アスプルンドと夫が教えてくれたこと
建築と庭の連続を考え出したのは15歳くらいの時です。
NHK教育テレビの「新日曜美術館」で安藤忠雄の特集をやっていて、建築家って面白そうだしなれたら凄いと憧れました。それから学校の図書館の建築コーナーを読み漁って、北欧のアスプルンドという建築家を知りました。
アスプルンドの代表作は、礼拝堂と火葬場です。その写真を観た時、建築は建物を作るだけでなく、風景や空間を作って、その場に向かう目的(死者を弔い祈る)やその場に立つ人の心の拠り所をつくる行為なのだと漠然と思いました。礼拝堂に向かうための森の道、墓地に行くために踏みしめる石畳、広場に差し込む光や空気が全部繋がっていているような気持ちになり、ランドスケープデザインというジャンルがあるのだと知りました。
じっと座って図面を描くより手や身体を動かす方が好きだったし、植物は触っていて飽きないので、専攻は建築ではなく環境デザインに進みました。理系の頭では無かったので、一人でやるのは無理だなぁと思っていたころで夫に出会い、丸く収まりました。
ありがたいことに、夫に依頼をいただく暮らしは様々なロケーションで、住宅地もあれば草原や林の中に溶け込むような立地、崖、シャレにならない傾斜地や岩盤など、様々な条件が多く、貴重な経験を積ませていただき、私自身も傍らで学ばせてもらいました。
風景をつくったのはアスプルンドだけではありません。日本人は「全部繋がっている」事を茶や日本庭園で一つの文化として昇華させているし、豊かな自然を身近に感じられる北海道にも素晴らしい建築やランドスケープデザインの事例が多くあります。私は身近にそういう仕事に関わる家族が居るのでとても恵まれています。自分もいつか、と思いながら歳を重ねてしまいました。仕事のチャンスを伺っている最中です。
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