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アメリカ黄金時代で鳴り響いたロックンロール・アルバム

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©English Wikipedia

1950年代、ロック・ミュージックの原型であるロックンロールが産声を上げました。

同時代、アメリカは、ブレトン・ウッズ体制による経済的繁栄の下、「黄金時代」(1)を謳歌します。メディア業界は、中産階級による電化製品の旺盛な消費からテレビ放映が中心となり、様々な分野で商業が発展します。

無論、ポップ・ミュージックもその恩恵を受ける中、ロックンロールは、「黄金時代」を享受するティーンエイジャー達の新たなトレンドとなりました。

ロックンロールのスタイルは、多岐にわたり、「白人または黒人のシンガー」によって「ギター主体もしくはピアノ主体」で展開されます。そして、音楽性は、彼らの出自と密接に繋がった「あらゆるジャンルが混合されたもの」であり、従来のポップ・ミュージックとは異なるユニークかつ刺激的なものでした。

ブルース、カントリー、ゴスペルなどアメリカ大陸の各地で培われてきたルーツ・ミュージックから成ったロックンロールは、その後のアメリカ文化及びイギリス文化、特にユースカルチャーへの影響を踏まえると、ある意味、それは、禁断の果実と言えるものだったのかもしれません。

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Elvis Presley/『Elvis Presley』(1956)
作品評価★★★★(4stars)

ロックンロールにおける最初のアイコンとなった青年は、白人と黒人の音楽文化が濃密に交じり合う都市/メンフィスから現れた。

プレスリーのキャリアは、ハリウッドのムービースター時代を中心に占められているが、RCAからリリースされた最初のアルバムは、彼のバックグラウンドである地元サン・レコードの名残を感じさせる。

プレスリーによるセクシャルなパフォーマンスは、社会で物議を醸し、粗野なロカビリーと洗練されたポップスの境界線にあるサウンドは、従来のロカビリーファンからの議論を呼んだ。ロックンロールに相応しくあらゆる方面へ一石を投じた作品である。

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Chuck Berry/『After School Session』(1957)
作品評価★★★★(4stars)

ロックンロールの生みの親となる偉大な父は、シカゴ・ブルースシーンの名門レーベル/チェスから現れた。その名は、チャック・ベリーである。

印象的なギターリフを始点に、ティーンエイジャーのスクールライフという明確なコンセプトから展開されたキャッチーなエイトビートナンバーは、白人と黒人の両チャートでヒットを飛ばし、ロックンロールが持つ可能性を世に知らしめた。

セントルイスの中流家庭で奔放に育ったベリーは、柔軟性のあるスタイルを発揮し、カントリーやブルースに留まらず、ジャズやラテンも咀嚼していく。そして、喜劇的なパフォーマンスと共に、ロックンロールの完成形の一つを提示した。

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Little Richard/『Here's Little Richard』(1957)
作品評価★★★★(4stars)

リトル・リチャードは、ジェリー・リー・ルイスに代表される異端児揃いのロックンロール・ブームにおいて特に危うい存在であった。

黒人音楽専門レーベルであるスペシャルティと契約を交わしたリチャードは、インペリアルのファッツ・ドミノと同じく、ブギ・ウギ/ロックンロールを確立し、R&Bチャートに君臨し続けた。

しかしながら、マイルドな味わい深さがあるドミノと異なり、 リチャードは、奇抜なメイキャップとファッション、火を噴くようなシャウト、異様なまでにハイテンポなビートからブラック・ミュージックが秘めるエネルギーを開放させながら、シーンを強く揺るがせた。

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Buddy Holly and The Crickets/『The "Chirping" Crickets』(1957)
作品評価★★★★(4stars)

黒縁眼鏡がトレードマークのこの青年は、60年代における新たなポップスの潮流でシンガーソングライターとして稀有な才能をより開花させるはずだった。

バディ・ホリーのキャリアは、ソロ名義とクリケッツ名義での活動後、ミリオンセラーという成功を収め、ロカビリアンの一角としてUSのみならずUKにおいても一躍人気を集めた。しかしながら、彼が描く将来の展望は、ロックンロールではなく、ニューヨーク・ポップスであった。

ホリーは、クリエイティヴなマテリアルを残したまま悲劇に見舞われたが、クリケッツ期に確立した礼儀を弁えたスーツスタイル、2本のエレクトリックギターを中心とする機能的な楽器/バンド編成、技巧的なアレンジ/サウンドワークは、ブリティッシュ・ビートへと確かな形で受け継がれた。

註(1)有賀夏紀『アメリカの20世紀(下)』中公新書(2002)

最後に、今日ご紹介したアルバムの中からロックンロールの代表的な一曲をセレクトしてみました。


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