【考察③】〜打撃特化か守備特化か・その2〜
前回の投稿(計算結果)
前回の投稿(【考察③】〜打撃特化か守備特化か・その1〜)の続きです。
▲ 前回の投稿(【考察③】〜打撃特化か守備特化か・その1〜)
この“得点公式”を使って、いろいろなパターンを計算してみた結果が、以下の通りです。
条件として、計算の便宜上、約1試合分と想定して、全打者3打席ずつで3打数(計27打数)を基準に計算しています。
計算結果をまとめると
計算結果をまとめると、このようになります。
【 】内の得点(もしくは失点)が想定されるということになります。
この結果をみただけでわかることは、守備側の際は1試合に4失策もしてしまうと、勝負にならなくなるということ。
そして、チーム打率が2割程度のチームの攻撃は、守備側の相手チームの与四死球やエラーが増えることを期待しない限り、2点以上の得点は期待できないということです。
全体の結果を眺めてみた結果として、この段階では、四死球0・エラー0の場合と、1・2個程度の四死球・エラーが出る場合とで、そこまで大きな差が見られないことから、「四死球0・エラー0」を目指すか、それとも「チーム打率を上げる」ことを目指すかと考えると、ある程度の守備力があるのであれば、打撃力をつけることに力を注ぐべきかと思われます。
考察(結果を比較して)
【1】チーム打率2割・単打のみ・与四死球0・失策0を基準として考えてみます。
【1】【3】【5】を比較して
(四死球が増えたときの得点の変化)
⇨ 四死球が3増えるごとに約0.4点増える
【1】【7】を比較して
(長打が増えたときの得点の変化)
⇨ 半分が2塁打になると約0.5点増える
【1】【9】【11】を比較して
(エラーが増えたときの得点の変化)
⇨ エラーが1増えるごとに約0.6〜0.7点増える
【(奇数/打率2割)】の比較まとめ
以上3つの【1】【3】【5】【7】【9】【11】の比較から、
①「エラー1」/②「半分2塁打」/③「四死球3」の順に、得点力が上がり、失点リスクが上がることがわかります。
このことから、攻撃側としては、相手のエラーを期待するわけにはいかないので、長打力を伸ばすことが得策と考えられます。
そして、守備側としては、打力のないチームとの対戦の際は、エラーを1つでも少なくすることが総失点数を減らすのが重要だと考えられます。
【(偶数/打率3割)】との比較
また、チーム打率2割として計算した【(奇数パターン)】を、チーム打率3割として計算した【(偶数パターン)】と比較すると、以下の2点のことがわかります。
まず、チーム打率2割よりチーム打率3割の方が、「エラー+1」/「半分2塁打」/「四死球+3」のすべてにおいて、得点力がより上がり、失点リスクもより上がることがわかります。
つまり、打撃力を伸ばすことにより、相手守備のエラーや四死球が増えることによって入る得点がより多くなるということです。
そして、打撃力のある相手チームとの対戦のときは、1つの四死球やエラーによって取られてしまう失点がより多くなるということです。
まぁ、これは“当たり前”といえる結果となったと思います。
そしてもう一点が、チーム打率2割の場合は①「エラー1」/②「半分2塁打」/③「四死球3」の順に、得点力が上がり、失点リスクが上がりましたが、
チーム打率3割の場合は、①「半分2塁打」/②「エラー1」/ ③「四死球3」の順に、得点力が上がり、失点リスクが上がる結果となり、①と②が入れ替わりました。
比較した結果は以下の通りです。
攻撃側からすると、チーム打率が上がり、長打力も上がれば、得点力が大きく上がることは、まぁ当然です。
守備側の際は、打撃力のあるチームと対戦する時は、エラーが1増えるごとに約0.7点増えるためエラーを1つでも少なくすることとともに、とにかく「長打を防ぐ」(長打を打たれないような配球とポジショニングをする)ことが大切だといえます。
今回の計算では「半分が2塁打」として計算していますが、実際は3塁打や本塁打も打たれたりするため、失点のリスクは今回の計算結果以上にあります。
考察(強豪校と対戦シミュレーション)
チーム打率2割の【普通のチーム】が、守備率10割&チーム打率3割の【強豪校】と対戦するとして、シミュレーションしてみました。
得点公式をもとにした【普通のチーム】の失点の予測・目安はおおよそ【2〜4点】として考えると、
打撃力を上げることで、計算上
の接戦に持ち込めると予測できます。
また、得点公式をもとにした【普通のチーム】の得点の予測・目安はおおよそ【1点】として考えると、
守備率10割(失策0)、与四死球0だとしても、計算上
で負けてしまうことが予測されます。
つまり、格上の強豪校と対戦することを考えると、とにかく「四死球を出さない」「エラーをしない」ということよりも、「打撃力をつける」ことが必要であるということがわかります。
最後にまとめとして
今回の得点公式を使った計算結果から、番狂わせ・ジャイアントキリングを起こすために必要な力をまとめると、次の通りになります。
まず前提条件として「四死球の少ないコントロールの良い投手」「失策の少ない守備力」は必要です。
ただ、もちろん四死球0・エラー0が理想ですが、そこまで求める必要はありません。
多すぎたら勝負にならないですが、極力少なく収められれば大きな問題ありません。
守備側の際、与四死球やエラーを減らすこと以上に重要なことは、相手に長打を打たれないことです。
今回の計算では「半分が2塁打」のパターンしか計算して検証していませんが、実際は3塁打や本塁打も起きるため、計算結果以上の大きな失点のリスクがあります。
守備の際はとにかく「長打を防ぐ」こと、バッテリーは長打を打たれないような配球を、内・外野手は長打を防ぐ(例えば、深めの)ポジショニングをすることが必要です。
そして、守備以上に、打撃力を伸ばしてチーム打率を上げ、長打力をつけていくことが必要になります。
要は超簡単にまとめると、
です。
打撃を補う走塁力
このようにまとめてみましたが、実際なかなか「長打を打つ」といってもやることは難しいです。
ただ、長打を打てなくても、走塁で補うこともできます。
例えば、
です。
盗塁でなくても、相手の隙を突き、2塁へ、3塁へ、本塁へと、1つでも先の塁を奪っていけば、長打を打ったことと同等の結果を得られます。
走塁にも、勝つためのヒントがあるということです。
守備だとその逆で、長打を打たれたのと同等の結果にならないように、例えば外野手の長打警戒の深めのポジショニングから素早いプレス(猛ダッシュで素早く打球処理)をするなど、余計に塁を進まれないようにする必要があるということです。
超簡単にまとめたものに、少し加筆すると
となります。
以上で今回の考察は終えますが、これはあくまで計算上の話です。
もちろん実際の試合の中での駆け引きや野球勘、選手の感性などによって結果は変わりますし、打率だ長打だ言っても、本当に勝負のかかった大事な場面で打てるか打てないかによっても大きく結果が変わります。
「サヨナラエラー」なども、そうです。
ただのエラーの数だけの問題ではなく、“どんな場面で”するか、です。
そのような大事な場面で発揮して、本当の勝敗を決める「チャンスで一本出せる打撃力」「ピンチを0で守り切る守備力」は、最後の最後の底力・メンタル力です。
もしかしたら、今回の得点公式を使った計算は“机上の空論”なのかもしれません。
あくまで考えるきっかけとして、思ってもらえたら嬉しいです。
以上で終わります。
私自身、今回の“得点公式”を使った考察は、野球を深く論理的に考えることができるいい機会でした。
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