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オタク殺しの音ゲー「ユニゾンエアー」

今週火曜日に「ユニゾンエアー」というオタク殺しのモバイルアプリがリリースされた。いわゆる音ゲーというやつで、欅坂46と日向坂46のライブ映像を楽しみながら遊ぶことができる。ガチャでメンバーのカードを集め、ミッションをこなしながら育成し、自分好みのデッキを組んで、曲に合わせて流れて来るアイコンを指でタイミング良くタップするという仕組みは、従来の音ゲーアプリと何も変わりないのだが、アイドル×ライブコンテンツ×音ゲーの組み合わせが運営側の巧妙さと意地の悪さを伺わせる。

その特徴の一つとして、アプリで使われるライブ映像がどれもDVD化されていないことが挙げられる。大抵のアーティストはライブ後しばらくして映像を売りに出すが、坂道アイドルは、年間で複数回ツアーを行うこともあってか、DVD化されるものが限られている。全ての円盤化を望む声が多い中で、ライブ映像がアプリでしか見ることができないとなればファンはこぞって遊ぶはずだ。1時間以上並ぶことが珍しくない坂道ライブのグッズ販売列で、皆がイヤホンをしてスマホ画面に夢中になっている姿が容易に想像できる。

これに加え、このゲームには従来のソシャゲと同様にガチャを使ったコレクション性が備わっている。ゲームの進度やカードのレア度、育成レベルに応じてメンバーのオリジナルの写真、ムービーその他コンテンツを見ることができ、現実に多くのファンが推しメングッズを集めるのに膨大な時間とお金を投じていることを考えれば、それらを集めるのに彼らが課金をためらうはずがない。デジタルコレクションは生写真などと違いまだまだ抵抗を覚える人が多いと思うかもしれないが、坂道ファンの大半はご存知デジタルネイティブ世代である。

インターネットの普及により音源や映像の価値が希薄化する今日、単純にCD化、DVD化して稼ぐ時代は終わりを迎えつつある。その中で「ユニゾンエアー」は新しい映像コンテンツの使い道を一つ示した。1枚5,000円のライブDVDを10万人に売るより、100万人(既DL)の何割かにアプリで継続して課金させる方がコストを鑑みても割が良いのだ。そして、このアプリを見た時に、やはりアイドルコンテンツこそトークンとの相性が良いと感じた。坂道コミュニティでは当たり前の個人間取引、ファンが信仰することによって生まれる価値。推しメンのデジタルコンテンツが売買される日はそう遠くない気がする。

とあれこれ書いたが、先週の欅坂46東京ドームライブに行ってからどうも頭が坂道ばかりで、特に2日目に披露した平手友梨奈のソロ曲「角を曲がる」が脳内でリピート再生され続けている。私たちに自分らしさを問うと同時に、アイドルが「アイドル」であること、そして平手友梨奈が「平手友梨奈」であることの苦悩を歌っているようだ。その辺りの考察は別の機会に述べるとして、読み進めてくれた人は最後に是非とも聞いてほしい。


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