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2023年3月 読書


全体的にキャラがチェンソーマンすぎやしないか?

先日税金で買った本を読みました。図書館が舞台なので当たり前ですが、紙媒体のことを取り扱っている作品です。それをU-NEXTのポイントで購入して読んでいる状況に少しおかしさを感じていました。単行本4巻の、

本のたくさんある美しい空間が好きなだけで」「本自体はそんなに好きじゃないのかもね

のシーンが刺さってしまった。変人のステータスの獲得として買って、すっかり埃を被った日本三大奇書を見てしまっては、ファッションでやってる節は否めない。

そういう所から脱却するために、ファッションからにわかに進化するべく積み本を消化し続けている。今のところ義務でやってる感じもないので継続できている。引き続き頑張ろう。本読むのに頑張るとかないけど。


7,硝子のハンマー/貴志祐介

日曜日の昼下がり、株式上場を間近に控えた介護サービス会社で、社長の撲殺死体が発見された。エレベーターには暗証番号、廊下には監視カメラ、窓には強化ガラス。オフィスは厳重なセキュリティを誇っていた。監視カメラには誰も映っておらず、続き扉の向こう側で仮眠をとっていた専務が逮捕されて……。弁護士・青砥純子と防犯コンサルタント・榎本径のコンビが、難攻不落の密室の謎に挑む。日本推理作家協会賞受賞作。

貴志祐介は、『悪の教典』から入って『黒い家』、『天使の囀り』などを読んだものだから、てっきり大手を振ってファンを公言できるような作家と認識していなかった。

失礼ながらこんなしっかりミステリー書けるんだと思ってしまった。本当に失礼だけど。男女タッグで密室殺人を暴いていく流れやたまにコメディ要素を挟んでくるのを見て、ドラマっぽいなと感じた。実際にドラマ化しているのだが。

サムターン回しやピッキングを「ジャッジアイズ」というキムタク主演のゲームで何回もミニゲームとしてやらされたので、なんとなく雰囲気を掴むことができていたし、主人公像もキムタクを想像しながら読んでた。まあドラマは大野智なのだけれど。

他の作品よりかは売れ線の要素を詰めてるような気がした。貴志祐介と言えば大概性描写を入れてくるが、今作は無かった。悲しいような、悲しくないような。


8,狐火の家/貴志祐介

長野県の旧家で、中学3年の長女が殺害されるという事件が発生。突き飛ばされて柱に頭をぶつけ、脳内出血を起こしたのが死因と思われた。現場は、築100年は経つ古い日本家屋。玄関は内側から鍵がかけられ、完全な密室状態。第一発見者の父が容疑者となるが……(「狐火の家」)。表題作ほか計4編を収録。防犯コンサルタント(本職は泥棒?)榎本と、美人弁護士・純子のコンビが究極の密室トリックに挑む、防犯探偵シリーズ、第2弾!

今作も面白かった。前作の硝子のハンマーと違って短編が4編収録されています。

若干のネタバレだけど「黒い牙」という短編で毒蜘蛛を凶器に使っていた。貴志先生は妙に蜘蛛への執着がある。「天使の囀り」では射精して蜘蛛を食うイカれた描写が出てくるし、「黒い家」でも蜘蛛の悪夢を見る描写が出てくる。

主人公がやたら蜘蛛に詳しいことへの説明に、ディスカバリーチャンネルとアニマルプラネットを見ていると言及がされていて、実際その辺から思いついたんだろう。雀蜂が放たれた別荘から脱出するそのまんまのタイトルの「雀蜂」も出しているし、ずっとディスカバリーチャンネルとかナショナルジオグラフィックを見ているのかもしれない。

天使の囀りで、やけに細かいエロゲオタクが出てきたと思えば、実際に「」なんかをプレイしてたようで。

https://nico.ms/sm15224143

圧倒的なディテールもさることながら、なんとなく俗っぽさを感じるのが、惹き付けられる要因なのだろうと思った。

今作も性描写がない。防犯探偵・榎本シリーズは猫をかぶった貴志祐介が見られます。



9,ぼきわんが、来る/澤村伊智

幸せな新婚生活を営んでいた田原秀樹の会社に、とある来訪者があった。取り次いだ後輩の伝言に戦慄する。
それは生誕を目前にした娘・知紗の名前であった。原因不明の怪我を負った後輩は、入院先で憔悴してゆく。
その後も秀樹の周囲に不審な電話やメールが届く。一連の怪異は、今は亡き祖父が恐れていた“ぼぎわん”という化け物の仕業なのか?
愛する家族を守るため秀樹は伝手をたどり、比嘉真琴という女性霊媒師に出会う。
真琴は田原家に通いはじめるが、迫り来る存在が極めて凶暴なものだと知る。はたして“ぼぎわん”の魔の手から、逃れることはできるのか……。

“あれ”からは決して逃れられない――。綾辻行人・貴志祐介・宮部みゆきら絶賛の第22回日本ホラー小説大賞〈大賞〉受賞作!

岡田准一主演で実写映画化もされています。映画と同じタイトルだったら手に取っていなかったでしょう。

本作は3つの視点に分かれて構成されています。序盤は得体のしれない何かが襲ってくる王道ホラーの様相を呈していたけど、中盤はこれ結局人間が一番怖いってやつに持って行こうとしてる?となり、終盤に至っては怨霊との戦いが始まってほぼ呪術廻戦だった。

こういう書き方をするとつまらなそうに見えるけど、そこそこ面白い作品でした。最後がバトルになったのが陳腐に映っちゃったかな。

「飛影はそんなこと言わない」がよぎった箇所があって、微妙に集中できなかった。


10,イニシエーション・ラブ/乾くるみ

話題沸騰の二度読みミステリー! 松田翔太と前田敦子が共演し、堤幸彦監督で映画化された話題作。 僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて……。バブルにわく1980年代後半の世相や流行を背景に、甘美でときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説——―と思いきや、最後から2行目(絶対に先に読まないで! )で、本書は全く違った物語に変貌する。 最初はミステリー好きが支持するマニアックな作品と思われたが、口コミで広がった評判はやがて芸能界にも波及し、ふかわりょうやUVERworldのTAKUTA∞、茅原実里、アンジャッシュの渡部建、くりぃむしちゅーの有田哲平、広瀬アリスなどが推薦コメントを寄せている。

なんと説明すべきか…。オチに至るまでの全てが前フリで、構造が面白いということですかね。「最後の2行は絶対に読むな」とか映画の宣伝にしても、「必ずあなたは2回見る」なんて大げさすぎて拍子抜けした。

映画の方はラストだけパッと見た感じ、すごーく丁寧に説明してるので、2回見る必要はない。というか正直原作読んでなくても過剰だなと感じると思う。もう言うまでもなく叙述トリックを用いている作品なのだけど、そもそも映像化すること自体に無理がある。本当に頑張ったんだとは思うけど。僕は絶対に原作をおすすめする。

読んでてここ要る?と思ってた所もオチを見て整理すると「あぁそういう…」と理解できるようになるけど、如何せん辿り着くまでが面白くはないので正直辛い。とにかくオチ全振りすぎる。

映像化不可能なんて大層に掲げている作品は大体叙述トリックだけど、天使の囀りのそれはまた別の問題なので面白い。映像化しても見たくないし。




図に乗って今年20冊は買ってしまって積み本を減らすどころかガンガン増やしまくってるのでしばらく買うのやめます。Kindle Unlimitedで我慢します。

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