日経ビジネスを読んで「オープンRAN戦略で海外展開を加速するドコモとNEC、楽天の新たな挑戦」

△概要

スペイン・バルセロナで開催されたモバイル業界最大級のイベント「MWCバルセロナ2024」において、日本の通信大手NTTドコモとNECが共同出資会社「OREX SAI」の設立を発表し、オープンRAN戦略での海外展開を加速させることが明らかになった。一方、楽天グループはオープンRANに対応した仮想化基地局のソフトウェア機能を他社に開放する新戦略を公表。オープンRAN市場は正念場を迎えているが、日本勢はそのノウハウを世界に売り込むことで存在感を高めようとしている。

□ドコモとNECの新会社設立とその目的  

○NTTドコモとNECは、オープンRANを海外の通信事業者に広めるため、共同出資会社「OREX SAI」を設立した。この新会社は、オープンRANの導入を加速させることを目的とし、2025年度までに100億円規模の売上高を目指している。ドコモはこれまでにもOREXブランドを通じて海外での商談を進めており、NECとの共同出資はさらなる展開を目指すものである。

□楽天のオープンRANソフトウェア開放戦略  

○楽天グループは、自社開発したオープンRANに対応した仮想化基地局のソフトウェア機能を他社に開放する新戦略を発表した。これにより、他の通信機器メーカーも楽天シンフォニーと同様の製品を展開できるようになる。楽天はこの開放戦略を通じて、オープンRANのエコシステムを広げ、市場の活性化を図る。

□オープンRAN市場の現状と課題  

○オープンRAN市場は、通信事業者による導入が既存基地局の置き換えタイミングなどに左右されるため、一気に導入が進まない状況にある。また、初期のオープンRAN製品は電力消費のパフォーマンスが十分ではなかったという課題も指摘されている。

□競争状況の変化  

○オープンRANは新興ベンダーが大手通信機器ベンダーの独占を切り崩す手段とされてきたが、大手もオープンRAN構築のサポートを始めるなど、競争状況が変化している。エリクソンがAT&TのオープンRAN構築案件を受注するなど、業界内での動きが活発化している。

□日本勢の挑戦と今後の展望  

○オープンRANを通じた海外展開を目指す日本勢は、新たなフェーズに入っている。ドコモとNECの新会社設立や楽天のソフトウェア開放戦略は、オープンRAN市場の活性化と日本勢の存在感の強化を目指すものである。今後、これらの戦略がどのように実を結ぶかが注目される。

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