見出し画像

【アルバム感想】ネオアコの神髄・キテレツささくれポップミュージック!  Orange Juice - You Can't Hide Your Love Forever


こんにちは。
今回はネオアコの代表作ともいえる、オレンジジュースの1stアルバムを取り上げたいと思います。

みなさんはネオアコと聞いてどういう音楽を想像しますか?
清涼感のあるポップミュージック? 都会的でオシャレなサウンド?……
個人の感覚ですが、一般的にはそんな感じの音をイメージすると思います。僕もネオアコと言われたら、まずは爽やかなギターポップを思い浮かべます。

……

初めてこの作品を聴いたとき、僕は正直かなりびっくりしました。
「えっ? これってネオアコなの?」と……最初の頃はあんまりしっくり来ず、聴く機会もあまりありませんでした。

……

ある時、ネオアコ(neo acoustic)という言葉は和製英語で、日本でネオアコと呼ばれるバンドは海外ではポスト・パンクに分類されるということを知りました。Public Image LtdやGang of Fourとおなじくくりです。そのタイミングで、僕はネオアコの名作たちを聴き返しました。その中で最もはじめのイメージと異なる感想を抱いたのが、この作品だったのです。
「あれ? めちゃくちゃかっこいい!」

……

まず一番目を引いた(耳を引いた?)のが、エッジが立った二本のギターの絡み合いでした。これにはTelevisionのMarquee Moonを感じました。6弦すべてを鳴らしてコードを形作るのではなく(そういう曲もありますが)、ギターたちが絡み合って和音を構成している感覚がよく似ているな、と。
そして、音を伸ばさず、ぼよんぼよん、と跳ねるように短い音でメロディを作るベース……これにはソウルミュージック(James Jamersonの弾くメロディアスなフレーズのような)を感じます。実際、彼らはアルバムの中でAl Greenのカバーをしていますし、ソウルの影響はかなりあると思います。ドラムはちょっとつんのめるような感じがベースのフレージングと相まって面白いグルーヴ感を生み出しています。

……

特に好きな曲

Falling and Laughing
アルバムの一曲目を飾るこの曲。しょっぱなからギターが面白いです。右で鳴っているフレーズはなかなかユニークで、何か不思議な出来事が始まるぞ! という気持ちになります。
この曲は特にベースがいいですね。オーソドックスなドン・パンというキックとスネアのパターンに対して細かくメロディアスに絡みつくフレーズが気持ちいいです。

Satellite City
この曲のギターは、聴くたびに何を考えて作ったフレーズなんだろう? という気持ちになります。すごいです。とにかく変なんですけど、なんだか楽しいという。なんか分からないけどいい、みたいなプレイってとにかくハマると抜け出せませんね……ベースは一曲目同様、跳ね回る演奏。ファンキーになりそうなのになっていない感覚がポストパンクだなあと思います。
彼らのレア音源集である「The Glasgow School」ではベースのフレーズが全然違うので聴き比べるのも楽しいです。

……

余談ですが、このアルバムの国内盤はフリッパーズギターの二人のライナーノーツがついています。当時のフリッパーズの悪ふざけな感じが楽しいので見かけたら買ってみてくださいね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?