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「脱炭素・エネルギー」最新トピック(2023.7.6)

こんにちは。
今週は脱炭素に向けた政府や自治体の動向、エネルギー関連のトピックをお送りします。

脱炭素

1. 2050年カーボンニュートラル(CN)の達成に必要な、ネガティブエミッション技術(NETs)の社会実装・産業化に向けた方向性をとりまとめました

2. GX債は「トランジションボンド」に、認証取得へ検討加速-政府方針

3. 秋田・大潟村、デンマークの団体などと脱炭素で連携

MaaR事務局まとめ

  2050年カーボンニュートラルの達成には、CO2の排出削減だけでなく、大気中のCO2除去が必要とされています。①は、経済産業省がネガティブエミッション技術(NETs)の社会実装・産業化に向けた方向性をまとめたものです。「NETsの現状分析・今後の方向性」と「ネガティブエミッション市場創出に向けた方針」についてまとめられていますが、総じて日本はNETsの各分類において研究開発力で遅れをとっており、国際比較したデータによると、海外勢が先行・リードしている状況です。
 ②は、政府が脱炭素資金を調達するGX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債を、「トランジションボンド(移行債)」とする方針を示したという記事です。使用用途に制約が大きい「グリーンボンド(環境債)」ではなく移行債とすることで、移行金融の拡大を促したい意図が見られます。
 ③は、秋田県大潟村の取り組みです。人口約3,000人の大潟村は「資源エネルギー100%の村づくり」を掲げており、人口約3,700人のデンマーク・サムソ島にある非営利団体などとの連携により知見を得て、住民参加型でエネルギーの地産地消に向けて取り組んでいくとのことです。規模に合わせた国内外の先行事例を見つけ出してノウハウを得る、という流れは欠かせないことだと思いますが、サムソ島のように自らが先行事例となり、新たな機会を獲得してコミュニティに利益をもたらすことはより一層重要と考えます。

エネルギー

4. 次世代原発、三菱重工が統括へ…高温ガス炉・高速炉開発を主導

5. 東急不動産、すべての保有ビルに自然エネルギーの電力 2023年にRE100達成へ

6. 西条市に日本初の「ゼロエネルギー」ホテル 脱炭素時代のまちづくり

MaaR事務局まとめ

 ④は、次世代原発に関する記事です。経済産業省が、次世代型の原子力発電所の開発で設計を統括する中核企業を三菱重工業にする方針を固め、高温ガス炉は30年代、高速炉も40年代に、実証炉の運転を目指します。高温ガス炉は燃焼時にCO2を排出しない水素の製造にも利用でき、高速炉は効率的な燃料の使用や放射性廃棄物の削減ができる、という特徴があります。脱炭素に向けたエネルギーポートフォリオにおいては、原発は重要な役割を占めると思われますが、今後、三菱重工業を中心としてどのような企業が参画するのかも要チェックです。
 ⑤は自然エネルギー利用先進企業である東急不動産の取り組みについてのコラム記事です。東急不動産は、2022年末までにすべての保有ビルで使用する電力を自然エネルギーに100%切り替えを終えています。自ら発電所を開発・保有して電力を調達しており、すでに設備容量は自社が1年間に使用する電力量を大幅に上回っています。それらは、FIT(固定価格買取制度)で売却したり、コーポレートPPA(電力購入契約)で顧客企業に供給をしているとのことです。保有ビルで環境対応をすることで顧客を取り込み、新規事業として発電事業に取り組む、脱炭素による事業成長を実現させるモデルケースとなりそうな予感がします。
 ⑥は、愛媛県西条市に誕生した日本初のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)認証を取得したホテルについての記事です。ゼロエネルギー達成のためには、建材を断熱仕様にしたり、エネルギーマネジメントシステムを導入したりと、設備面での制約が多いものですが、それをゲストに感じさせない居心地のよさにこだわりが見られます。全国でも稀な自噴地帯である西条市の自噴井「うちぬき」や、市内を流れる水の音をサンプリングしたBGMを流す等、その土地ならではの要素を取り入れるなどして、ゼロエネルギーと顧客体験の両立を構築しており大変魅力的に映ります。

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