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ずっと昔、神戸市営地下鉄、三ノ宮駅、

学生の頃にアルバイトしていた飲食店に、同じくアルバイトの36歳の男性が居た。皆をまとめるような役割で男女両方の学生から慕われていたし、性格も良かった。当時の私は同年代の学生達との関係性にエネルギーを注いでいて、それ以外の事には良くも悪くも無関心だった。

20歳前後の女子にとっての36歳はおっさんだった。一度、彼と帰りの地下鉄で一緒になり「弁護士になりたくて、会社を辞めて司法試験の勉強をしている。」と聞いた時も「へえ、」と思っただけだった。
「凄いですね、頑張って下さい。」さえ言えないほどに無知だった。あの時の彼より年上になってしまった今なら、その勇気が十分に分かるし心から応援ができるのに。一体何がきっかけで弁護士を目指そうと思ったのだろう。

考えてみれば自分の人生上で、法の専門家になろうと勉強をしている人に接したのはあれが初めてだった。

あの人、名前も忘れてしまった。
弁護士になれたんだろうか。なれていたらいいな。

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