性表現はどこまで許されるのか問題

昨日の続きだ。
セクシュアリティはどこまで許されるのか、という問題。

昨日のイベントでは、LGBTと合わせて、SOGIという単語が多用された。Sexual Orientation(性的指向)・Gender Identity(性自認)の頭文字を取って、ソジと読む。
ここに、性表現は含まれない。

私の身体はそれなりに男性化が進んでいる。今、性表現を女性とするならば、一見には所謂「オネエ」に見えることだろう。しかし、私の生物学的性並びに戸籍上の性は女性である。このような人物が、女性の性表現を行うことに対して、現在の社会はどの程度の寛容を以って迎えるのだろうか。

ばっさりと言い切ってしまうが、異性愛・シスジェンダーを前提・規範とする社会において、セクシュアルマイノリティの主張とは、つまりは身勝手なワガママである。
しかし、それは身勝手なワガママではない。主張し、表明し、表現し、加療して良いのだと、そういう社会が醸成されつつある。

そんな社会において、異性表現(異性装、と同じニュアンスで読んでいただきたい)を行うことの自由度とは、果たしてどの程度確保されているものか。また、この場合の「異性」とは、どの性と比較して「異なる」との評価を下すのか。

またその異性表現が、「性自認と一致する性表現を選択している」という手段なのか、「異性表現を行うこと自体を望んでいる」という目的なのか。その判別は誰が行い、結果どのような評価を受けるのか。

私の場合、学校における男女別の制服や、冠婚葬祭における礼服は、無意識的にも、後から意識できるようになっても、後者が占めていた。合法的に(いや別に違法ではないのだが、社会的死を迎えずに)女装を行える格好の機会であると感じていた。

何度も書いているが、私のGIDの場合、性自認から身体的性別の問題をすっ飛ばして性表現のみを持ってきても、何の解決にもならなかったからだ。胸が大きくて、腰が広くて、肩幅が狭くて、ウエストが細くて。そんな身体へ詰襟を合わせても、型紙に映る性差に絶望するだけだった。

この物理身体が、私の認識身体とは異なる形をしている。その違いこそが、私を苦しめ、悩ませ続けていた。この苦悩が存在する限り、その他の問題に思考を割く余裕など生じ得なかった。

そして今、男性化を進めたこの物理身体で以って、ようやく「女装」が可能になった。そういう状況にある。行動や振る舞いはー……三つ子の魂百までというから、二十歳の魂は数回死んでも治らんだろう。なのでさて置く。「あえて意識的な修正をしていない」という選択を取ってはいるにせよ。

しかし服装というのは意識的に選ぶものである。服は天から降ったり地から湧いたりしない。クローゼットには自分が選んだものが掛かっている。そこの男女比は、8:2といったところか。ほとんど、この体型に合わせて、この外見的性に合わせて、メンズを着用している。

もともと気に入った服を繰り返し着る質で、そこへホルモン療法で変わり続ける体型と嵩む医療費とが合わさって、被服費は抑えられている。胸がない、肩が広いという実態と、パス度を高めるという実益が合わさって、トップスの選択はまずメンズとなる。

逆にボトムスは、肉が変われど骨盤が広い、体格が小さいという理由で、レディースが主となる。……主って言ってもパンツ2本しか持ってないんだけどね。きれいめデニムのスキニーと速乾素材のノータックと。しかも後者はメンズだし。

アウターは、元から持っていたレディースを着続けているものと、新しく買ったメンズとが半々くらい。靴も、足のサイズが24.5cmという、男女のサイズ展開の谷のどん底なので、サイズと好みと実益を兼ねると、レディースのメンズライクに落ち着く。

何の話だっけ。そうだ、女装の話だった。
そういうわけで、服を買えない、買う服がないという理由で、なんだかんだレディースを着てはいるんだが、もっとがっつり着たいわけだよ。メイクもしたいしヒールも履きたいわけだよ。どれも経済的理由で手を出さずにいるが。

で、こういう私がそういう性表現を行うことは、果たして現代社会にどんな混沌を齎すのかが気になっている。怯んでいるのが少しと、齎してやりたいという天の邪鬼がたっぷり。

ああそうだ、感想をひとつ。経済格差を感じた。医者と大学両方に通えるの裏山。まあ「就活」とは学生がやるものだしな……しょうがないよな……ただの生存バイアスだよな……。ReBitって、セクシュアリティの悩みが原因で進路から脱線した子どもの支援とかもしてるんかな……。

まあ私の場合、セクマイ・発達障害・低学歴という、就職以前に社会生活すら危うい三拍子が揃っているので手の施しようがない有様だけどな。謎の不調を抱え、検査検査で消去法ローラーの病院はしごをした今夏。それに似た人生を、この先も送るのだろう、きっと。

……なんかタイトルから逸れた結論に至ったけどまあいいか。

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