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和裁学校はプロの和裁技能士を育てるつもりがあるのか?

私の偏った見解としては「ない‼️」と思う。
あぁこんなこと言ったら、怒られるわぁ…
呉服屋さんからシカトされ、学校からは袋叩きに合うかもね〜😅

和裁学校に通った方に聞いてみたい。
一緒に、和裁学校に通って、和裁技能士として独立して
結婚して家庭を築いている…そんな男子同級生いますか?
家業として、和裁技能士をしている男性は論外です。
後半に、私の勝手な思い込みを書きますが、
その前に…和裁技能士を目指している方たちに向けて書きます。

なんじゃい!と言われそうですね。
このところ、和裁技能士の収入について仲間と考えることが増えました。
みんな、口を揃えて、たくさんもらっていないわと言う。

仕立て代の話、いわゆる年収や月収の話は
どの業界でも、タブー視されている感じがしますね。
自分の収入を人には言わないですから
どれくらいの稼ぎがあるのかは、想像でしかありません。
和裁技能士について言えることは
思っているほど収入はありませんよ、と言うことでしょうか。
下手したら、最低賃金時間額を下回っています。

収入に関して、和裁学校のHPで示されている金額は
嘘ではないにしても、本当とも言いがたい。
それに、最近は、地方の和裁学校は軒並み閉校しているのが現実です。
和裁学校に通いたいと思うと
都市部に行かないと通えない時代かもしれません。

ちなみに、少なくなってきている和裁学校ってどんなところ?って思いますよね。

私が入学した頃(1993年)は、まだ全国に和裁学校が結構あったと思います。
全寮のところもあるし、通いのところもあるし、その両方というところもありました。
めちゃくちゃ厳しいところもあれば、
ゆる〜い感じのところもありました。
それは、入ってみないと分からないかもしれませんが😅
おそらく、技能五輪を毎年のように目指している学校や
そういう大会に毎年出て、入賞者を出している学校は
厳しいかもしれませんね〜

私が通った学校は、比較的緩めで、和気藹々としたところで
入学金は10万円くらいだったかな。
月々のお月謝が数千円だったと思います。

私が入学時、同級生は10人でした。
専攻科(2年)、師範科(1年)終了するころには5人になっていて
上の研究科(2年)に入ったのは4人。
その上の、仕立部は3人くらいでした。
今、和裁技能士として仕事にしているのは私だけだと思います。

どこの和裁学校でも、こんな感じで
入学した同期が100%、一緒に卒業することはなくて
途中で辞めたり、全寮なら逃げたり
そういうことも普通にあったようです。

学校では、教材…いわゆるお仕立てに使う反物は
呉服屋さんから仕事として学校に依頼されるので
学生が用意する必要はありませんでした。
最初の肌襦袢は自分のものを仕立てます。
布代は払ったかなぁ。
もしかしたら、授業料に入っていたかもしれません。

呉服屋さんから依頼される仕事は
学びながらお仕立て代をいただけます。
とはいえ、微々たる物です。
学年ごとに少しずつアップしていきます。

例えば、1〜2年で縫わせてもらえる浴衣は2500円でした。
3〜6年だと、浴衣は縫わないので、どういう金額かは分かりませんが、
独立後、呉服屋さんからいただいた浴衣のお仕立て代は6000円でした。

お仕立て代の変化は以下の通りです。
学生時代(1993〜1998年)→独立した時(1998年)→今(令和2年)

長襦袢
2500円〜3500円→7500〜10000円→10000円前後

着物だと、学年と、仕立て物の種類によりけり
5000円〜12000円→12000〜25000円→14000〜25000円

振袖とか比翼付き留袖でも
6500〜18000円→27000〜39000円→滅多にこない(笑)

少しでも高収入を狙うなら
数軒の呉服屋さんのお仕事をかけもちして
高額なお仕立てものしか縫わないようにすることです。
ただし、高額な着物がバンバン売れる時代ではありません。

個人で仕事をうけると、昨今は、普段着物が多いので単価は安くなりがち。
お仕立て代を設定するのは自分なので強気で行くのもアリです。
他の和裁技能士さんと区別をつけるために
得意分野を作ったり、お客様との対話に十分時間をかけること。
ただし、メールでのやりとりは想像以上に時間をとられるため
思うように、仕事ははかどりません。
検品、外注作業、地直し、縫い、仕上げ、梱包、発送、帳簿つけ、確定申告などなど。
細かな仕事を入れると、上記意外にもあると思います。
全てを一人でこなすため、かなり大変です。
自分のペースでできることは、メリットでもあり、デメリットでもあります。

和裁技能士検定は若い時に受けた方が検定料が安いです。
一応、卒業してからも、受験可、合格も可能です(私が経験者です)
ちなみに、平成30年度の受験手数料は以下の通りです。
和裁 和服製作作業 1〜3級
実技試験 13100円(35歳未満は4100円)
学科試験 3100円


コロナ禍のようなことがあって
今後、呉服屋さんからだけの仕事では、はどうなるか分からないので
個人の仕事も受けつつ、呉服屋さんの仕事も
というように分散した方が良いかと思います。


長々と書きましたが、ここからが本音の本題ですかね。

和裁学校は本気で自立できる和裁技能士を育てるつもりなど
ないのではないかというのが、私の見解です。

和裁技能士がそこそこ儲かる職業ならば
学校の先生などしないで、和裁技能士になれば良いのに
たいてい、同期でよくできていた子は先生になりますよね。
それ以外の子は、結婚して和裁の仕事を主婦業の合間にするか
着物関係の仕事につくか、関係ない仕事につくか。
法学部を出ても、全員が弁護士になるわけではないので
和裁学校を出たからと言って
みんながみんな和裁技能士になる必要はないですよ。
確かにそうなのですが。
数年、和裁をやらせて
働かせるだけ働かせて
嫌いになって辞めさせて…
ブラック企業みたい…

和裁学校のサイトには和裁技能士はカッコ良いとか
素晴らしい職業だと、ヨイショしてはいます。
でも、内職としては高額ですとか
結婚後も収入が得られるとか
老後、仕事を始めようと思えばできる
なんてことも書いてあったりします。

はぁ?って思いませんか。
学校自体が、和裁技能士を内職扱いしているし
主婦の小遣い稼ぎ程度にしか思っていないこの現実。

自立って、男性なら、結婚して子供を育てて。
そんな収入を期待するのは、よっぽどじゃないと無理です。

和裁技能士が、教室を始めるのはなぜか。
歳をとってくると、若い頃のように数をこなせないからです。
ということは、収入が減ってくるのです。
おそらく、一番縫えて、一番稼げるのは
自分のことだけをしていればよかった
実家暮らし、もしくは一人暮らしや全寮制時代の
結婚をしていない20代の頃です。

結婚して、子供ができて、家事もしてとなると
なかなか縫う時間は取れません。
子供が独立したからといって
何年も縫っていないと、なかなか元のようには縫えません。


学校は、毎年、若い子を集めて
着物を仕立てる技術を身につけさせて
数年働いてもらいます。
そのあとは、
仕立て部に残ってくれる子にはまた働いてもらって
独立する子は好きにどうぞ、やめるなら好きにどうぞ。
毎年その繰り返しで、学校経営はなんとかやっていけるのでしょう。
世の中のお仕立て物も、それである程度、回していけたのだろうと思います。

学校が減っても、仕立て物も減ってきているし
海外縫製に変わってきているしで
まぁ、少ないなりに、なんとか回っていると。

呉服屋も、和裁学校に依頼していれば十分、
海外縫製で十分と
和裁技能士の現状には無関心。

有名呉服店くらいは、お抱えの和裁技能士さんがいるのでしょうけど
それでも、主婦をしながらお仕事をしている方がほとんどかもしれませんね。

和裁技能士とは、名前だけは立派ですが
その中身はといえば
技能士と名のつく職業のなかで
もしかしたら、一番収入の低い職業かもしれません。

今、和裁技能士として仕事をしている仲間は
厳しい修行時代を乗り越え
厳しい不況時代を踏ん張っている
根性ありの、とてつもなく我慢強く逞しい面々であることは間違いないのです。

そして、今、和裁技能士を目指している子たちも
きっとそんな子たちに違いない。
未来の和裁技能士さんたちの時代が
どうか、今よりも、まともに評価される時代であるように願う。

一度も、世間に出て働いたことはない私には
外で働くことの厳しさを知りません。
外で働く方が大変だよと言われるかもしれません。
だけど、和裁技能士は、技術を身につけ
国家検定に受かった子たちですよ。

なんの名案も、対策も思いつきません。
でも、危機感はあります。

いったい何ができるのでしょう。

今日も今日とて
ワンワンと
吠えるばかりの
我が身なり

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