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和裁を学んだところは、こんなところ

私が通った学校は岡山新装学院ですが
残念ながら、閉校してしまいました。

在学生としていただけるお仕立て代が
都会の他校よりも多かったようです。
とてもありがたいことですね。

学校の収入にすればよいものを
生徒に少しでも多くという考え方だったのかもしれません。
だから、閉校になってしまったのかな。
経営をする上では失敗だったのかもしれませんが
教え方は、とても丁寧にだったと思っています。

柄合わせも、学生にきちんとやらせていたし
できた柄合わせを先生に見せて、ダメ出しされたら
またやり直して見せて、それでもダメだしされて
何度も繰り返すことで、得られた感性もあると思います。

襟付けは、何年経っても苦心するところで
待ち針を打つのも、本当に難しいのです。
何ミリの緩みを入れてというような
数字で示せるものでもなく、生地によりけりなので
待ち針を打つ技術は、感覚に近いかもしれません。

襟付けについての教えられ方はこうでした。
自分で納得のいくまでやって
よしと思ったら、先生に見てもらいます。
生徒はみんな見てもらうので
先生のところに行列ができます。
自分の番が来るまで、待ちます。
厳しい学校ではなかったので
前後に並んでいる同級生や先輩と
おしゃべりしながら待つこともありました。
先生が、待ち針の打ち方を見て
悪いところ…緩みが必要とか、反対に緩みの入りすぎ…を
丁寧に直してくれます。
それを席に持ち帰って始めて襟付けを縫い始めます。
この時に、ただ縫えばよいのではなく
先生がどれくらいの緩みを入れているのか
自分の打ち方は、どこが悪かったのか
見返しつつ縫わないと、成長は望めません。

縫い終わったら、自分で見直して
ダメだなと思うところは縫い直します。
縫い直す判断は自分でするのです。
納得できる縫い方ができたら
先生のところに持っていって見てもらいます。
自分で納得していても
悪いところはダメだしされます。
ここからここまで縫い直してきてねと言われます。
それを繰り返して、ようやく襟付けが終わります。

襟付けが終わると、身頃の縫代を伸ばす作業があります。
襟おさめのための、重要な作業で、これも結構難しいです。
ここでも、先生からチェックが入ります。
よしと言われるまで、次の作業に進めません。

つまりは、要所要所で、先生からの厳しいチェックがあるわけです。
勝手に、縫い進めていくわけではありません。

こういう教えられ方でした。
他校が、どういう教えられ方なのか全く知りませんが
とても丁寧だと思います。

私の和裁の技術は、学校で得たものです。
卒業後も、その技術で、今まできました。
卒業してから26年たって受けた技能検定1級にも合格できたし
東京キモノショーでも、三つ星をいただけたということは
教えていただいた縫い方は、他県でも通用するということだと思っています。

それを思うと、学校選びは、大切だったなぁと今になって思います。
当時は、深く考えていなかったのが正直なところです。

和裁の学校も少なくなって
比べて選ぼうにも、選択肢が少ないのが
可愛そうなところ。
どうにかならないのかなぁ。

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