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イギリスの学生のランチタイム風景

はじめに

イギリスの学生たちにとって、ランチタイムは、忙しい学生生活の一息つく瞬間でもあります。そんな学生生活の日常に深く根ざしている「学食」、「カフェ」、そして気になる地元のフードに焦点を当てて、学生ランチ事情をご紹介します。


学食(Refectory)は頼もしい

Refectoryと呼ばれる学生食堂は、課題に追われて余裕がないときの学生たちの強い味方です。経済的かつ効率的に食事をしたいなら、ここは頼りになります。手頃な価格の3~4ポンドで、ピザやサラダ、カレーやヌードルなどの様々な料理を楽しむことができます。カフェテリア方式で好きなものを選び、会計を済ませて好きな場所で食べる自由さも気分転換になり、魅力の一つかもしれません。特に晴れた日の、キャンパスの緑豊かな芝生やベンチでのランチは格別です。

ジャケット・ポテト(Jacket Potato)

意外と知らなかったランチの定番がイギリス独特の呼び名を持つ「ジャケット・ポテト」です。他国ではベイクド・ポテトと呼ばれる料理ですが、英国英語ではポテトの皮の部分を「ジャケット」と呼ぶので「ジャケット・ポテト」。外はカリッと中はふわっとしたオーブンで焼いたポテトに、豊富なトッピングを楽しみます。一番オーソドックスなのはベークドビーンズですが、ツナマヨコーン、メキシカン味のチリビーンズなどバリエーションが揃います。どにかくジャガイモのサイズが大きいのに最初は驚きました。そのボリュームたるや、成人の握りこぶし二つ分くらいありそうです。
ところで、「ジャケット・ポテトにベークドビーンズ乗せる」基本の組み合わせは、日本の「お好み焼きをおかずにして白飯を食べる」組み合わせをふと想起させます。食事の献立における「炭水化物」x「炭水化物」の組み合わせは、案外一般的なのかもしれないですね。

ジャケット・ポテト

音楽とともに味わう歴史

特筆すべきは、リーズ大学のRefectoryが誇る音楽との歴史です。学食として学生のお腹を満たしつつ、この場所は1970年代以降、2000人を収容するコンサートステージとして、The WhoやJimi Hendrix、Led ZeppelinからQueenに至るまで、伝説のミュージシャンたちが熱演を繰り広げていました。今もその歴史を物語るパネルが壁に掲げられていて、UKロック好きの私は、「この大学に留学してよかったぁー」と、しばしかつてのコンサートの様子を妄想し、勝手にウキウキしながら彼らの余韻にふけるのです。

The Whoのライブアルバム発売記念の史跡案内板

大学内のカフェ

「キャンパス内で最高のコーヒーをどこで飲めるか?」。新入生向けのオリエンテーション資料の最初にこの一文が載っているほど、カフェは単なる飲食の場ではなく、交流や学習の場所としての役割を担います。多様なカフェがそれぞれ独自の魅力を放ちながら、学生たちの日々を支えています。カフェは単なる食事や休憩だけでなく、仲間との歓談の交流の場であり、勉強場所でもある、大切な場所なのですよね。リーズ大学キャンパス内には14か所のカフェがあります。

カフェ・ネロ(CAFFÈ NERO)

紅茶の国というイメージを裏切り、コーヒーも人気なイギリスでは、「カフェ・ネロ」が最大手のチェーンとして親しまれています。1997年にイタリア品質のコーヒー豆をロンドンにて提供し始めてから、カフェ・ネロは贅沢なコーヒー体験を提供しています。私のお気に入りのメニューは「フラットホワイト」です。ラテよりややエスプレッソの味が強めな感じが好きで、よく飲んでいます。日本でもマックカフェでメニュー化されたり、だいぶ馴染みが出てきていますよね。
しかし「フラットホワイト」については、1点気になるところがあります。それは大きさが、ワンサイズ のみという点です。他のカフェメニュー、例えばラテやアメリカーノはサイズが「M」とか「L」とか複数設定されているのに対し、「フラットホワイト」はイギリスではワンサイズのみなのです。ごく稀にサイズが複数あるお店もみかけますが、基本はワンサイズです。なぜだろう?理由が気になります。ちなみに日本のマックカフェのフラットホワイトはSとMの2サイズ展開のようです。

ティフィン(Tiffin):焼かないスイーツの魅力

オーブン不要で冷やして固めるだけのティフィン(Tiffin)は、スコットランド発祥のチョコレートベースのスイーツです。フリッジケーキ(冷蔵庫ケーキ)とも呼ばれます。同じスペルの英単語 ‘Tiffin’ には、「昼間に食べる軽食」という意味もあり、「ん?ということは一種のランチ?」と思ったりもしましたが、繋がりは定かではありません。
シンプルながら奥深い味わいは、チョコレート、ドライフルーツ、ナッツと砕いたビスケットの組み合わせが生み出す、止まらない美味しさです。
特に稀に一部のカフェに登場する、シロップ漬けジンジャーを入れた「ジンジャーティフィン」は絶品です。興味をもたれた方はぜひ作ってみてはいかがでしょうか?

ティフィン

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