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わかりやすく簡潔な短文を書くための指南本「朝日新聞記者の200字文章術」

本(朝日新聞記者の200字文章術)

副題が「極小コラム「素粒子」の技法」というもので、朝日新聞夕刊1面の「素粒子」担当執筆者だった筆者が、文章をいかに短くわかりやすく、簡潔に書くかを指南した本です。 

先ずは日本語の特徴を捉えた修辞的技法を説いています。具体的には主語や形容詞、接続詞を省略して、必要最低限の文章構成とします。また最近の文章では一般的になったオノマトペ(犬の「わんわん」や心臓の「ドキドキ」など)の功罪についても、その賛否両論の例文を挙げながら解説しています。

筆者が執筆の参考にしたのが漢詩であり、短文で簡潔にまとめられた漢詩のリズムは「素粒子」を書く上でも有効だったと書いています。さらに実際に書いた文章は、声を出して音読してみる。そこで発音しにくい文章があれば、滑らかになるように訂正する。さらに文章をプリンターで印刷して、パソコンの画面ではない紙の文章を見ながら、文面構成に偏りがないかを確認する作業が有意義だと説いています。

筆者は、執筆者を料理人に例えており、それは材料(朝刊)をいかに上手に調理して料理(夕刊)を提供するかが料理人の腕の見せ所であり、お客(読者)にいかに満足もらうかが重要になってくると力説しています。
つまり新聞記事である以上、読者に読んでもらわなければ意味がなく、独りよがりに陥らないよう、興味を持ってもらうような分かりやすい文章を書くことが肝要であると述べています。

本の題名からも分かるように、この本の読者は文章を書くことに興味がある、文章を書いてみたい、文章を書きながらもっと上手に書きたいと考えている人が多いのではと、筆者も考えています。
よって何を書く題材に選ぶかは、最も身近な自分のことを書くのがいいと筆者は提唱しています。自分のこととは、学生時代の頃のことや自己の人生を振り返る自分史など、1番書きやすい文章を提唱しています。

私も文章を書くのが好きでこの本を買い求めましたが、確かに学生時代の記憶というものは、社会人になってからの人生とは明らかに違う次元の、常識に囚われない価値観や生活習慣があったと思います。

私自身も高齢者の世代になった今、これまで積み重ねた人生を振り返ってみても、書きたい題材は多く蓄積されていると思います。こうした様々な材料を調理(文章化)することが、残された人生での宿題であると思っています。

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