編集長の推薦図書「新版PR戦略」 #今週のマーケ本
皆さんいかがお過ごしでしょうか。靴磨くマーケターの小東です。
突然ですが、私は「革靴人口を増やす」ために「革靴伝道師(エバンジェリスト)」として複業しています。
具体的には初心者用靴磨きセットをプロデュースしたり、大手企業に出張靴磨きをしたり、ブログで発信したりしています。
ただ革靴業界は働き方改革による軽装化の波を受けて、革靴の販売数はどんどん落ち込み、厳しい状況です。
若い人でもかっこよく革靴を履ける文化や空気感を醸成したい。そのためには……?と考える日々です。
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皆さんは「戦略PR」という言葉を聞いたことがありますか?
世の中の「関心事」と絡めて話題を提供し、生活者になにか「気づき」を与えて振り向いてもらい、そこで自社商品をアピールして購入してもらう。そんな一連の活動を指します。
「SNSマーケティング」も「インフルエンサーマーケティング」も戦略PR上のチャネルのひとつとして捉えてみると、企業の販促を紐解くときに学びが多いです。
そこで今回は上記「新版戦略PR(本田哲也)」のご紹介です。今見たら価格の表記がバグってますね、本来は800円くらいで買えます。
■本の要点
本の趣旨を私なりにまとめると、こうなります。
・戦略PRにより「カジュアル世論」(=モノが売れる空気感)を創って生活者に気づきを与え、買う理由を起こさせよう
・そのために、マスコミやクチコミ、インフルエンサーを活用して、話題に上がりやすく伝播しやすい状態を設計しよう
こう見ると、私の所属する組織の得意分野である「SNS活用」はクチコミ(と一部インフルエンサー)という、特定の範囲の施策なんですね。
「SNS運用の部分最適化問題」に陥らないためにも、全体観を理解しておきたいです。
■ポイント:世間の関心事を、自社商品の強みで言い換える
紙オムツの販売戦略の事例が秀逸でした。企業はプロダクト視点だけでなく生活者視点を持つと成功しやすい、という好例。
吸収力とフィット感が強みの商品を販売している会社が、世の中のママにもっと受け入れてもらうために工夫しました。
そのメーカーは小児科医と連携して「実は子供は睡眠不足である」という調査を打ち出したのです。
吸収力とフィット感の高い紙オムツ → ぐっすり安眠できる紙オムツ
このように関心軸をシフトさせ、自社の強みを言い換えたわけです。
他にランニングシューズメーカーの事例もありましたが、エッセンスは同じ。「世間の関心事は●●ではないか?(仮説)」→ 調査 → 軌道修正。
成功企業はこの流れを押さえてプロモーション施策を動かしていました。
■まとめ
今回の話をもとに、「もし自分がPR戦略の企画者なら?」という視点でまとめると下記になります。
・クライアントの商品はそもそも名称認知がどれほど取れているのか。生活者に定量定性的にどう受け取られているのか確認する
・世間の関心事に関する仮説を立てるとき、立てた仮説を検証するときに、ブログやSNSのソーシャルリスニングを行う
・TVCM、雑誌、SNSの各専門家に相談する前に、自社で仮説部分を固めて大筋のコミュニケーションデザインを合意を取る(そこから指摘を受ければ軌道修正)。その後予算繰りと効果検証用のKPI設計を行う
自分で書いてみて、かなり壮大で笑ってしまった。後半になると社内折衝や世渡りが大事になるわけです。
でも、本当にここの「自社で仮説部分を固め」ることができずに、部分最適化がすすみ崩壊してしまった案件を耳にするので、注意したい。
あとはインプットに関して、こういうクセ付けが良い筋トレになりそうそう。
・事例を見る時、企業のマーケターは課題をどう捉えて、世間ゴトに転換したのか言語化する。
・例えば、ナイキのランニングシューズの販促事例なら「ランニング人口増加の裏に潜む【迷走ランナー(習慣化できていない人)】」に対して、「【迷走ランナーを救出!】というメッセージのもとメディアに露出させてRUNBASEやマイコーチなどを提供した」など。
隣接領域だと、ブランドの知覚価値について詳しい「デジタル時代の基礎知識「ブランディング」:「顧客体験」で差がつく時代の新しいルール(出口義宏)」も、合わせて読めば非常にタメになると思う。
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今週磨いた革靴はRENDOのプレーントゥ。名古屋に革靴工場を見に遠征するために、気合入れて磨きました。
また来週もお楽しみに。
■ゆるく、ランチできれば
最近ちょっとずつご連絡いただく数が増えてて、泣くほど嬉しいです!!
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■私が過去に書いたnote記事
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