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双極性障害をどうやって説明すればいいか頭を抱えている話

難しくないですか?私はいまだにうまく説明できません。
説明しなくて済む場面ではしないです。
会社や仲のいい友達、特に家族には説明しないと生活に支障が出まくりなので仕方なくするんですけど、お互いちゃんと理解しているかと言われればそうではなく。難しいなあと思っています。

双極性障害は気分障害の一種で、「躁」と「鬱」が交互にやってくるのが特徴。「躁」のときは何でもできるような気分になるので自分では気づきにくく、「鬱」になってから病院に行くことが多い。躁の症状が強い場合がⅠ型。軽躁の場合はⅡ型。完治はせず、薬の服用を続けて再発を防止する。

ネットやゆるめの本にはこれくらいのことしか書いてなくて、まあざっくりいうとそうなんだけど、これだけじゃ自分が生活していくために理解してもらえるよう、人に説明するには足りなすぎると常々感じています。

家族や職場、友人に対して「私、双極性障害なんです。だからちょっとだけ配慮してください。」と言ったところで「どう配慮したらいいの???」となりませんか。私はなります。私はどう配慮してほしいんだ?

私なりにぐるぐると色々と考えたことを残そうと思います。
私は医者でも研究者でもなくただの当事者なので、学術的に間違っていること以外は「こういう考えもあるんだな」くらいで受け流してもらえると嬉しいです。学術的に間違っていたら、引用文献提示の上ご指摘いただけると助かります。

双極性障害の概要

最初にざっくり書いた概要もどきをもう一度。

双極性障害は気分障害の一種で、「躁」と「鬱」が交互にやってくるのが特徴。「躁」のときは何でもできるような気分になるので自分では気づきにくく、「鬱」になってから病院に行くことが多い。躁の症状が強い場合がⅠ型。軽躁の場合はⅡ型。完治はせず、薬の服用を続けて再発を防止する。

これだけじゃ全然足りないけど、じゃあ何を追加して説明したらいいんだ!?と頭を抱える。
まずこのパターンにおさまる人、どれくらいいますか?
私はこの典型的なパターンではありませんでした。

①「躁」と「鬱」が交互にやってくるとは限らない

詳しく書いてる本やメンタルクリニックのHPもありますが、あまり知られていないように感じました。私の通ってるクリニックでは混合状態についての記載が最近増えたような気がします。気のせいかもだけど。

『躁⇔鬱の変化の際に混合状態になることがある』という記述は、いくつかの本で見かけるのですが、私の場合は躁⇔躁+鬱という感じでした。これで半年くらい。躁が強かったです。あ、私はⅡ型なので正確には軽躁です。めんどくさいので軽躁のことも躁って書いてます。

混合状態のときの気分は最悪です。希死念慮が起こりやすく危険といわれる混合状態ですが(死にたい気持ちと実行できる行動力が共存してしまう)、幸いなことに私の場合はそれがありませんでした。ただ、どうにかしてこの状況から抜け出したい、こんなに苦しみたくない、どうすればいいの!?って頭ぐるぐる感情爆発でも動けない、もどかしい!!!!!!って感じでした。きつかった。

②「躁」のときは何でもできるような気分になるわけではない

実際、仕事は捗っていましたが、「何でもできるような気分」には全然なりませんでした。イライラ、不安、食欲不振、中途覚醒など、どちらかというと負の側面が強かったです。とにかくよく頭が回るので、色んなアイディアを生み出しつつ実行しながら、チーム制の仕事もブンブンまわしていました。「どうしてやるべきことに気づけないの?」とか「このペースじゃ間に合わない」とか、周りの人の進捗遅れや責任感の薄さにひたすらイライラしてました。「自分ができる」感覚ではなく「周りが遅い」が強く見えてしまって怒りしかなかったです。これ「不機嫌な高揚感」とか「不機嫌躁病」っていうんですね。いや~これもきつかった。

③「鬱」になってから病院に行くとは限らない

病院に行こうと思ったのは中途覚醒がひどくなったタイミングなので、「躁」が強いときです。最初に行った病院の医者には中途覚醒と抑うつ感を訴えて、睡眠改善を~って感じで投薬が始まりました。双極性障害なんて、疑われもしなかったし私も知らない頃。抑うつ感があることは最初から言ってましたが、あんまり気にしてくれなかった感じがします。たぶん要素が多すぎました。

そのあと、混合状態がひどくなったときに病院を変えたら、大当たり。「症状的に鬱だと思うんですけど」と言う私に「あなたの喋り方は躁鬱っぽい」と。「鬱の人は自分の症状をぺらぺら話したり病院を変えようとしたりしないよ」だそうです。びっくりしました。

④双極性障害になる人とならない人がいる

『鬱は誰でもなる時代』は耳タコですが、双極性障害はそうじゃないと本を読んで知りました。へえ~。
心の病気じゃなくて脳の障害。生まれつきの体質。発症のタイミングや症状の重さは人それぞれ。誰でもなるわけじゃない。これを知ってから、周りのこの人もそうなんじゃないの?と思うことが増えました。日常生活に影響が出ない程度の躁鬱体質の人、結構いる気がします。

というわけで、「私はこうだった」を入れた私なりの解釈はこれ。

双極性障害は気分障害の一種で、心の病気ではなく脳の障害。たいてい「躁」と「鬱」が交互にやってくるが、長期の混合状態も存在する。「躁」のときは活動的になることが多いが、イライラや不安が強く出る場合もある。「躁」はエネルギーを使いすぎている状態なので、反動で強制休養の「鬱」になる。躁の症状が強い場合がⅠ型。軽躁の場合がⅡ型。完治はせず、薬の服用を続けて再発を防止するのが基本だが、薬の服用だけではコントロールできない。普段の生活から「負荷」を減らすことも大事。


減らしたい「負荷」

「私、双極性障害なんです。」と分かったのはいいけど、具体的にどうすればいいのか全然分かりませんでした。診断してくれた病院に通い始めたときは躁+鬱の混合状態だったので頭が回っていて、なんとかしなきゃ感が強く「どうしたらいいですか!?」と食ってかかるように医者に聞きました。
もっと細かく色々聞きましたがメイン3つはこれ。

①仕事量(活動量)を減らす
②無理をしない
③睡眠(休息)時間を増やす

要約すると「普段の生活から"負荷"を減らしてね」とのこと。最初は薬を飲めば治るものかと思ってたので、こんなに制限されるのか…と少し絶望感があった気がします。ただ、どうにかしたかったので試行錯誤でがんばっています。

①仕事量(活動量)を減らす

ちょうどコロナ禍のため仕事くらいしかやることがなく、他のことを全然やっていなかったので、活動量は今までより落ちている状態だと自分では思っていました。ところが、とにかく今のままでは多いと。医者に言われたので、それを会社に伝えなければいけません。

「双極性障害と診断されたので、仕事量を減らしてください」といきなり部下に言われて理解できますか?私は、自分が当事者じゃなかったらたぶん理解できないと思います。とりあえず分かった無理するなよ~と言いながら「元気そうに見えるのに(当時は躁+鬱)、仕事を減らす?なぜ?」「減らすってどれくらい?」となります。

ひとまず、躁と鬱の基本的な仕組みと仕事との関係性(私の場合)を上司に説明してなんとなく理解してもらいました。もうちょっと踏み込んだ説明はをそろそろチームの人にしないといけません。どうしようかなあと思いながらこれを書いています。

活動量については、すごく悩みどころです。
今まで休み日はどこかへ出掛けて「楽しい!」を味わって生きてきたので、「しばらくは大人しくしててね」がめっちゃきつい。
旅行、ライブ、イベントなどなど、たしかにエネルギー使うものばかりなので、今までと同じペースで楽しむのは無理だなあとは思っています。
コロナ禍なので供給も少ないのですが、どこまでのペースで楽しんでいいものなのか、人体実験のようにちょっとずつ試しています。

②無理をしない

調子がいいときはもちろんのこと、私の場合は鬱が浅いので仕事や活動ができてしまいます。これをセーブするのが大変。まだできるけどこれ以上しない方がいい。その判断を自分でして、さらに周りに「まだできるのになんでやらないの?」と思われないようにするのが難しいです(躁鬱の人は周りからどう見えるかをとにかく気にしている生き物らしいので、わかります)。

調子が悪いのに調子悪そうに見えないときは、こうするといいよと医者に教わりました。

・声を小さくする
・なるべく人と話さない

これで乗り切ってます。

③睡眠(休息)時間を増やす

特に中途覚醒がひどく、眠りが浅すぎて休息になっていなかったので、「今より早く寝る!同じリズムで寝る!どうしても眠いときはいつもの時間に起きて朝ごはんを食べてから二度寝でもいいから寝て!いっぱい寝て!」とのことでした。

フルタイム勤務+往復2時間強の通勤をしていると、睡眠時間7,8時間確保はすごく難しいですね。22時就寝、6時起きです。毎日これだと足りないので(寝つくのが23時頃、5時頃起きちゃうので実質6時間)、現場対応しなきゃいけない同チームの人ごめんなさいと思いながら、繁忙期も在宅勤務を週1,2入れて睡眠時間を稼いでいます。

通勤しなくていいと毎日2時間浮くので、全然違いますね。
今後どうしたものかと思っています。

減らしたい「窮屈」

医者からの情報のほかに、生き方として参考になったのが『神田橋語録』。
当事者の友人が教えてくれました。
双極性障害の人の特徴をとらえつつ、こうすると楽になるよ!というのが書いてるので、当事者はもちろんのこと周囲の人にも読んでもらいたいくらいです。インターネット上でPDF公開されています。

その中で一番感心したのが『窮屈なのはいけない』です。

あんまり乗り気じゃない仕事、ペースを乱すチーム制、中止になる数々のイベント・ライブ、外出自粛、減る給料、狭い部屋。

思い当たる節がありすぎて、これがよくなかったんだなあと気づけたのでちょっとずつ私の「窮屈」を減らしました。それでもまだ窮屈だらけですが、まずは自分の「窮屈」に気づくのが第一歩。「窮屈」は「無理をする」につながるのでなるべく避ける。今は色んなものを避けまくっています。

誰に、何を、どうやって伝えるか

こういう仕組み、これを避けたいがなんとなく分かってきたところで、関りがあって配慮をお願いしたい人たちに伝える段階に入ります。これが難しい。ちょっとずつやっているところです。

まず会社。
こういう体質なので、がんばりすぎはダメ。反動で鬱になる。
「無理のない範囲」の具体的な説明。
出勤日数、残業時間、〆切ギリギリの依頼NGとか。
私の場合は鬱が浅いので、寛解してませんが休職期間なしでフルタイムで働いてます。なので「躁のときも鬱のときもあります」も説明かなあ。

次に仲のいい友達。
誰にも会いたくないときがある。調子はいいけど元気のないときがある。誘ってくれたタイミングでは元気だけど、当日調子が悪くなるかもしれない。ドタキャンしたらごめん。最初から予備日設定があると気が楽。
人混みや長時間の外出は疲れるので、行く場所や時間を選びたい。
さっきまで楽しそうにしてたのに急に悲しくなるかもしれない。あなたのせいじゃなくて私の脳のバグだから気にしないでほしい。できたらちょっとだけ気にして「大丈夫だよ~」って言ってもらえると嬉しい。

最後、家族。
これが一番難しいかもしれない。
自分のコントロールできない範囲で脳から色んなこと言われるので、それに従いながらひとまず生きています。家事もやろうと思えばできるけど、エネルギーを使うので、可能なら最小限だけにしてもらえるとすごく助かる。会話したくないときがあるので、そういうときは部屋に逃げますごめんなさい。ちょっと元気すぎる感じがしたら教えてください。考えることが多くなると頭が回るので、何事もなるべくシンプルに。誰かに対する批判を聞くと自分のことじゃなくても辛くなるので私には言わないでほしい。

こんな感じでしょうか。
人と接しすぎると嫌になるのに、人に頼らないと生きていけない面倒な障害だなと思っています。距離感がものすごく難しいです。

しばらく私の頭の中でぐるぐる考えていたことを整理してアウトプットできて少し楽になりました。
さらに自分が生きやすくなるように、考え続けていこうと思います。

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