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私は脳科学的にも「変人」らしい

私は昔から「お前って変だよな」と言われ続けてきた。

友人からはもちろん、親からも言われる。

彼らは特に悪口として言っているわけではないし、私もそれを理解しているのだが、言われた方は多少なりともモヤッとする。


しかし、とある本に興味深いことが書かれていた。

『単純な脳、複雑な私』(池谷裕二 著、朝日出版社)という、脳科学を分かりやすく解説してくれる書籍である。

この中の1-13項「脳の早とちりは生存戦略にぐっと有利」で以下の2枚の写真が提示された。

顔反転

引用:Michael Burt and David Perrett “Perceptual asymmetries in judgements of facial attractiveness, age, gender, speech and expression”, published in 1997 in Neurophychologia, 35,685-693


これを読んでいる皆様は、どちらの写真を「男性の顔」として認識しただろうか? 

種明かしをすると、1枚目の写真は左に男性の顔を、右に女性の顔を配置した合成写真であり、2枚目の写真はその逆である。しかし、多くの人間は1枚目の写真を「男性の顔」と認識するようだ。

というのも、『単純な脳、複雑な私』によれば、イメージや映像は右脳が司る傾向が強いという。ということは、視神経が視交叉で左右入れ替わっていることを考えると、脳は視野の左側から入ってきたイメージ情報を優先して処理していることになる。それゆえ多くの人の場合、特に右利きの人においては、左側に男性の顔を配置した方を「男性の顔」と認識するという。
(後で友人に「見せる距離とか位置とか、もっと条件を細かく設定して実験しないとダメ」と言われたが、ここでは細かいことを気にしないでほしい)

さて、当の私はと言うと、最初に先ほどの写真を見た時「どっちも同じじゃないの?」と思い、どちらが男性の顔に見えるか判断することができなかった。自分なりに理由を考えてみると、私が左利きであることが関係しているように思われる。ただの左利きではない。箸は左手で扱うが鉛筆は右手というように、物によって扱う手が変わるのだ。この現象を「クロスドミナンス」という。何をどちらの手で扱うかは人によって異なるが、私の場合は箸、ペン、ボウリング、包丁は左で、はさみ、ボウリング以外の球技、マウスは右で扱う。手に取る頻度の低いものや初めて触れるものについては、どちらの手で扱っていたか(扱うべきか)分からなくなることもあるので、非常にややこしい。それはともかく、私が「どっちの写真も同じ」と認識した理由として、両手を満遍なく使うことと脳のイメージ認識に関連があることが考えられた。

実は、10人以上集まる場で先ほどの写真を見せて「どっちが男に見える?」と聞いたことがあり、確かに右利きの人はもれなく左側に男性の顔を配置した方を選んだが、唯一「どっちもどっちじゃない?」と答えた女性がいた。詳しく聞いてみると、彼女もクロスドミナンスであった。そして、彼女もまた、周囲から「お前って変わってるよな」と言われている。

あなたが「変わり者」という扱いを受けているなら、自信をもってほしい。

「変わり者」というのは、「稀有な存在」の言い換えに過ぎないのだから。

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