群多亡羊

俳句、書き散らし、書評etc... 心に浮かぶ由無しごとをそこはかとなく書き作る。

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最近の記事

本気で「続・星の花が降るころに」書いてみた。

続・星の花が降るころに とは    みなさんは『星の花が降るころに』という作品をご存知だろうか。    光村図書の「新しい国語1」という中学校一年生向けの国語科の教科書に掲載されている安東みきえの書き下ろし小説である。     この教材を用いた単元の最後には、この物語の「続き」を書いてみよう!という授業がよく行われている。それを、『続・星の花が降るころに』として、生徒たちは思い思いの筆致でその続きを綴っていく。     そして、ふと、「これ本気で大人がやったら面白くなるのでは

    • 自由詩 小品 (随時更新)

      やはらかなる雨 つばくらめの低空飛行 石の抽出液 隣の庭先で花開くあぢさい 雨はやはらか けふもやはらか なぁ お前は其のやはらかさを何に喩へる? 赤子の肌? 天使の羽? あるいは 真夏の雲? 何れも違ふだらう 其のやはらかさは 魂の手ざはり 雨はやはらか けふもやはらか 秋桜あなたの眼は秋桜の花 遠い宇宙の秩序のやうに 其れは淑やかに燻つてゐる あなたの心は秋桜の花 遠い時代の調和のやうに 其れは鮮やかに薫つてゐる 今年は秋桜のない秋だとしても

      • 「俳句」を遊べ①

        古池や 蛙飛び込む水の音    松尾芭蕉の言わずと知れた名句だ。日本に生まれて、これを一見も一聞もせずに生活してこれた方がいるというのなら、もはや名乗り出てほしいほどの認知度だ。     では、この俳句の「よさ」を説明できる読者はいるだろうか。無論、芭蕉本人に確認しないことには、それが正解か否かは不明であるが、少なくとも、この俳句が有名であることには有名たる所以があることを看過することはできない。     この俳句の「よさ」。それは、一言でいえば、 超激エモ蛙ジャンプ・エク

        • 【書評】地雷グリコ/青崎有吾(角川)【ひつじの本棚】

          はじめに  本日の書評は「地雷グリコ」。  「第三十七回山本周五郎賞」、「第七十七回日本推理作家協会賞」、「第二十四回本格ミステリ大賞」etc…… 名だたるミステリ賞を恣にし、ついには2024年の直木賞にもノミネートされた話題作だ。  あくまで私の主観にはなるのだが、この作品は2024年上半期において「最も素晴らしい読書体験を与えてくれた本」である。 決して「暇を持て余した神々の遊戯」ではない   グリコ、ジャンケン、坊主めくり、だるまさんがころんだ。  日本人であれば誰も

        本気で「続・星の花が降るころに」書いてみた。

          【書評】ツミデミック/一穂ミチ(光文社)【ひつじの本棚】

          はじめに    初めまして。     群多亡羊(むらたぼうよう)と申します。   「ひつじの本棚」と題して、書籍の書評や解説、感想などを気ままに書き散らしていこうと思っております。 どうぞよろしくお願いします。     1冊目の今回は、2024年の第171回直木賞受賞作品である、一穂ミチ先生の『ツミデミック』(光文社)を僭越ながら評させていただきます。 戦慄のリアルと恍惚のオカルト     コロナ禍が私たち人類に与えた影響は、言わずもがなであろう。     俄かに脅かされ

          【書評】ツミデミック/一穂ミチ(光文社)【ひつじの本棚】