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【CTO 約100人に聞いた!】CTOが困っているエンジニア組織の課題ランキング

こんにちは Findy 筋肉CTO のまさたん(佐藤 / @ma3tk)です。

この記事は CTOA Advent Calendar の2日目の記事です。 前日の DMM CTOの松本さんの記事では組織規模ごとの CTO の戦い方が書かれていますので、是非御覧ください。

今回記事を久々に書かせていただくことで初めてご覧いただく方もいらっしゃると思います。

せっかくなので簡単に自己紹介しますと、エンジニアとして3年ほど経験した後、Findy を共同創業し、4年強ほど CTO を務めているというキャリアになっております。Twitter では、筋肉CTO として活動してます。トレーニングが趣味です。是非お声がけください!

Findy はハイスキルエンジニア向けの転職サービス/企業からするとハイスキルなエンジニアの採用サービスとして3年半ほど提供しております。その中で通算100社ほどの CTO/VPoE の方とお話してきまして、色々な悩みをお聞きし、僕らが解決できることを探し続けてきました。

そこで今回は CTO の方からよく聞く課題を集めてみました。CTO の方で「あるある」と思っていただけたり、CTO で今後困りそうになったときのヒントがお伝えできたら嬉しいなと思います!

※読む前に:順位は参考程度です!
順位の選定基準はロジカルじゃなくて恐縮ですが、あくまで僕の観測範囲でお悩みとして相談されたり、CTO の方とお話したときの内容を中心に100社中おおよそどれくらいの会社で悩まれているかの感覚値ベースの順位です。偏りが生じる内容ですので、順位はあまり気にせず「それくらい悩まれてるのか」くらいの温かい目で見ていただけるとと思います。

よく話す会社の規模感としてはスタートアップ(シード〜シリーズ C、特にシリーズ A・B )が多く、次に開発の受託などをされている企業が中心となります。

それでは第10位から書いていきます!

第10位:技術情報共有ができず、チーム間で同じものを作ってしまう

まず組織的な課題で少し聞くものとしてはチーム間で同じような仕組みが必要であるチームが先に作っているにも関わらず、別のチームでも時間をおいて同じものを開発してしまうという事象です。これは100社中5〜10社程度くらいで聞いた感覚です。おおよそエンジニアが10人以上くらいでチームが複数になってきたあたりから生じてくるようです。

こういった事が起こらないように、定期的にエンジニア全体での勉強会を行うことで知見を共有したり、横のチームに聞きに行きやすい状況を作っていたりする会社さんが多いような印象です。ただ、勉強会を行うと時間が取られてしまったり、そもそも発表してくれるようなメンバーが少なかったりするので勉強会を開催してこの課題が防げるかというと悩ましいところもあります。所管ですが、CTO としてチームでどんな取り組みしてるかは大変でもキャッチアップし続けるのは大事かなと思いました。

第9位:最適なポジション・チーム構成わからない

次に、チームメンバーは何人かいたりするが、どのようなチーム構成で誰に何を任せてサービスを作っていくかなどの課題、サービス自体はある程度運用できるようになってきたが、会社全体としてデータ活用をすべくデータ型のエンジニアを採用するか、SREなどの直接アプリケーションレイヤーのコーディングをしないようなエンジニアを採用するかなどの課題があったりします。100社中20〜30社くらいで聞くなぁというイメージです。小さい会社であれば専属でやっていたりするので配置やチーム構成など考えることも多くはないと思いますが、10位と同じようにチームが分割されたタイミング、同じ技術スタックを持った人員が複数になったときなどに生じるようです。

先行して採用するというよりは、現場からのニーズが出てきたタイミングで採用をスタートしたり、緊急性が生じる場合には、フリーランスなどの業務委託メンバーでポジションを一時的に固定するケースが多いように感じます。Findy社でもフリーランス、副業メンバーと一緒に開発を進めながら、フルタイムもコミットしながらプロダクト開発を進めてきました。

第8位:メンバーの育成が難しくキャリアパスが把握しきれない

メンバーの躓いている部分を発見し、そのボトルネックを解消していくために適切なアドバイスをしてあげるのはとても難しいようです。これも100社中20〜30社くらいの企業であるようなイメージです。

色々な CTO の方に話を聞いていると、勝手に伸びていってくれることを期待しているようなケースも見受けられました。 次に何のスキルを伸ばしていくかなど各個人に向き合う必要がありそうだなと感じました。

第7位:自分がどうマネジメントしていいかわからない

第8位の育成が難しい課題と近いですが、マネジメントが難しい中でも、そもそも何していいかわからないと感じる CTO の方はやはり結構いらっしゃるなと感じます。おおよそ100社中30社〜50社くらいかなと思いますが、潜在的には半分以上の方が感じてる可能性あるなとは思います。あくまで聞くベースだと30社〜50社くらいです。

これは自分もよく迷うことではありますが、技術に対して向き合ってきた期間が長いため、自分がどこまで現場に対して発言をすべきかがわからないという点が大きいように感じます。自分が言わなければ全体として次のステップに進めない、でも現場に気づいて欲しいというジレンマが生じます。

CTO の方で迷われている方は、技術組織を作られてきた元 CTO / VPoE の方などにメンターをお願いして、自分は CTO としてメンバーとどう向き合っていくかを常々一緒に考えていらっしゃったりします。僕自身、過去に技術組織のアドバイザーとしてある方にメンタリングしていただいたことがあります。自分で考えてもすぐに分からないことをアドバイスしてもらえるのは、非連続的な成長が必要なスタートアップにとって大きな価値であると痛感しました。

DMM 松本さんの昨日の記事などにもマネジメントに関する言及があるのでご覧いただくといいのかもしれません。

第6位:テックブログを運用しきれない

これは結構あるのですが、採用広報の文脈で自社の技術力や自分たちが取り組んでいる課題などをテックブログとしてまとめたりするケースがあります。おおよそ100社中50社程度は一度テックブログに近いものをやってたりするのではないでしょうか。

この課題始めた背景としては、採用などをしていると会社の知名度を上げないと全然応募が来ないので始めた、メンバーのアウトプットを増やしてスキルアップしてもらいたいというケースが多いのかなと思います。

CTO 界隈でもよく課題になるのですが、テックブログを始めたはいいが続かない、書いてもらうためのプロジェクトマネジメントをし続けないといけない。業務中に長時間かけて書くことによって通常の開発業務が遅れてしまうなどの問題点もあり、途中で挫折してしまうケースも多々見受けられました。このプロジェクトマネジメントをされる方が忙しくなると徐々に会社として書かなくなっていったりしてるように感じます。

目標に入れ込んだり、自発的に書いていただけるメンバーを評価したりなどあったりしますが、内容に精査が必要なこともあり、有効な解決策が未だに無いように感じます…。

第5位:リモートワークの運用にこまる

これは特に2020年大きな課題となった企業が多いのではないかと思いますが、リモートワークを以前はやっていなかったが、コロナ禍でリモートワークせざるを得ない状態になって、様々な課題が生じたという声がよく聞こえてきました。おおよそ100社中60〜70社の会社さんで言ってるくらいどこでも聞くお話かもしれません。

意外にリモートワークでもワークする企業もあったりしますが、雑談含めた日常のコミュニケーションが取りにくく、エンジニアとして何を課題として思っているかなどを発見するのが難しい状況になっていたしたかもしれません。解決策として、全員一律のリモートワークをやめ、出所に切り替えるという企業も多くあるかと思います。

優秀なエンジニアのフリーランスの方を中心に、リモートで作業できる会社を探される傾向は以前にも増して強くなってきているように感じます。

以前、リモートワークのウェビナーをしたときの記事もよろしければどうぞ!

第4位:CTO としての役割に悩み、権限移譲がしきれない

CTO 間でもよく生じる話題ですが、CTO とは何をする人のことなのかという哲学的な話から、次に自分の CTO としてもっている業務を別なメンバーに移管していくか、また自分は事業に集中して、別な CTO に任せていくかという後任を育成するのが難しいという話もよく聞きます。やるべきことはたくさんあり、その中で何をやったら正解なのかがわからない。しかしながら何かやらないといけないので失敗をたくさんする。経営者もエンジニア出身のメンバーは少なく、エンジニアとして経営者として相談できるのは CTOA やそこで知り合った CTO の友人、というケースで、世の中にベストプラクティスが転がってない難しい話だったりします。

権限移譲に関しては、いかに育成に投資できるかというところかなと思います。ただ、CTO を目指したい方は少なく、非常に難しい課題の一つとして今後も続くのではないかなと思っています。たぶんこのあたりの解決方法は状況によって変わるかなと思うのと、他の CTO の方がこの CTOA Advent Calendar であり方をきっと書いていただけると思っているのでそこに期待したいと思います…!

第3位:ミドルマネジメント層・EMがいない

テックリードを目指したいというエンジニアは多くいますが、エンジニアのチームをマネジメントしたいというエンジニアはそこまで多くないような印象です。CTO も技術が好きだからこそエンジニアになったけれども、やらざるを得なかったので CTO になったという話はよく聞きます。それと同じようにマネジメントしたくてスキルがある人をアサインするのは相当難易度が高いようです。シリーズA以上の会社さんでほとんどが一度は経験したことあるのではないでしょうか。

即戦力となれるミドルマネジメント層はどの会社さんでも足りなくて、採用も進めつつ、在籍メンバーに小さいプロジェクトをまるっとおまかせするなどから徐々にマネジメントの適正含めて見ていくような会社さんがほとんどじゃないでしょうか。

根気強く EM を目指したいエンジニアを採用する必要がありそうです。( Findy を頼っていただくとお力添えできるかもしれません…!w )

第2位:エンジニアの評価をどうやっていいかわからない

これは CTO にとって相当難しい課題の一つかと思いますが、会社の評価制度とエンジニアの評価の仕方が合わなかったり、 エンジニア一人一人の行動がどれだけ事業に対して貢献しているか、エンジニアの市場感に合っているかなど複合的な要素から各エンジニアの評価と給与決定を行う必要があります。CTO 以外に1人エンジニアがいる状態から全てのフェーズでどう評価していいかわからない、わかったとしても人数が変動するとまたわからなくなる状態にありそうです。

評価の中で、たくさんコードを書いたからといっていいのかと言われるとそれはまた別ですし、書かないからいいのかと言われるとその判断がとても難しいところです。エンジニアの評価制度に関しては各社様々で、OKR や MBO などの評価手法を導入し実施したり、少ない組織だとエンジニアの市場感から給与をそのまま決定すると言うダイナミックな手法をとっている企業まで様々だったりします。

ここも答えがない中で比較検討をし、評価制度を試してみるのが大事かと思いますが、一歩間違うと離職につながる大きな要因かと思いますので、ここも長期的な課題として今後も続きそうな気がします。

第1位:優秀なエンジニアの採用ができず組織が大きくならない

Findy がエンジニア採用のサービスを提供していることもあり、多く(ほとんど)の会社で課題としてお話を聞くことが多いのがこの優秀なエンジニアの採用が難しいという課題です。2位の評価難しい課題か優秀なエンジニアが採用できない課題のどちらかは一度は体験すると断言してもいいくらいです。

経験年数がある程度あり、サービス指向、フルスタックに技術を習得していて、自社のやりたいことに共感してくれるエンジニアを探そうと思うと相当難易度が高い状況です。エンジニアを採用したい企業が IT のみならず、大手企業や元々 IT ではなかった企業が自社でエンジニアを集めてプロダクト内製化を行なっていることで、相当激化をしているのが今なのかなと思います。

ここの解決策は徹底した採用オペレーションをやりきり、エンジニアの候補者にとってどう自社をアピールし、優秀な候補者とにとってのメッセージや面談の体験をよくできるかなど時間をかけていく必要があり自社だけでやり切るのは非常に難易度が高い仕事の一つかもしれません。

(PR: エンジニア採用に困っていらっしゃる企業様を一緒にサポートさせていただく体制を Findy では作っていますのでもしご興味あれば是非 Findy にお声かけください!)

まとめ:ベストプラクティスはないのでトライ・アンド・エラーするしかない…!

全体を通して言えることとしては、これらのエンジニア組織に対する課題は技術書のようにどこかにベストプラクティスが存在していて、そのベストプラクティスに沿って解決できるというケースはそこまで多くないのではないかなと思っています。

作っているプロダクト、それに関わっているメンバー、会社の考え方、資金、外部的環境…様々な要素を元に判断を行っていかないといけない。もともとエンジニアとしてコードを書いていたことが多く、だれかをマネジメントするキャリアはそこまで長くない CTO の方が多い気がします。

その中で経営サイドから振られる経営課題、サービスの成長からくる課題、エンジニア組織として生じる課題など板挟みに合いながら悩み続けるのが CTO の立ち位置だったりするのかなと思いますし、自分が CTO として実感しています。時には辛いですが、やってみると楽しいです!

他にもFindy社で以下のような記事も書いておりますので是非ご参照ください。

CTOA Advent Calendar では全25日、様々な CTO の方のあり方が見れるので、今回挙がったような課題をどう解決されているのか少しでも見られたらいいなと思っています!

明日はナビタイムジャパンの小田中さんの記事です!お楽しみに!