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日本・地球の未来とスポーツを考えよう!

皆さん、こんにちは。神村です。

前回、マーケティング・広報の仕事について、スポーツ業界に求められるスキルという切り口からお話してきました。
今回は、直接的なスポーツの話題からは少し離れて、「日本の未来・将来」、「地球の未来・将来」について皆さんと一緒に考えたいと思います。
スポーツに関わる全ての人たちが、自分事として捉えて欲しいです。
(本稿は「Off the pitch talk 」第149~151回の放送内容のまとめです。今回はインタビュー:小出さん、文責:神田さんでお届けします)

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#149 : https://stand.fm/episodes/615190c7ecd7220006ad8ec2
#150 : https://stand.fm/episodes/61542ed4ecd7220006adbd25
#151 : https://stand.fm/episodes/6156d1602fc70d00067b4d98

日本が抱える社会課題は何だろう?

(神村):突然だけど、小出君って日本の政治に関するニュースを普段見たりする?この前、自民党の総裁選があって岸田内閣が誕生したばかりだし、今度は衆議院が解散して選挙も控えているね。
(小出):ワクチンに関するニュースは時々目にしますが、自分から積極的に政治関連のニュースを探しにいくことは殆どないです。僕は元々テレビを見ないので、議員同士の討論番組や報道はほぼ全く知らないのも関係していると思います。
(神村):そうなんだ。恐らく小出君のみならず、若い人ほどテレビ離れしているだろうから、一つの傾向と言えるのかもね。政治以外でも、毎年9月にはSDGsウィークと呼ばれる期間があって、世界各地でSDGsにまつわるイベントが開催されたりもしています。そこで今回は、皆さんの視座を高める意味でも、ちょっと真面目に日本の未来や地球の未来を考えたいと思っています。
(小出):なるほど、視点を広げて、日本・社会におけるスポーツを捉えるということですね。
(神村):うん。まず政治についてだけど、今度の選挙に向けた各党の政策でも、色んな社会課題がある中で何を重視しているのか、若い人はあまり関心が高くないように見受けられるんだよね。どの世代の人にとっても、僕たちが社会で何を成すべきかってすごく重要だと思うんだけど。
(小出):そうですね。神村さんはどのようにお考えですか?
(神村):僕がテレビの解説番組なんかを見たりすると、政党ごとに主張が違っていて面白いんだけど、その中でも特に気になるのが、経済成長に関する見解です。平たく言えば、日本で今後経済成長は実現できるのか?というテーマだね。その昔、日本にも高度経済成長期があったのは事実だけど、当時あれほど成長できたのは、実はベビーブームを経て人口が急増したからなんだよね。
(小出):そうなんですか!?むしろ、日本人のチームワークだったり、勤勉さが理由だと思ってました。でもよく考えたら、人口が増えれば消費者の数も増えるので、経済は自ずと成長しますね。
(神村):そうだね。人口が増える=労働人口も増えるを意味するからね。一方で、今の日本を見ると、ほぼ間違いなく人口減の未来が待っているよね。その中で果たして経済成長が起こるのかが注目されている訳です。これってスポーツ界も決して看過できなくて、人口が減れば観戦者数も減るし、それに伴ってスポンサー料も減ります。だから、とても重要なテーマなんだよね。
(小出):凄く納得しました。ですが、僕もスポーツの現場で働いていても、選手はおろかフロントスタッフの間でも政治や社会の話ってあまり出てこないですね。
(神村):きっと現場では目の前の仕事だったりに追われて、物事を立ち止まって考える余裕がないのかもしれないけど、政府の方針によってコロナ禍でもJリーグの試合が何度も中止されているから、非常に関連しているんだよね。
(小出):続いて環境面ではいかがでしょうか?地球規模で考えれば、例えば気候変動の問題がありますが。
(神村):気候変動については喫緊の課題と言えるでしょう。今でさえ日本の真夏の時期、それこそ35℃近い炎天下でスポーツをやるのは危険だよね。今後さらに暑くなったら、一体どうなるんだろう。。。
(小出):特に夏は選手たちも大変ですし、見る側のファンも大変ですよね。
(神村):そうだね。でも現実では、本来は切り離せないスポーツビジネスと気候変動の問題が別々に考えられているんだよね。要するに、”クラブ・チームの成長”という自分軸から、”社会が良くなるために自分たちはどうするのか”という考え方にパラダイムシフトする必要があります。そこの発想の転換が上手くできれば、経営も良い意味で改革できると思いますよ。
(小出):なるほど。今回は、スポーツビジネスに関わる人は勿論、そうじゃない人たちも全員で考えるべきテーマですね。

クラブ経営におけるマクロ視点

(神村): ここからはスポーツビジネスについても少し触れたいと思う。まずは、マクロの視点から深堀って行きます。主に4点あるんだけど、まずは地域の人口変化です。2030年、2050年の時に地域人口がどれくらいなのかを考えるということです。同様に、10年後、30年後の地域経済力の変化を考えることが重要です
(小出):マクロの視点で捉えると、人口が減れば比例して地域経済力も落ちるって考え方で合ってますか?
(神村):”地域”を都道府県、或いは地方全体で見るのかにもよるけど、基本的にはその考え方で正しいです。次は地域労働力の変化です。言い換えると、その地域の人々が何をして飯を食っているのかを把握するということです。また、クラブで働く人についても同様で、将来の従業員の数や年齢層を予想してみると良いと思います。そして最後に顧客は誰かを考えることです。厳密には法人と個人で分かれますが、個人顧客でいえば、そもそも若いお客さんが各地域に居ないかもしれないでしょ。以上の視点をクラブ経営の根幹に置くことが、将来的な組織の成長に繋がると考えています。
(小出):なるほど、挙げられた視点を持つためのコツってありますか?
(神村):将来について話す時は、「こうなって欲しい」という理想論ではなく、きちんとデータに基づいて議論することかな。あとは、仮にローカルクラブのスタジアムがあるとするなら、ぜひ将来の風景を絵に描いてみて欲しいです。そこにはどんなお客さんがいるのか、どんなスポンサーがいるのか等など、想像を膨らませてみるワークショップが効果的です。そうすれば、クラブスタッフも皆気付くと思うんだよね。
(小出):たしかに、若いスタッフこそ将来のクラブを想像するって大事だと思います。僕も観戦者の年齢とかまでは意識したことがなかったです。
(神村):それって地に足を付ける意味でも、とても大事なんだよね。例えば、Jリーグ発足時からスタジアムに足繫く通ってくださるファンもいますが、その人たちが体力的に見に行けなくなったらどうなるのか。後の世代のファンをどう増やすか。考えるべきテーマは山積していますが、社会全体の中にあるスポーツの位置付けを捉えて考えるクラブがあるとするなら、そこは将来伸びてくと思うね。
(小出):それは面白そうですね。実際にワークショップをやるクラブが出てきて欲しいですね。もちろん、Jクラブだけじゃなくて他競技でも、興味があるチームがあれば、ぜひ我々にお声がけいただきたいですね。
(神村):そうだね、是非お待ちしています!

クラブ経営におけるミクロ視点

(神村): 次にミクロのポイントも見ていきます。こちらも沢山問題があるんだけど、まず一番に取り上げるべきは「労働者の賃金」です。日本の賃金水準は海外諸国と比べて相対的に下がってきている。信じられないかもしれないけど、今やアジアの中で日本は人件費の安い国って言われるようになってきています。
(小出):そうなんですね。日本全体で見ても安いのに、サッカークラブの人件費はその中でもさらに安いとなると深刻ですね。。
(神村):そうなんだよ。昔であれば、スタートアップだから給料安くても我慢するとか、利益をあげるにはまず人件費から削るという思想を多くの経営者が持っていました。ただ結論としては、このマインドを変えない限り、クラブも企業も大きく成長することは難しいでしょう。私は今、スポーツ業界以外の企業にもアドバイスする機会がありますが、いつも「企業の売上を上げたかったら人件費を削るな」と言っています。だって、売上を上げるのが人である以上、人に投資するのは当然ですから。
(小出):欲しがりません勝つまでは、では通用しないんですね苦笑
(神村):その時代は終わったね(笑) 次に大事なのは、「事業創造」です。今まではスポンサー料をただ貰う・頂く形だったのを、頂いたお金を使って新しい事業を立ち上げる、共に創る方向へ発想転換することが大切です。新規事業となると、1年目は赤字を覚悟で、2年目で±0、3年目に黒字転換できるくらいのスパンで考えられたら良いですね。
(小出):発想の転換の重要性は理解しましたが、新規事業は面白そうな半面、地域を巻き込むのが難しい気もします。
(神村):今後の日本社会を考えたら、地域の企業を巻き込んで盛り上げないと、それこそ地方経済はジリ貧になる一方だよね。地方クラブには、その流れを変える使命が課せられていると思うな。
(小出):仰る通りですね。次に大事なことは何ですか?
(神村):ズバリ、「環境対策宣言」です。たとえばJリーグも一試合やると大量のごみが出るじゃない。この問題に対して、クラブとしての見解を明示するべきです。ごみの分別や、リユースカップなどを奨励している一方で、各クラブは試合会場で大量生産されたノベルティが配っています。あれも結局最後はゴミになるんだよね。そういうことをしないとお客さんが来ないって発想が根底にあるのかもしれないけど、なんか、一貫性がないというか矛盾している気がするんだ。もうそろそろゴミの元になるノベルティを作るのを止める時期なんじゃないかな。
(小出):それは確かに思います。もらっても結局ごみになって捨てるものなら、個人的には最初から貰いたくならないです。ノベルティはシールとかミニバッグが多いですけど、結局ほぼ使わない事が多いですね。
(神村):若い人ほど、ごみに対する意識が強いと感じます。別に欲しくもないグッズを配り続けるのか、あるいは勇気をもって作るのを止めるという選択を取るのか、ここに経営としての判断・意思が問われますね。
(小出):一つ疑問なのですが、環境には悪いと分かっていながらも続けるというのは、欲しいと思う半分のファンを失うことへの懸念があるからでしょうか?
(神村):多少は関係しているだろうね。それを防ぐ意味でも、企業はきちんと経緯も含めて説明することが大事です。これからは、正しいプロセスで適切な値段が付いた商品を購入してもらえれば良いんです。そうすれば、クラブの意図をきちんと理解してくれるファンも多く現れる筈です。
(小出):たしかに、クラブが声明なりできちんとファンに向けたメッセージを出せば、むしろ共感を生んでファンが増える事にも繋がるかもしれないですね。
(神村):最近「パーパス」っていう言葉よく聞かない?本来は目的という意味だけど、ここで使われているのは”企業の存在価値”という文脈なんだ。要するに一つ一つの取組を何のためにやっているのか、「地球のために、未来の社会のためにやります」と企業が堂々と宣言することが、以前にも増して重要になってきているのは間違いありません。最近読んだんだけど、『パーパス 「意義化」する経済とその先』って本が、企業のパーパスについて詳しく書かれているから、小出君も是非手に取って読んでみてよ。
(小出):なるほど、ありがとうございます。本も買って読んでみたいと思います!

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まとめ:明るい未来を展望するために

(小出):今回は政治や社会、未来の日本経済など様々なテーマでお話いただきました。いつもより難しいテーマでしたが、僕自身も一個人として将来を考える良い機会になりました。
(神村):遅かれ早かれ日本国内の人口減による様々な問題は顕在化するでしょうし、地方では既に深刻な影響が出ている所もあります。それを前提にして、今から何ができるのか、しっかり見据えながら企業としても、個人としても少しずつ行動していけば、SDGsが目標とする2030年、或いはその先もきっと明るい未来が描けるんじゃないかな
(小出):そうですね。僕も含め、今ちょうど20代ぐらいの若い世代がこれからの社会を担っていくので、環境面や経済面にもっと関心が持てる社会にしていけたら良いなと思いました。
(神村):本当だね。若い方々が活き活きと暮らせるような社会に近づけるよう色々と発信していきたいと思っているから、引き続きよろしくね。

(文責:神田)


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