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殺し屋、やってます。/石持浅海

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・ご自分の身分証明書と、殺したい人の写真をお持ちください。

・殺したい人の情報(氏名・住所など)をお知らせください。分からない場合は、こちらでお調べするオプション(別料金)があります。

・ご依頼を受けてから三日以内にお引き受けできるかどうかお知らせします。

・お引き受けした場合、原則として二週間以内に実行いたします。

前金で三百万お支払いいただき、実行後、残りの三百五十万を速やかにお支払いください。
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伊坂さんの殺し屋シリーズも大好きなんですが、こうゆう設定のお話しってほんと大好きー!笑 章ごとにクセのある依頼人や殺しのターゲットとなる人物たち。殺しを依頼するというだけあって、まぁ~、クセがすごい。

副業で殺し屋を営む(?)富澤さん。本業は経営コンサルタント的なやつをやってます。依頼人と直接やり取りするのは「伊勢殿」と呼ばれる謎の人物。伊勢殿から塚原さん、塚原さんから富澤さんへと依頼が運ばれてきます。塚原さんは学生時代からの旧友でもあります。


◆黒い水筒の女:保育士「浜田瑠璃子」は、深夜になると毎日自宅近場の公園へ出向き、公園の水道で黒い水筒の中身を捨てて洗うという謎の習慣があった。なぜわざわざ公園で水筒を洗う必要があるのか。


◆紙おむつを買う男:普通の会社員かと思われる25歳独身の「小此木勝巳」は、学生当時、過激派に所属している過去があった。仕事が休みの日、自転車で特売日にLサイズのおむつを買いに出掛けていく謎の行動。独身男性がおむつを何に使うのか。


◆同伴者:「伊勢殿」ご登場の章。なんと殺害依頼に母親が同伴?!結婚詐欺の被害に遭ったという息子の無念を晴らそうと殺害依頼にやってきた中年女性と若い男性。妙な引っ掛かりを覚える伊勢殿。まあ面白い!伊勢殿の職業にもビックリです!


◆優柔不断な依頼人:急成長中のITベンチャー企業の社長「春山宏昌」が今回のターゲット。社長さんという者は一人になる時間帯が極めて少なく、殺害タイミングが押さえにくいのだそう。しかし絶好のタイミングを見計らい、実行に移そうとした矢先、依頼中止の連絡が入るが…。


◆吸血鬼が狙っている:オプション(別料金)の希望が入りました。通常、2週間以内に殺害を遂行しますが、例えば「3日以内に殺害よろしく」とか、「殺し方はこんな感じで」とか。希望があれば追加料金で承っております。

今回のオプションは殺害方法。桐のようなものを3~4センチ間隔をあけ、2本首に刺して殺してくれという。まさしく吸血鬼に噛まれたような痕となる。ターゲットは、夫と二人暮らしの会社員「宮永彩美」、趣味で漫画を書き、仲間と共に同人誌を発売しているようだった。聖典に書かれる吸血鬼のお話しにまつわる、切ない真相。


◆標的はどっち:今回のターゲットは「佐田結愛」。依頼を受けるかどうか判断するまでの3日間、殺し屋富澤さんは翻弄される。依頼人からもらっている住所には、間違いなく写真と同一人物の「佐田結愛」が住んでおり、勤務先にも在籍を確認できた。が、しかし、住所には別人の「佐田結愛」がいた。佐田結愛が二人。どちらがターゲットなのか。


◆狙われた殺し屋:なんと今回の依頼は富澤さん本人。隠し撮りされた写真とスクーターのナンバーで身元特定もオプションで依頼。富澤さんは依頼を受け、依頼人をつきとめてゆく。


軽く読めてしまいます。
ターゲットの謎めいた行動など、富澤さんが推理してゆく様もワクワクして面白い。頭キレッキレです。殺し屋としてのプロフェッショナルさがカッコよい。


富澤さんにはプロマンガ家の恋人ユキちゃんがいて、わたしは結構ユキちゃんがお気に入り。ユキちゃんは富澤さんのことを「トミー」と呼んでいて、めっちゃ結婚したいらしい。可愛いですね♡塚原さんともお友だちで、もちろん殺し屋稼業のことも知っています。この本では「吸血鬼が狙っている」の章から後半ユキちゃんも登場しています。


先日、続編の「殺し屋、続けてます。」が文庫化されました。引き続き読み進めます!

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