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五感

匂いを残して去ったベッドでそのまま眠った。目覚まし時計が鳴る1時間前にふと目が覚めて、匂いが無くなったなと気づく。私の身体が彼の匂いを吸収したんだなと。

冬の朝焼けがちょうど窓から見えて、オレンジと青と黒が美しかった。そのまま、また少し眠る。

私は、「自分が好きな男と生産性の無い時間をふたりで過ごす」のが好きなんだと、ようやく気付いた。この人のおかげで。だから「彼氏」じゃないこの関係性をめちゃくちゃに楽しんでいる。

とてもシンプルに好きだと伝えた。ご存知だと思いますがと。無いですねとばっさり言われたけど、ちょっと待って付き合うとかじゃなくって、なんやろ、好きなだけですと、付き合うって形では私も想像出来ないんですと。

この関係性の名前はよく分からないし、名前なんてどうでもいいのかもしれない。好きな男が隣に居て、話して、体温に触れて触れられて、お互いとても疲れ切ってるのに本当に生産性が無い時間を一緒に過ごして、真夜中の内にさよならをする。ここまで書くとそういう関係なのだが、その行為は一切していない。健全と不健全と両方を同時進行している気分。彼氏でもセフレでも無い。そんな肩書きの人よりもとても大事な人である。

癖を知った夜だった。
私が知らない癖だった。
その行動を数日経った今でも思い出してしまうし、次にその癖を見るのも楽しみだと思っている。何にしたって一緒に気持ちよくなれたら何でもよいし、そこまでいけたら泣ける気もする。