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【栄養⑦】〜水分補給(喉が渇く前に・こまめに)〜

埼玉県では、夏の大会の抽選会の日を迎えました。

高校球児にとっては、これからの時期は夏の大会まで、トレーニング過多などによるケガや、コンディショング不良によるパフォーマンスの低下といったことで、今までの努力が水の泡にならないように、細心の注意を払わなければいけません。

特にこれからの時期は、本格的な夏へと向かっていき、非常に暑い季節を迎えます。

これからの時期、熱中症予防としてだけではなく、ケガ予防コンディショング維持の観点においても、特に大切なことは“水分補給”です。

これまでに「スポーツフードスペシャリスト」と「スポーツフードアドバイザー」の資格取得の中で得た知識や、その他各種セミナーや講演会、野球指導専門誌の特集や連載記事、書籍の中で学んだことを参考に、前回までの投稿の中で、五大栄養素といわれる「たんぱく質」「炭水化物(糖質)」「脂質」「ビタミン」「ミネラル」について、私自身の頭の中のアウトプット・整理整頓・アップデートも兼ねて簡単にまとめてきました。

今回は、着眼点を少し変えて、“水分補給”についてまとめようと思います。

少しでもご参考になれば幸いです。

水分が全体の6割

水分がどれほど大切か、ということは、以下のことからわかります。

われわれの体を構成する成分を重量比で表すと
次のようになります。

◯ 糖質 … 1%

◯ ミネラル … 4%

◯ 脂質 … 約15%

◯ たんぱく質 … 15〜20%

◯ 水分 … 約60%

年齢によって差はありますが、人体の約60%は水で構成されています。

体の中の組織にも多くの水分が含まれ、それだけの割合を占めるだけ、人体にとって水分は大切なものになります。

“入る水”と“出る水”

われわれは日々、その大切な水分を排泄物を出したり、汗をかいたりして、体内に排出しています。

そして、新たに同等の量の水分を摂取することで、体内の水分量を維持しています。

体外に出る水の中には、汗とは異なり、気づかないまま水分が蒸発していく不感蒸泄があります。

この不感蒸泄は、体温が1℃上昇するごとに15%増えます

平熱で室温が28℃のときに、約15ml/kg/日です。

例えば、体重70kgの人は1日1050mlの不感蒸泄があります。

また、気温が30℃から1℃上がるごとに15〜20%増えるため、気温の上昇による水分の蒸発量には注意が必要です。

気温が高くなると、汗以外にも、知らないうちに多くの水分が体外へ排出されるということです。

水分量が減ると

では、体内から水分量が減るとどのようなことが起こるのでしょうか。

簡単にまとめると、以下のようになります。

◯ 水分減少量(%)… 症状

◯ 1% … 喉の渇き

◯ 2% … 強い喉の渇き,パフォーマンスが落ち始める

◯ 3% … 非常に喉が渇く,唇が乾燥してくる

◯ 4% … 皮膚の紅潮,体温上昇,疲れやすくなる

◯ 5% … 集中力の低下頭痛

◯ 6% … めまい,尿量の減少,皮膚が青紫色になる

このように、水分量が減少していくと、このような症状が現れ、脱水症状や熱中症といった症状を引き起こします。

熱中症

では、夏の時期によく発生する“熱中症”とは、どのようなものなのでしょうか。

激しい運動を気温や湿度が高い環境で行うと、体内で作られた熱をうまく外に逃がせなくなり、体の水分や塩分が減っていきます。


そうすると、体内の血流が悪化し、体の表面から空気中に熱を逃がせなくなり、汗もかけなくなります。

それによって体温の調節がうまくできなくなると、熱がたまって体内にたまり、体温が上昇します。

このような流れで熱中症が引き起こされます。

また、熱中症にも以下のような種類の症状があり、対処法も異なります。

もちろんしっかりとした水分・ミネラル分の補給によって予防することが一番大切ですが、もし万が一このような症状が現れてしまったときに、どのような対処法をとるべきなのかをしっかりと把握しておくことも大切です。

尿の色からも判断できる

また、水分が不足しているかどうかは、尿の色からも判断できます。

水分がしっかり摂れていて不足していないときは、尿の色は“薄い黄色”です。

しかし、水分が不足してくると、濃縮されたような、オレンジ色に近い“濃い黄色”になります。

これがさらに濃くなって、茶色に近い色になってしまっているときは、水分不足で危険な状態です。

セルフチェック方法として、ぜひご活用ください。

水分補給のタイミング

では、水分不足とならないように、水分補給のタイミングとポイントを、覚えられる程度の5点にまとめて簡単に紹介します。

喉が渇く前こまめに飲む

15〜30分ごとコップ1杯程度の量を摂る
1時間で500mlペットボトル1〜2本の量を摂る

少し冷ため(5〜15℃)のものを飲む

④ 少しの糖分・ミネラル・塩分が含まれているものを飲む
スポーツ飲料麦茶がおすすめ

⑤ 汁物・野菜・果物など、食事でも摂れる

喉が渇いた時にはすでに遅い(水分不足の状態)ので、こまめに15〜30分ごとに、ただの水ではなく、冷たいスポーツ飲料や麦茶を飲むということです。

もうすでに一度は聞いたことあるかと思われるかもしれませんが、改めてこのことが大切だということを再認識していただければと思います。

まとめとして

冒頭にも記したように、本格的な夏へと向かっていき、非常に暑い季節を迎えます。

高校球児にとっては、ケガやコンディショング不良によるパフォーマンスの低下などが起きないよう、特に気をつけなければいけない時期になります。

体内の水分不足は、熱中症などの症状を引き起こしますし、そのような症状がでなかったとしても、自分自身のパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。

喉が渇く前にこまめにしっかりと水分を補給し、特に高校3年生は最後の夏を最高の形で迎えることができるよう、大会までの残りの期間を過ごしてもらえればと思います。

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