はる惑
いちごカルピスソーダを
ぶちまけたような春
らくがきの鳥たちが
らくがきの鳥たちのように
ちぎれた指をひろってくる
巣立つにはまだ青い
精液の匂いのする指
信号待ちしている男の子の目をうばって
こっそり盗み出したらしい
いちごカルピスに触れるには
まだ毛がかたくて
歯ブラシにちょうどいいかしら
泡だった言葉の下をくぐって
甘さ控えめの世界へとすすむ
まさこのタンスに一番うえには
いちご柄のぱんつがしまってあって
それは春だからではなく
残酷な季節にそなえるためだ
火薬の匂いが染み込んだ指で
性器をまさぐりあって
いちごカルピスソーダを
ぶちまけたような春
ぼくらはみんな
義眼になった
(先日Twitterスペースにて「いちごカルピスソーダをぶちまけた春」から始まる詩を即興で書こう!という遊びがあって、2分くらいで書き上げたものです。即興するとふと自分の気づかなかった内側が現れて来る事があって、面白いものです)
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