マーケティングの基礎(11)「ニーズ」と「ウォンツ」の違い

マーケティングでよく使われる言葉に、「ニーズ」と「ウォンツ」があります。今回はマーケティング観点からのこの2つの違いについてご紹介していきます。

まず、端的に2つのちがいを述べるならば下記の通りです。

ニーズ=消費者が「必要性を感じ、求めているもの」のこと
ウォンツ=「潜在的なニーズ」のこと(必要性を感じているのではなく、欲求を持っている状態のこと)

これだけだと分かりにくいと思うので、車を例にあげてみたいと思います。

たとえば、公共交通機関が充実していない地域では「交通手段としての車」にニーズが存在しています。
そうなると、公共交通機関が充実していて駐車料金も高い都心部では車のニーズはなくなってしまうかのように考えられます。

しかし、実際には都心部でも車のニーズはありますよね。
そこでのニーズは単なる「交通手段としての車」ではなく、「自分を大きく見せてくれる車」「自分の気持ちを高めてくれる車」といったものとなり、車にまつわる別の要素にニーズが存在しているということになります。

要するに ニーズというのは既にお客様の中で「こういう商品がほしい」と必要性がモノやサービスとして認識されているもの ということができます。

一方、環境への影響を小さくしたハイブリッドカーを選んでいるのは環境への関心が高く自然が好きな人、環境保護や自然愛護に関連した仕事についている人などです。
これらの人々はそもそも車を欲しいとは思いません。先ほど述べたように移動手段として仕方なく車を使用することはあっても、環境に影響を与える車を積極的に利用しようとは思いません。

実はそこに「環境にやさしい車があったらいいな」という潜在的ニーズがあるわけです。
これが「ウォンツ」なのです。

この「ウォンツ」の状態では「環境に配慮した車」という顕在化したニーズはなく、潜在的なものとして消費者の意識に潜んでいるため、そもそも「買いたい」という思い自体生じていません。

お客様が持っている「ウォンツ」を顕在化して掘り出すことで、他社との差別化を図ることができ、競争に巻き込まれる前に売り上げをアップさせることも可能になってきます。

そのために、まだ顕在化されていない「ウォンツ」を求めて、様々なグループインタビューやアンケート調査などが熱心に行われているのです。

このように、売れる商品を開発するには、生活者のより高度なニーズを見極めること、ニーズとウォンツを混同せず、現実に合わせた提案をしていくことが重要だと考えられます。

ニーズとウォンツの違い


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