まーな

音楽、映画や読書、ファッションやお出掛けも好き。

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  • my favorite soundtracks01

    「ロック・ミュージック史」の名盤に関する思索です。

最近の記事

大衆性と実験性を引き継いだアート・ポップとパワー・ポップ

今回、ご紹介するのは、アート・ポップとパワー・ポップです。 70年代前半、多様化したロック・ミュージックは、並行するあらゆるジャンルが進展を遂げる中、ビートルズやビーチ・ボーイズらが形成した芸術性と商業性を併有させたスタイルを引き継ぐSSWやバンドも現れ、同シーンにより多層性をもたらしました。 60年代半ば、ロック・シーンを牽引するザ・フーのピート・タウンゼントは、自身のバンドをポップ・アートと公言し、自身の音楽をパワー・ポップであると表現しました。 同時代から歳月を経

    • 象徴的な一時代を築き上げたウエストコースト・ロックとサザン・ロック

      今回、ご紹介するのはウエストコースト・ロックとサザン・ロックです。 1960年代後半、70年代における米国のロック・シーンの基底となる二組の重要なバンドが現れました。 それは、ロサンゼルス出身のクロスビー、スティルス&ナッシュとジョージア出身のオールマン・ブラザーズ・バンドでした。 彼らによるフォーク・ロックやブルース・ロックを進展させたスタイルは、間もなく台頭し始める後続のグループたちの大きな指針となりました。 そして、1970年代前半、西海岸や南部から現れた数々の

      • ブリティッシュ/アメリカン・ブルース・リバイバル後におけるブルース・ロックの活況

        今回、ご紹介するのは、英国と米国のブルース・ロックです。 ブルースは、独自の音楽言語と確固とした形式上の伝統を持った特有の音楽スタイル(1)であり、それゆえ他のミュージシャンとの即興演奏が容易(2)という特徴があり、それは、各都市におけるナイトクラブの活性化を促す事となりました。 その口火を切ったのは、アレクシス・コーナー率いるブルース・インコーポレイテッドであり、1960年代前半の〈ブリティッシュ・ブルーズ・リヴァイヴァル〉以降、ロンドンから多数のバンドたちが輩出されま

        • 帝王によるアーバンかつ静謐なフュージョンとジャズ・ロックの台頭

          今回、ご紹介するのは、ジャズ・ロックとフュージョンです。 60年代後半以降、ロック・シーンは、ジャンルの多様化による大きな展開がありましたが、その中でも特に注目を集めたのは、ジャズから影響を受けたグループの台頭でした。 ジャズ・ロックは、従来のロック・ミュージックを土台としつつも、1940年代や50年代におけるビック・バンド形式のホーン・セクション・サウンドとロックのビートの組み合わせ(1)となり、サウンド面やアレンジ面における「ジャズ的」なスタイルを特徴とします。 そ

        大衆性と実験性を引き継いだアート・ポップとパワー・ポップ

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        記事

          南部への憧憬を抱いた作家とそれぞれのアメリカーナ

          今回、ご紹介するのは、アメリカーナ系のロックです。 アメリカーナ・ミュージックは、アメリカ合衆国における白人音楽のルーツであるフォーク/カントリー/ブルーグラスや黒人音楽のルーツであるブルース/R&B/ゴスペルといった各音楽ジャンルの伝統的なスタイルが融合されたサウンドを特徴としています。 60年代後半から70年代半ばに掛け、多くの作家が同ジャンルの生誕地である米国南部の音楽へと向かいました。 メンフィスに帰還したエルヴィス・プレスリーは、『フロム・エルヴィス・イン・メ

          南部への憧憬を抱いた作家とそれぞれのアメリカーナ

          遥か遠くの島国にも及んだ西海岸のオルタナティヴなフォーク・ロック

          今回、ご紹介させて頂くのは、米国西海岸と日本のフォーク・ロックです。 フォーク・ロックは、ビートルズやアニマルズを筆頭とするブリティッシュ・インヴェンション後、米国において主流となったジャンルです。 同ジャンルは、65年、ニューポート・フォーク・フェスティヴァルにおけるボブ・ディランによるポール・バターフィールド・ブルース・バンドを抜擢したエレクトリック楽器でのパフォーマンスや『Bringing It All Back Home』の発表と共に、成立しました。 東海岸にお

          遥か遠くの島国にも及んだ西海岸のオルタナティヴなフォーク・ロック

          アートの可能性を具現化したグラム・ロックと潜在性を具象化したプログレッシヴ・ロック

          今回、ご紹介するのは、英国のグラム・ロックとプログレッシヴ・ロックです。 70年代前半、英国のロック・シーンは、極めて印象深い時期を迎える事になりました。 ロック・ミュージックの多様化から生み出されたハード・ロック、グラム・ロック、プログレッシヴ・ロックの3つのジャンルが確立され、70年代という次なるタームは、その牽引者らの台頭から混沌化の様相を呈します。 グラム・ロックとプログレッシヴ・ロックという2つのジャンルは、アティチュードとサウンドの両面において非常に対象的な

          アートの可能性を具現化したグラム・ロックと潜在性を具象化したプログレッシヴ・ロック

          巨大な大陸とマーケットへ挑んだブリティッシュ・ハード・ロック

          今回、ご紹介するのは、ブリティッシュ・ハード・ロックです。 ロック・ミュージックは、60年代後半から70年代前半に掛けて、数多のミュージシャンによって多種多様なスタイルが確立され、ロック・シーンは、非常に多面化していきました。 そうした状況下において、主流となったジャンルは、ハード・ロックでした。 ハード・ロックは、各バンドの特色から多角的に発展していくのですが、その基礎的なスタイルは、ブルース・リヴァイヴァルのバンドのサウンドから発展(1)し、ブルースやフォーク・ロッ

          巨大な大陸とマーケットへ挑んだブリティッシュ・ハード・ロック

          ブラック・ミュージック史における一つの革命となったニューソウル/プログレッシヴ・ソウル

          今回、ご紹介するのは、70年代のニューソウル/プログレッシヴ・ソウルです。 70年代の初頭、R&B/ソウル・ミュージックは、重要な転機を迎える事となりました。 60年代の同ジャンルは、主として商業的な野心を持ったレコード会社の主導の下、シンガー/アーティストとプロデューサー/ソングライターによる分業制からレコードが制作されていました。 ところが、70年代前後を境にして、作品のプロデュース/ソングライティングを自ら手掛けるR&B/ソウル・シンガー達が台頭し、更には自身のキ

          ブラック・ミュージック史における一つの革命となったニューソウル/プログレッシヴ・ソウル

          時代の変わり目と共に現れたSSW達による其々の内省

          今回、ご紹介するのは、70年代初頭のSSW達の作品です。 60年代におけるロック・シーンの主流であったサイケデリック・ロックやフラワー・ムーヴメントの熱気は、ウッドストック・フェスティバルで一つのピークに達しました。 しかしながら、70年代の始め、ロック・シーンは、60年代のアイコニックであったビートルズやジミ・ヘンドリックスやジム・モリソンらを失い、その狂騒も次第に沈静化していきます。 そうした時代の変わり目においてシーンで支持を受けたのは、「パフォーマーが自分の経験

          時代の変わり目と共に現れたSSW達による其々の内省

          濃厚な音楽性と濃密な関係性によって生まれた英米のスワンプ・ロック

          今回、ご紹介するのは、スワンプ・ロック関連のアルバムです。 60年代後半、ロック・シーンの主流で活動する多くの英米ミュージシャン達が南部音楽に根ざした方向性へ向かいました。 その音楽的な起点となったのは、ボブ・ディランとザ・バンドが発表した『ザ・ベースメント・テープス』のアセテート盤や『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』、あるいは、グラム・パーソンズ擁するバーズが発表した『ロデオの恋人』などに代表されるルーツ・ロックやカントリー・ロックでした。 また、同時期、彼らは

          濃厚な音楽性と濃密な関係性によって生まれた英米のスワンプ・ロック

          ブリティッシュ・ロックの雛形となったハードでソウルフルなロックンロール

          今回、ご紹介するのは、ブルース/カントリーやR&B/ソウルの流れを汲むハード・ロックです。 1970年代のロック・ミュージックを俯瞰的に捉えてみると、ロック・シーンの主流は、ハード・ロックでした。 ハード・ロックは、同年代、あらゆるスタイルを確立させていますが、その始点を改めて遡ってみると、ブルース・リヴァイヴァルのバンドのサウンドから発展(1)し、ブルースやフォーク・ロックのルーツとの関連をより密接に維持した性格(2)となります。 なので、今回は、ブルース/カントリー

          ブリティッシュ・ロックの雛形となったハードでソウルフルなロックンロール

          オルタナ・ロックの始祖たちが反響させたラディカルなロックンロール

          今回、ご紹介するのは、オルタナティヴ・ロックの系譜に属するバンド群です。 60年代のロック・ミュージックは、サイケデリック/アート・ロック以降、急速な発展を遂げ、同ジャンルは、ジャンルの多様化あるいは細分化の様相を呈し、一つの分岐点を迎えていました。 彼らは、そうした状況下、音楽面においてはコンソールや楽器、スピーカーやエフェクターなどを変則的に使用し、精神面においてはアルコールや新種のドラッグを慢性的に服用し、社会や芸術に対する自身のアティチュードを具現化させていきます

          オルタナ・ロックの始祖たちが反響させたラディカルなロックンロール

          シーンの中心地から離れた場所で名作を著した60年代のSSWたち

          今回、ご紹介するのは、60年代のSSW達の作品です。 これまで振り返ってきた通り、60年代のロックの歴史は、ブリティッシュ・インヴェイジョンやフラワー・ムーヴメントによって大きなページが刻まれました。 しかしながら、60年代に名作を著したSSW達は、そうした時代の趨勢とは異なる場所から現れました。 ロック・シーンの中心地に属さない作家たちによる作品群は、歳月を重ねるごとに再評価され、やがてロックの歴史においてある種の普遍性を持った名盤として位置付けられていきます。 そ

          シーンの中心地から離れた場所で名作を著した60年代のSSWたち

          既存の枠組みを超えた異形なるロック・ミュージックの誕生

          ロック史において、1969年は、非常に話題性に富む特別な年となりました。 それを最も象徴する出来事は、やはり約40万人を集客したウッドストックに代表される大規模な野外フェスティバルの開催でした。 また、この年は、異なるバンドの大物ミュージシャン同士が新たにグループを結成するいわゆるスーパーバンドの結成も相次ぎました。 こうした大きな出来事の背景には、60年代後半に掛けてロック・ミュージックがジャンルの多様化や機材の発達など音楽的な可能性を広げる中、社会からの解放を謳う思

          既存の枠組みを超えた異形なるロック・ミュージックの誕生

          ルーツへの回帰から一つの集大成と時代の区切りを示したロック・ミュージック

          1960年代後半、ロック・シーンは、前年までのサイケデリック・ロックの流れから一転し、ルーツへの回帰が顕著となりました。 その背景には、同時期、ベトナム戦争や人種問題が混沌の一途を辿っており、社会情勢の不安定化に伴い、各ミュージシャン達は、ルーツへと回帰することで自身の足元を今一度見直そうとしたのかもしれません。 ブルース/R&Bやフォーク/カントリーなど多様な音楽ジャンルを束ねる事で成立したロック・ミュージックは、そのルーツの一つであるカントリーの要素をより色濃く取り入

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