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今こそ日本にトシちゃんが必要

前回前々回と本来のテーマから大脱線したので、軌道修正のためにも当シリーズの主役、トシちゃんを崇め奉ろうと思います。

彼のダンスの代表作は、何といってもセカンドブレイクを果たした『抱きしめてTONIGHT』1988。

まあこれは今までさんざん語り尽くされてきました。

しかし、これを凌ぐほど入れ込んだ(とみられる)曲がありました。『ジャングル Jungle』1990

この曲はドラマ『日本一のカッ飛び男』1990 の主題歌。私、「びんびんシリーズ」は見ていなかったけど、こちらは見ていました。

トシちゃんは全国紙の本社に間借りさせてもらっている地方紙の熱血記者。そこの上役の橋爪功から「君はそこまで主張できるほどの何か(実力・実績・誇れるもの)を持っているとでもいうのか!」みたいなセリフを突き付けられるシーンを覚えてます。30歳近くになるスターのトシちゃんでもそう言われるような役をやるんだなって。

さてこの曲のダンス、当時歌番組で見ているはずなのですがリアルには覚えてなくて、どうしてもドラマのオープニング映像をイメージしてしまいます。ジャングルのような大東京、みたいな感じだった、確か。プロモーションビデオのダンスを見たのはたぶんネット動画時代になってから。

MCハマーちっくですね。セットにお金かけております。外国人ダンサーも従えております。オレが日本一だ、と言わんばかりのドヤ顔ダンスです。あっぱれです。これを踊れるのはトシちゃんだけです。 

ででで…でもね。彼のベストなイメージじゃない、よね。あのテのブラックミュージックは。ケチをつけるわけではなく、「The トシちゃん」を最高に引き出すのは他系統だろうな、と。

ダンスで表現される生命力、つまり「美と強さ」において、トシちゃんの本質は「美>強さ」だから弾み方もちょっと質が違う感じがして。やっぱりトシちゃんは「ほとばしる系」よりも、タキシード着て汗も見せずステージで踊るのが最高な人だと感じちゃいました。『ジャングル…』が悪いんじゃなくて『抱きしめて…』とか『ごめんよ涙』1989 に究極的に落ち着くといった意味です。

あと『ジャングル…』は注いだ力ほどにはヒットしなかったのではないかと感じています。ヒットはしましたが、一般層に浸透するような「ビッグヒット」ではなかったという意味で。もっとずっと話題になってもよかったほどの出来なのに。やはり視聴者も『抱きしめて…』ほどのトシちゃんとの親和性をこの曲に感じていなかったからなのかも。  

歌番組が減ってきていて踊る姿を見せる機会も少なくなっていたし、また、このころはアイドル壊滅状態で、特にジャニーズはかなり軽く見られていたのではないかと思います。そうなった原因は、歌唱力の問題と…光GENJIかな(ファンだった人ゴメン)。1990年にデビューした「忍者」は不運でした。 

話はそれるけど、忍者は今見たらかなりイイ。けどあの時代、日本的なものが地味で古臭く感じられていて。私も全く興味なかった。今更ながら忍者こそアメリカあたりに出したらよかったと思う。日本の女の子はそこまでアクロバットが好きなわけじゃないのです。アメリカだと黄色人種特有のあのキビキビした早い動き、正に忍者的な、に異国趣味な需要があったんじゃないかなと。アクロバット、白人はほとんどしないし、黒人はバネすごいけどキビキビ感はそんなにないし手足が長すぎるのです。

話を戻してトシちゃん。彼の良さをよく出している曲として個人的には『チャールストンにはまだ早い』1984 が素敵だと思っています。トシちゃんの軽快なイメージにダンスも歌詞もピッタリ。『顔に書いた恋愛小説』1984 は初めて聞いたときそれまでにないカッコよさを感じました。歌詞がちょっとオレ様。「本気で愛されたことなどないんだろ 素直になれよ♪」 このキャラは実際には4年後からかと。

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magazine h  1984

トシちゃんにはいつまでも、社会の不安や不景気なんてアハハと笑い飛ばすような軽さと優美さを兼ねそろえた明るい王子様でいてほしいですね。今のアイドルはキラキラ80年代イケイケ好景気を経験してないから「優雅にごきげん」という要素がナイんだもん。今こそ日本にトシちゃんが必要。