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娘の加害恐怖、その1

(少し長めです💦すみません)
娘がまだ学校に行けていた時のある日、
「お母さん、今日マラソン大会の練習してたらお漏らししてしまったみたいでね!体操服がボトボトになってどうしようかと思ったよ!はずかし~」
と笑いながら帰ってきた。
どれどれ、と体操服を出して触ってみると、確かにちょっと湿っていたがオシッコの、アンモニアらしい匂いがなかった。
「え~、ほんとに漏らした~?汗じゃないの?」
と苦笑いしながら体操服を洗濯機に放り込んだ。
「絶対オシッコだと思う。
…また練習中に漏らしたら嫌だな~」
とちょっと不安そうな顔を見せた娘に私は
いわゆるオリモノシートを付けてみてはどうか、と提案し
この日から娘は薄いオリモノシートを「保険」として下着につけて登校するようになっていた。

それからどれぐらいの日数が経ったかは忘れてしまったが、娘の
「お漏らしをしてしまうかも」
という不安が日に日に大きくなり、
薄型のナプキンから普通の生理用ナプキンを付けないと安心して外出が出来なくなった。

そしてまたそれから日数が経ち、今度は普通の生理用ナプキンが1枚から2枚の重ね付けに増え、最後には夜用ナプキンを付けるようになった。
…生理でもないのに。

「心配し過ぎだし、やりすぎ!大丈夫だから!」
と溢れかえる汚れてもいない無数のナプキンを目の当たりして怒る私に
娘は必死に訴えてきていた
「違う!本当に出てるから!オシッコが勝手に出てるんだって!
なんでわかってくれないの?!」

彼女はどうやら本当に頻繁にオシッコが出ている感触があったらしく、
夜用の生理用ナプキンもわずか数分で取り換えていた。

そしてそこから更に行動はエスカレートしていった。
夜用のナプキンだけでは安心できず下着も重ね着するようになった。
そしてヒラヒラとしたスカートが履けなくなり、
最後にはユニク●で売っている裏起毛付きの防水防風パンツしか履けなくなっていた。
今までオシャレ番長と呼ばれてオシャレして小学校に颯爽と通っていた娘は毎日家の中で腰をゴワゴワにしてシャカシャカと鳴るビニール素材のようなパンツしか履けず、
しかも普通の歩幅で歩くと「漏れる」と怖がって、
太腿同士をピッタリとくっつけた小股でしか歩けなくなった。

自分のオシッコがあちこちコボレて家の中やマンションを汚してしまう
という観念に憑りつかれ、家の外はおろか、家の中でも廊下の端や自分の部屋以外歩くことができなくなっていた。

それでだけでなく、椅子が汚れるから、と椅子に座れなくなり、
ご飯をあちこちで立って食べたりもしていた。
酷い時はベッドに横になることも出来なくなり、
私がどれだけ泣いて怒っても、机に頭を置いて「疲れたよ~」と
嘆きながら部屋を徘徊しながら朝が明けるのを待っていた。

一見不潔強迫にも見えたこの症状、実は
「自分があちこち汚してしまう」
つまり汚れることへの恐怖ではなく
汚してしまうことへの恐怖、加害観念の1つだった。

立ったまま食事をする当時の娘


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