【栄養⑧】〜練習期の栄養と食事〜
久々の投稿です。
ここ最近は、本業である地歴公民科の授業の教材研究(授業の準備)や、子育てに時間を割いておりました。
気づいたら、もう11月。
日本シリーズを食い入るように観る、ここ数日です。
月日が経つのは早いものですね。
高校野球は、関東大会も終わり、埼玉県内では各地域ごとに“市内大会”と呼ばれるローカル大会が行われる時期になりました。
さて、高校球児にとっては、これから先の時期は大きな大会もなく、12月〜3月初めまで対外試合のできない“オフシーズン”に入ります。
3月の“シーズンイン”でこれまでとは違うパフォーマンスを発揮できるようになるため、トレーニング・体づくりを行っていく期間になります。
対外試合ができませんから、これまでの時期のように、短期的に結果を求められるわけではありませんので、トレーニング・体づくりに長期的な視野で、より計画的に、より重点的に取り組むことができます。
体づくりには、トレーニングだけではなく、その後の“栄養補給”と“休養”も重要です。
「トレーニング→栄養補給→休養」のサイクルをしっかり回さないと、むしろ逆効果で、ケガの原因となり、体づくりに繋がりません。
今回も、これまでに「スポーツフードスペシャリスト」と「スポーツフードアドバイザー」の資格取得の中で得た知識や、その他各種セミナーや講演会、野球指導専門誌の特集や連載記事、書籍の中で学んだことを参考に、練習期の栄養と食事について、私自身の頭の中のアウトプット・整理整頓・アップデートも兼ねてまとめてみました。
少しでもご参考になれば幸いです。
1日4500〜5000kcal必要
まずはじめに、高校球児は毎日かなりのエネルギーを消費するため、1日に4500〜5000kcalを摂取しないとエネルギー不足になってしまうと言われます。
そしてその中で、糖質の1日の摂取量は、1日に必要なエネルギーの約60%が目安と言われています。
そうすると、高校球児は1日に約3000kcalの炭水化物(糖質)を摂取する必要があるということです。
糖質は1gあたり約4kcalのエネルギーとなるので、約3000kcalを摂取するには約750gの炭水化物(糖質)を食事で摂る必要があります。
3000kcal(750g)の糖質を摂取するには、どのくらいの食事量を摂取する必要があるか、イメージがわきますか?
詳しくは【栄養③】〜炭水化物(糖質)〜の中で記していますので、そちらをご覧ください。
ご飯だけで750g摂ろうとすると1日13杯半、食パンだと約27枚、バナナだと約27本食べる必要があります。
結構な量ですよね。笑
これだけの量を3食の食事の中だけで摂取することはかなり困難です。
1食でごはんを何杯食べればいいんでしょうかね?笑
ですが、これだけの量を摂取しないと、エネルギー不足になり、疲労の蓄積、筋力の低下、脳の活動の低下を引き起こし、またそれによりパフォーマンスの低下や、集中力の低下、故障にも繋がります。
糖質による摂取で不足する分は、本来は体づくりに使われるべき“たんぱく質”や“脂質”が代用されてエネルギーとされてしまいます。
糖質の摂取不足は、練習期で重要な体づくりが進まないだけでなく、疲労や集中力低下で練習の質が落ち、ケガによりそもそも練習自体ができなくなることもあるということです。
筋力強化のメカニズム
では、次に筋力を強化するには?という話になります。
トレーニングをすれば筋肉がつく、と簡単に考えがちですが、実際はトレーニングをすると筋肉は損傷します。
ですが、その後に適切なタイミングで栄養補給と休養を行うことで、損傷した筋肉は修復し、さらにこれまで以上に太く強化された状態で修復されます。
このことを“超回復”といいます。
これこそが筋力強化・体づくりです。
では、適切なタイミングはいつか?というと、トレーニング後“30分以内”に栄養補給を行うとよいとされています。
実際のところ、トレーニング後30分以内にしっかりとした食事を摂ることは難しいですので、後述しますが、摂取方法の工夫が必要です。
また栄養素の割合としては、糖質:たんぱく質=3:1の割合が理想的だそうです。
ただエネルギーとなる糖質を摂取するだけではなく、体づくりの材料となる“たんぱく質”をしっかりと摂取しましょう。
それに加え、以前【栄養①】〜たんぱく質(アミノ酸スコア)〜や【栄養⑤】〜ビタミン(軽視しがちだが実は大事)〜で述べたように、できるだけ効率よく最大限のたんぱく質を吸収できるよう、アミノ酸スコアを100に近づけるよう努力したり、ビタミンB6やビタミンCといったたんぱく質の吸収を助けるビタミンもしっかり摂れるようにしていきましょう。
たんぱく質の必要な摂取量
そんなたんぱく質ですが、1日の摂取量の目安としては、体重1kgあたり、約1.5〜2gのたんぱく質を摂取する必要があります。
野球は持久力系というよりは瞬発系のスポーツであるため、体重1kgあたり約2gのたんぱく質を摂取するのが良いです。
ということです。
例として、体重70kgの選手であれば、70×2=140なので、1日に140gのたんぱく質摂るということです。
ただ、1回の食事の中で吸収されるたんぱく質の量は“40g程度”です。
夕飯だけでドカ食いをするなどしても、最大で40g程度までしか摂取されません。
つまり、1度の食事で摂取できる量が限られているので、食事を何回かに分けて摂取することが大事になります。
では実際に、先ほどに引き続き70kgの選手が1日に140gのたんぱく質を摂取することを例として考えてみます。
1度に摂取できる量は40g程度なので、1日3食に分けて摂取しようとすると、
になります。
ですが、これでは1日に必要な摂取量140gまで、あと20g足りません。
この不足分は、朝食と昼食の間や、昼食と夕食の間に、摂取するしかありません。
補食の活用
まとめると、これまで述べてきたような、1日に必要な糖質の量と、たんぱく質の量を(より適切なタイミングで)摂取するために、3食の食事をしっかり摂ることはもちろん、それに加えて“補食”を活用することが重要になります。
朝昼晩の食事と食事の間に“補食”を行うことにより、3食の食事だけでは不足してしまう糖質や、摂取しても吸収されないたんぱく質を吸収することができ、筋力の回復・強化に繋がります。
高校球児なら、学校の休み時間や部活前、練習中の休憩時間、部活終了後に、たんぱく質をしっかり含んだ具いっぱいのおにぎりを食べたりして、この不足分を補っていきましょう。
ですが、朝・昼・晩の“食事”に加え、補食においても、“固形物を噛んで食べる”ことですべてを賄おうとするとさすがに限界があります。
そのため、プロテインもうまく活用して“飲み物”として摂取するのがオススメです。
私のオススメは、1日の学校生活の中で次のようなスケジュール例で、栄養補給を行うことです。
高校球児は、ぜひ参考にしてみてください。
オフシーズンは、取り組み方次第では大きく飛躍するチャンスのある期間です。
高校球児の皆さんには、できる限りの最大限の努力をし、このひと冬で大きく羽ばたいてもらいたいと思います。
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