる語感ではありませんね。
語感としては強さ、あるいは汚さを感じるような語感かもしれません。
「バベルガ・グラビドン」の1つ下の呪文くらいのパワーを感じますね。

文字としても、『肉』という単語が生々しさやグロテスクさを強調するかもしれません。

印象が分かれるとしたら『おじさん』についての印象でしょうか。
SDキャラ的な、デフォルメされた『おじさん』概念で想像するか
いわゆる薄い本のモブおじさん的なディテールの細かい『おじさん』を想像するかで大きく変わるでしょう。
後者を想像してしまう方は『肉』と『おじさん』で生々しさ更に倍! になってるのかも。

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総合的には感じている語感の印象は180度違うということはないと思います。
同じような印象は抱いているけども
「語感がちょっと汚い・可愛くないから好きじゃない」なのか
「語感が汚い、むしろそれがいい」なのか
そこで好き嫌いが分かれているように思えます。
この語感が悪いことに関する印象は「自虐的・貶すニュアンスをどう受け取るか」とも絡んでくると思います。


◆「美少女」属性を望むか否か

「バ美肉おじさん」の言葉が指す属性について考えてみます。
言葉によって属性を決めてしまうことをレッテル貼りとよくいいますね。

「バ美肉おじさん」と言った場合、中身「おじさん」がバーチャル世界でアバター「美少女」になることを指します。
「ただの美少女アバターじゃないよー!」と思っていても「バ美肉おじさん」とレッテル貼りされてしまえば同列に扱われてしまうこともあります。

ただ、バーチャル世界ならどんなアバターにだってなれる
美少女でもいい、美少年でもいい、イケメンオヤジでもいい、ケモでもいい、人外でもいい、ロボ化もいい、もちろんおじさんでもいい。
だから「バ美肉おじさん」という中身もアバターも決定づける言葉よりも、もっとアバター化全体を表す広い意味の言葉があっていいんじゃないか。

この意見はすごくわかります。せっかくのVR世界の可能性を限定するのは面白いことではありません。
用語に縛られずに、レッテルを貼られることもなく好きにVR世界を生きられる方が楽しいでしょう。
私もアバター化は推奨派で、気軽なアバター化の用語ができるといいとおもいます。
(もしくは用語なんていらないくらい当たり前になればいいと思います)


でも、それでも私は「バ美肉おじさん」を名乗るでしょう。
広い意味の言葉が生まれても、私はあくまでアバター「美少女」になることにこだわっているからです。
いわゆるアニメや漫画、2次元の美少女になること自体が目的の人間なのです。
VR世界で自分らしく生きたい、肉体・性別にこだわらず生きたいなどの「手段」としてかわいいアバターを選んだのではなく、
美少女になること自体が「目的」であり、美少女アバターというバーチャル肉体に自ら縛られようとしている人間なのです!!

この時点で「美少女」というレッテル貼りに縛られたくない人とむしろ「美少女」レッテルを自ら貼っておきたい私のようなやつで大きく望みが違うことがわかりますね。

もし私が「私」としてバーチャル世界に存在したくなった場合はバ美肉ではないただのアバター化をするのかもしれません。
それでも今は「美少女を演じる私」として活動をしています。


この面では「レッテル貼りを望まない人」「美少女というレッテルを望む人」で意見が分かれている印象です。


◆「おじさん」という自称は必要なのか

おじさん自称についてまず言えることは
「男性であることを主張したい」だと思います。
バ美肉おじさんは中身がおじさん(男性)であることを明確にしています。

男性であることを主張したいけど、「おじさん」主張は嫌なので「バ美肉おにいさん」などの呼び方をする人もいますね。
私は「おじさん」にネガティブなイメージが少ないのと語呂の良さで「バ美肉おじさん」自称が好きですね。

男性であることを主張したい理由は多々あると思います。
思いつく中では以下のような感じでしょうか。

1・騙すような感じがして気分が良くない
2・女性だと思われること、あとから男性であるとわかった場合のデメリットを避けたい
3・ボイチェンや発声など男性が頑張っているのでその辺りを主張したい
4・まあ、おじさんだし


1・騙すような感じがして気分が良くない

これはわかりやすいと思います。
女性アバターで何も言わなければ女性として認識されるかもしれません。
でも、女性と認識されることが騙しているように感じてしまうんですね。
(バーチャル世界で女性だの男性だの2分類の性別に縛られる必要ないんじゃないという意見もあるかと思います。頭ではわかってもどうしようもなく縛られてしまうのです)

また、2の要素に近いですが、活動していく中で「中身がおじさんだったなんて騙された!」と言われることを恐れて予め宣言しておくということも考えられます。

でも、「えっ! バ美肉おじさんなの!?」と驚かれるのは嬉しい。騙したくない、でも騙したい。


2・女性だと思われること、あとから男性であるとわかった場合のデメリットを避けたい

これはVtuberとして「女性」として活動したいか中身「男性」として活動したいかだと思います。
なくなればいい風潮だとは思いますが、異性間のコラボはトラブルが起こりやすくなるという話もあります。
また、「女性」と思われた状態で女性Vtuberとコラボしたり仲良くなったり「男性」と認識された時に嫌悪感を示されるケースも目にします。
(これはバ美肉おじさんを利用した悪質なセクハラ野郎による悪印象のせいもあるかと思われます。バ美肉おじさん全体がモラルにかけるわけではないんです)

もちろん、多くのVtuberさんは性別関係なく適切な距離感を取って、男女どちらでも不快にならない領域でのコミュニケーションをとっておられると思います。
それでも、変な下心のある人だと思われないように自称しておくという人もいるのではないでしょうか。
この理由の「おじさん」自称は悲しいですね。できればなくなって欲しいものです。


3・ボイチェンや発声など男性が頑張っているのでその辺りを主張したい

ボイチェンの設定を解説していたり、発声について解説していたりする方はこれに当たるのではないかと思います。
この人たちは「普通の男性」の声からボイチェン調整を重ねたり発声トレーニングを重ねたりすることで、より可愛い・よりきれいな声を追求しています。
その積み上げの主張として土台はあくまで「おじさん」だと言いたいのだと思います。
不完全だからこそ自らの理想を目指し続ける。そういうのいいですよね。


4・まあ、おじさんだし

自分はおじさんなので、おじさんです。
うーん、シンプル。
声もおじさんのままのパターンもあるしね。

自己紹介でなんて言おうかなー。「美少女です」はなんか違うよなー。「どうもおじさんです」がやっぱりしっくりくるかなー。でも一応バ美肉はしてるからなー。

「どうも、バ美肉おじさんです!!」


私は主に1と3の理由でバ美肉おじさんと自称している気がします。
「元がおじさんだからええんやろ」の気持ちと「おじさんでも可愛くなれるよ! むしろぜん人類みんな美少女になれ」みたいな気持ちがあります。

ここの部分は「そもそも男性を名乗るのが嫌なんだ!」という方には正面衝突ですね。
自分はどうしようもなく性別というくくりに縛られている人間なんだなと感じます。
「名乗りたくない人は名乗らなければそれでいいじゃん」と言いたいところですが、名乗る方がマジョリティになると名乗らない側はやりづらいですよね。名乗るのが当然のものとして外からレッテル張る人もいるしね。
自分と違う相手を適当に受け流す心、欲しいよね。


◆宗教上の理由で許容できない

こちらの記事にて、「受肉」という単語自体が許容できない、というのがありました。

日本語キリスト教では「受肉」はイエス・キリストに対して使われる語なのですが、
精選版 日本国語大辞典「受肉」の解説
じゅ‐にく【受肉】
〘名〙 キリスト教で、神は、父・子・聖霊という三つの位格と、ひとつの実体において存在するというのが三位一体であるが、その第二位格の子が、ナザレのイエスという歴史的人間性をとったという教理をいう。託身。インカーネーション。


これに関してはまったく知らない知識だったので驚きました。
教養のないただのオタクとしては、「Fateでギルガメッシュが受肉って言ってたよね! なんかかっこいい言葉!」くらいの認識でした。
私は「受肉」という言葉に関しては特にこだわりのないところなので、別の名称に変わったほうがよさそうだとは感じます。
でも、もう立ち絵とLive2D用意したことを「受肉した!」って言ってるのを見かけるくらい広まってしまっているため、上記記事でも言っているように「嫌いながらも使うしかない」現状になってしまっていますね……


◆ツイッターでアンケート取ってみた

わかりづらいので、票数を分けて100%表示に直すと

バ美肉おじさん当事者61票
好き83% 嫌い17%

バ美肉おじさん以外119票
好き86% 嫌い14%

もう少し嫌いな人が多いイメージでしたが、
嫌いな人は5人に1人いるかどうかくらいでしたね。
私が「バ美肉おじさん」をフォローしがちなので、投票してくれた人は好きな人が偏っている可能性はあります。


◆個人の感想

「バ美肉おじさん」という語呂が良い。
強く生々しくすこしグロテスクな言葉の印象と、だけど精一杯可愛くある姿が良い。
アバター化が一般化しても、「バ美肉おじさん」というカテゴリであることにこだわりがある。
「おじさん」でありつつ、「美少女」になろうとする過程に良さを見出す。
私はそんな面が好きなんだと思います。

もっと別の面で「バ美肉おじさん」呼称は嫌いだ! という方もいらっしゃるのでしょうか。
語感やレッテルに対する印象については大きく異なっているというところは、たぶんそんなにないんじゃないでしょうか。
語感の印象やレッテル貼られること自体を好むか嫌うかというところで分かれている気がしました。

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ここまでお読みいただきありがとうございました。

思いのほか長文になってしまいました。
私のための言葉の整理と吐き出しでした。

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