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あかちゃん。

「あかちゃんはどこからやってくるの?」

純粋な疑問を一つ、
声に出すわけでもなく心の中でこそ呟く。
ちょっと待って。
コウノトリさんが運んでくるわけないじゃない。
騙そうとしてもダメ!!
教科書で習ったことは ちゃんと知っているわ。

パパとママが・・・・・〇△×◆※/////
もちろん、大人だもの。心得ています。

だけど、私たち場合は
パパとママのように一筋縄ではないかない。
私が知る得る全知識を並べ立てたって
私たちのもとに「あかちゃん」がやって来ることは無い。
私と妻は同性同士だから。
なんていうか、それはとても、でぃふぃかると。
パパとママをどんなに真似たって、違う。
たとえ100万回愛し合ったって、
あかちゃんはどこからもやって来ない。
(でも101万回目は出来ちゃうかも。誰かの歌みたいに。)

その前に、

随分 久しぶりの更新なんだから、
私が故郷を離れる日のお話や、
恋人と「結婚」相当の関係を結ぶことに合意した…
もっとロマンティックなお話を綴るべきなのかもしれないけど
誰が読みたいわけでもないでしょうから 笑。
まぁそれはまたの機会に綴るとして、

「ねぇ、あかちゃんはどこからやってくるの?」

教えて、賢いひと。
私たちが授かる場合のことを聞いているの。
だけど、もう十分にお分かりでしょう。
答えは一つよ。
んなもん、どこからもやってくるわけねーだろ、

です。

あぁ、嫌だなぁ。
劇薬で身体が縮んだ
某黒縁眼鏡の少年の言う通りじゃない!

真実は、いつも一つ、ね。

・・・

だけど、自然の摂理なんてなんのその。
時代は常に目まぐるしい程の速さで先を行く。
だから、私たちは結婚というステップを終えて、
世の中が言う “ ごく普通の夫婦 ”のように
当たり前のように子供を持つことを課題とし、
その課題について真剣に話し合いを進めている今日この頃だ。

あかちゃんのレシピは至ってシンプル。
パパとママのように、ごにょごにょしなくたって
材料が揃えばできるのよ。時代ってすごい。ほんとに。

【材料】
①良質なたまご
②良質なおたまじゃくし

【作り方】
Ⅰ:①と②で受精卵を作る。
※作るのはお医者さん。
道具は顕微鏡とかいろいろかな。

これで、条件は整ったけれど、
でもこれだけじゃないのよね。

Ⅱ:Ⅰを良質なベッドで十月十日あたためる。
※ベッドの所有者は、勿論わたし。
妻は生まないから、妻のベッドは使えない。

ところが、Ⅱはあくまで、
あかちゃんの素を作ったってだけで、
無事に生まれるかどうかはまた別問題。
だから、とっても難しい。
奇跡に次ぐ奇跡を起こす必要があるわけよね。
となると、レシピに付け加えるとしたら、こうね。

良質なベッドで温めている間は、
適宜、お医者さんに通って
しっかり赤ちゃんの心音を確認してもらう!

うん、まぁまぁ完璧に近づいている気がする。

・・・

なーんて、
話が逸脱してしまったのだけれど

そう。それでね。
私たちが、たまご屋さんなら
たまごの在庫は豊富だけれど、
肝心なおたまじゃくしが無いってわけ。

で、これをどうするかと考えたとき、

① 血縁者から、ぶんど…いえ、いただく。
② 第三者から、いただく。
自ずとこの2つの選択肢に行きつくわけです。
俺か俺以外か…みたいな話に近い?

妻は①でも②でも良いという考えだけど、
私は、迷わず①をセレクト。
②は胃もたれしそうなメニューだなって思ったの。
人となりを知らない人のおたまじゃくしは嫌だなって。

だって、私が産む以上、
私はあかちゃんと血がつながっているけれど、
②だと妻との血のつながりは皆無だし、
どうせなら血のつながりの在る子を授かりたいと考えた。

というわけで、妻と話し合いを重ねた結果、
私たちは、①を選び取って前に進むことに決めた。

私は妻によく似た「あかちゃん」がほしい。
妻のように、のんびりのびのび、
沢山寝る健やかな子がいい。頭の良い子がいい。
気が強くて生意気なところは、
きっと私によく似るだろうけれど、
それでも、それは私でもなく、妻でもなく、
そして提供者でもない また別の人格を持つ別の人間になる。

授かる奇跡。
生まれてくる奇跡。

言葉にすればたった2つの項目なのだけど、
この2つの奇跡を起こさなければ
わたしたちは「赤ちゃん」に出会えない。
もちろん、その後もあらゆる奇跡を起こさなければならない。
だって、産んだからって終わりないんだから。
無事に育てて行かなければ、ね。

でも書いてて気づいた。
言葉ってとても簡単だよね。
だけど、これって男女でも同じだよね。

不妊に苦しむ夫婦は五万と居る。
皆、色んな悩みや現実的な問題を抱えながら
掛け替えのない「あかちゃん」に会いたいと願う。
一つ一つ奇跡を起こせば叶う。
だけど、奇跡を起こすことはとても難しい。
だから、心も体も挫けそうになるんだよね。
そうだ、お金で苦しむ人だって居ることを学んだ。

だけど、私はシンプルに信じようと思う。
自分自身と妻を。
信じるんだけどね、期待はしないの。
だからラフに考えることを心掛けている。
じゃないと辛くなってしまいそうだから。

・・・

というわけで、
手始めに支援団体さんのイベントに出かけたり、
病院で検査を受けたり、
今は妻の親族と話し合いを重ねつつ、
いつでも自分のベッドをふわふわにしておくために
ヨウ酸サプリはバッチリよ。

そうこうして1年が経過した今日この頃。
それもこれも「妊活」真っ只中と言えよう。

相変わらず、私たちは幸せです。
初めて出会ったときの旨の高鳴りこそ無いけれど 笑。
でもね、それが無いから
寂しいとか満たされないってことじゃなくて
また別の胸の高鳴りが有ったり、
また別の心の安定が有るからこそ幸せなの。

思い起こせば、
未だ今よりもっと若い頃は
幸せって何だろうって時々考えることもあったけれど、
幸せは、ゴールではない。
感情と同じ。嬉しい・楽しい・悲しい・寂しいと同じように、
今の心の状態のことを言うのだと思う。

こんなに割と毎日「幸せ」だと感じるのは、
妻のおかげなのだと切に思う。
私は随分とワガママで高慢で、それでいて気が強くて、
厄介なことに甘えん坊だけれど
不思議と妻と居ると心が整う。
まるでサウナのような人なのだな、私の妻は。


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