見出し画像

G-SHOCK、愛してる。カシオ計算機のマーケティングトレース

先日、自分のnoteで「自分の身近な企業をどんどんリストアップして、そこから調べてみる」という話をしました。

フレームワークを学ぶなら、まず分かりやすい事例から。

そう思って今回は、いつも身に着けているG-SHOCKの「カシオ計算機」さんを題材にします。


■■そもそもカシオ計算機とは?

言わずと知れた大手電機メーカー、カシオ。
扱う商品は電卓や電子辞書、デジタルカメラに時計と幅広いです。

▼経営理念
カシオの経営モットーは「創造 貢献」です。それまでにない斬新な働きを持った製品を提供することで、社会貢献を実現するという意味です。

新しい働きを持った製品は、多くの人の生活を助け、社会を進歩させます。あるいは多くの人に楽しみをもたらし、新しい文化を生み出す源となります。新しい製品が普及すれば、そこには新しい市場が生まれ、さまざまな周辺産業が育ちます。カシオはこのように、製品やサービスの提供を通じて、さまざまな側面から社会に貢献したいと考えています。
https://www.casio.co.jp/company/principle/ 

新しいプロダクトを生み出すことで、市場が生まれ、周辺産業を刺激する。メーカーとしての意気込みを感じます。


▼国内の競合:

製品ジャンルの幅が各企業違うので正しい比較とはあまり思えませんが、売上高のみで見ると、シチズンとかなり拮抗しています。その後ろをセイコーが追っかけている。


▼顧客セグメント売上高

国内の売上は33%のみで、ほとんどは海外。シチズン時計も見てみたら32%でしたので、この業界は海外が占めるパイが大きいのかもしれません。

・・・

https://newspicks.com/news/2880418/body/

今回は大ヒット商品「G-SHOCK」に絞ってみてみますね。ブーム再来で、16年度は850万個達成。

後述しますが、いまやタイやインドを中心に海外比率が7割を超えるブランドです。

※ちなみにカシオ計算機全体だと、最近では「余り計算機がなぜ売れたか」「デジタルカメラからなぜ撤退したか」という趣旨の記事が為になりました。


■■3C分析:G-SHOCKと市場

G-SHOCKが発売される前まで、時計=宝飾品のイメージが根強かったそうです。

「落としても壊れない時計」を作るため、開発チームは2年の歳月をかけました。

調べるまで知らなかったのですが、90年代にアイスホッケー選手に吹っ飛ばされるという衝撃的なCMによって、まず米国で流行。誇大広告と思われたとか(笑)

その後、ストリートファッションが日本に来た時にG-SHOCKも逆輸入されたそうです。

参考:
http://www.sankeibiz.jp/gallery/news/171116/gll1711161016001-n1.htm 


■■大ヒットの背景

■850万台のブーム再燃は、アジアにおけるスターマーケティング戦略

NewsPicksに開発者の伊部さんのインタビューがありました。そこに面白い記述が。

▼海外比率7割のG-SHOCK、攻め方の秘訣
我々は2008年頃から世界中で、「ショック・ザ・ワールド」という大規模なプロモーションイベントを開催していて、各国のスターにG-SHOCKの魅力を語ってもらうんです。

例えば、ベトナムでは有名なDJとかミュージシャンを呼んで、参加者がもみくちゃになるくらい盛り上がりました。

時計ってファッションの一部で、情緒的なアイテムなんで、やっぱり有名人の誰が持っているとか、そういう「憧れ」を生むマーケティングが刺さるんでしょうね。https://newspicks.com/news/2880420/body/

防塵防汚、丈夫さ、夜間にも使える利便性といった便益はもちろん、ブランドとしての魅せ方も研究していますね。


■丈夫さに、オーバースペックを搭載

G-SHOCKて、そもそもめっちゃ種類があります。私が使っているのは最もベーシックな商品、6900というもの。

中央ボタンを押せばライトが光る。スポーツシーンに役立つストップウォッチもついてる。ひとつ、たしか15,000円で買えます。

このコスパは魅力的ですが、近年ではラインナップがどんどん増えて価格帯も広がっています。

Gショックのウリである「タフネス」をさらに追求し、陸・海・空、それぞれの過酷な環境下でも耐えうるプロ仕様の時計をコンセプトとしている。デジタル時計においては、1990年代から潜水用防水機能がついた「FROG MAN」など「~MAN」と名付けたプロ仕様の人気モデルは既に存在していた。このアナログ版を作り、改めて「陸・空・海」という切り口でまとめて訴求し始めたのが同シリーズだという。

アナログタイプには「陸の覇者(MUD MASTER)」、「空の王者(GRAVITY MASTER)」、「海の強者(GULF MASTER)」と、3つのラインがある。
https://toyokeizai.net/articles/-/109335

ジャングルや深海といった厳しい環境の気圧や温度にも耐えられたり、ソーラーやスマホとの接続が可能になったり。その分、お値段は5万~10万に。

コアなニーズにも応えるとともに、「大人がちょっと背伸びして買いたい時計」になっていったんですね。

それにしても名前、強そう過ぎィィ!!


■他ブランドとのコラボ

丈夫さを売りにしたG-SHOCKは、スケボーやスノーボードといったエクストリームスポーツやアウトドアを楽しむ若者だけのものではなく、学生も社会人も当たり前に付けるブランドに上り詰めました。

普及の理由のひとつには、なんといっても他社とのコラボがあるでしょう。

写真はPinterestで「g shock コラボ」と検索したものです。女性モノのブランドから、ニッチなオタク系コンテンツまで色々な種類のコラボG-SHOCKが見受けられます。

G-SHOCKの強みであるスポーツやアウトドアが好きでない層でも、他社のブランドと掛け合わせることで上手く取り込んでいくんですね。

※ちなみに私が付けているのも、マンハッタンポーテージとコラボしたG-SHOCK。


■■まとめ

・「落としても壊れない時計」というシンプルなコンセプトを突き詰めた

・欧米からアジアまで、派手なCMやイベントで実用性とブランド訴求を徹底した

・近年では強みである「タフさ」に付加価値を付けて、高価格帯やコラボで、利用者数を伸ばしている

こうまとめると、あっさりしてしまいますが(笑)

個人的には日本のシェアがもう少し大きいと思っていましたが、今では世界のブランドなんですね。

2時間という時間を区切ってやったのですが、ポジショニングマップとSTP分析は付けられたかも。。悔しい。

今後も身近な企業を深堀していきたいと思います。

サポートしてくれた方、いつでも靴を磨かれに来てください。