「国家はなぜ衰退するのか」要約まとめ

「国家はなぜ衰退するのか」は、ダロン・アセモグルとジェームズ・ロビンソンによる著書で、国家が衰退する主な理由を探求しています。本書は、政治や経済の制度、およびこれらがどのように相互作用し、国家の成功または衰退を決定するかを中心に展開します。

アセモグルとロビンソンは、国家が衰退する主な理由は「包括的制度」から「抽出的制度」へのシフトであると主張します。包括的制度は、権力と資源を広範に分散し、市民に経済的機会と政治的権利を提供します。これに対して、抽出的制度は、少数のエリートが多数の人々から資源を抽出し、独裁的な権力を維持することを目的としています。

彼らは、経済的成功は政治的制度と深く結びついており、民主的で包括的な政治制度が繁栄を促進し、独裁的で抽出的な政治制度が経済的衰退を引き起こすと主張します。例えば、アメリカや西欧の国々のように、民主的な制度を持つ国々は、経済的に成功し、持続可能な成長を達成しています。

しかし、これらの制度が一度確立されると、しばしば自己強化的になります。抽出的制度は、エリートが権力と富を維持するために設計されているため、抽出的制度を採用している国家は、繁栄と持続可能な成長の道から逸脱する可能性が高くなります。そして、一度抽出的制度が確立されると、その維持を図るエリートによって変化を阻止され、国家の衰退が引き起こされる可能性があります。

その結果、国家の経済的成功と衰退は、政治的制度の選択と制度間の相互作用によって大きく左右されます。抽出的制度を維持する国家は、経済的衰退と社会的不安を経験する可能性が高く、包括的制度を採用する国家は、経済的成功と社会的安定を享受する可能性が高いです。

アセモグルとロビンソンはさらに、国家の衰退が必ずしも経済的に後進的であるとは限らないと指摘しています。一部の国家は抽出的制度の下でも一時的な成長を達成することができます。しかし、そのような成長は通常、持続性がなく、長期的な視点からは衰退につながる可能性が高いです。その理由は、抽出的制度がイノベーションや生産性の向上を阻害し、政治的不安定性や社会的な緊張を引き起こす傾向があるからです。

彼らはまた、歴史的な事例を用いてこれらの理論を裏付けています。例えば、ローマ帝国の衰退は、抽出的制度の増加とエリートによる富の独占によって引き起こされたと述べています。同様に、彼らは北朝鮮と南朝鮮の経済的差異を抽出的制度と包括的制度の違いに帰着させています。

結論として、アセモグルとロビンソンは、国家の衰退を防ぐための鍵は、権力と資源の公正な分配を可能にする包括的制度の維持と強化であると述べています。これは、広範囲の人々が経済的機会にアクセスし、イノベーションと成長を推進することができる社会を創り出すための不可欠なステップです。

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