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「組織構造」における機能・役割・責任とは?

皆さん、こんにちは。神村です。

前回から全4回にわたって「組織論・組織行動論」についてディスカッションしています。
今回は組織における個人の責任・機能・役割について、小出さんの悩みや疑問にも答える形で解説していきます。

(本稿は「Off the pitch talk 」第228~230回の放送内容のまとめです。今回はゲスト:小出さん、文責:神田さんでお届けします)

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#228 : "機能"について認識してから"役割分担"する 
#229 : 権限と責任はセットで考えない
#230 : こんな時、みなさんならどうしますか?

組織構造は”機能”を認識してから”役割分担”せよ

(神村):今回から話す組織構造に関しては、「役割、権限、責任」という3つのポイントで話していきたいと思います。そもそもの定義として「組織とは、何か共通の目標を遂行するために複数人が集まってできているもの」です。ですから、「一人ひとりの構成員がすべきこと」が役割です。組織が機能するために大切なこと、必要なことが何かを明確にすることが重要です。会社でたとえれば、営業・経理・開発などさまざまに職種が分かれていますし、スポーツでもポジションがあるし、あるいは監督やコーチにおいても個々の役割は違っています。

(小出):それぞれの機能を理解して、適切な役割を分担するイメージでしょうか?

(神村):まさしくその通りですね。その機能に合わせる形で、今度は人の配置をしないといけません。組織のリーダー(トップ)の使命は、各ポジションの機能を明確にして、人を配置することです。理想的にはすべてのポジションに、ベストなスキルを持つ人材を配置したいところですが、必ずしもそれはかないません。ですから、機能の中に優先順位をつけて、優先度の高い機能から人を割り当てていくのが定石です。僕はこれを「資金繰り」になぞらえて「人繰り」という言い方をします。組織にある人的リソースを最大現発揮できるようにすることが指揮官の役割ですから。

(小出):なるほど。とてもわかりやすいです。

(神村):組織が拡大すると、今度は与えられる機能(役割)もどんどん細分化されていきます。細分化された組織で求められるのが、特定のスキルに富んだ専門職が登場し、その専門職をマネジメントする人や、もっと会社全体を俯瞰してみるジェネラリストも登場するというわけですね。

(小出):専門職やジェネラリストどちらか一方というわけじゃなくて、両方とも大事なんですね。

(神村):友達や仲間同士で始める事業だと、「できるところからやろう!」ってなりやすい。でも、なるべく早期に「こういう機能が必要だから、こういう人を採用しよう」という会話ができる方が、組織を回しながら成長させていくためには重要だと思います

(小出):となると、採用の部分も気になってくるのですが、組織が大きくなると、組織が任せたい機能と、個人が関わりたい機能がズレる可能性もあると思うのですが、こうしたギャップを埋めるために、どのように機能を配分するのが良いのでしょうか?

(神村):組織のミッションと個人のミッションを徹底的に事前にすり合わせることが重要です。どちらかが一方的に押し付けていては、いずれ機能しなくなるでしょう。共通項を探したり、組織が個々人に対して何を重視するのか、本人にとってどんな価値があるのかを説明することが重要だよね。間違っても、丸投げや我慢を強いるのはオススメできません。

(小出):そうですね。非常に共感できるポイントです。

権限と責任を混同させてはならない

(小出):今度は権限というテーマについて触れていきたいのですが、そもそも権限と責任って言葉の違いがよく理解できてなくて、、、そこから説明していただけますか?

(神村):まず権限というのは、何か意思決定を下すための権利という意味です。例えば先に挙げた、機能別に人を配置することができるのも、その権限が与えられた人が実施する筈です。一方で、責任というのは、何かしらのアクションを行った結果に対して、どのような評価をするのか?継続するのか?あるいは修正するのか?ということに対して責任を取る、というイメージかな。端的に言えば、意思決定した人が、全責任を負う必要は必ずしもないんだよ

(小出):確かに。もしそうだとしたら、誰も意思決定したくなくなります。

(神村):そこを区別しないといけないよね。権限をチェックするという、ガバナンスの問題も関わってきます。まず、一人で何かをする場合は、最終的には全部自分で決めるじゃない?でも、組織においてはどのように意思決定するのか?というプロセス自体が重視されます

(小出):でも、ワンマン経営と言われるように、「社長の俺がいうことに従ってくれ」というスタイルの経営者もいますよね?

(神村):それも一つの権限のあり方です。いずれにせよ、どの権限に基づいて、どうやって意思決定されるのかが明らかにされることが重要だよね。

(小出):日本では、意思決定されるまでに、話し合いや合議制の形をとる会社が多い気がします。僕は正直、あまり好まないんですが、、笑

(神村):そうですね。合議制だろうと独断専行だろうと、それ自体の善し悪しではなく、それぞれのメリット/デメリットを整理した上で考えないといけないんだよね。でも、本質的に一番大事なことは、組織においても自分で決めたことなら頑張れるとか、逆に他人が決めたことには欲求しないということなんだよ。だから、マネジメント手法であったり、モチベーション維持の手法にも通ずる点があるんだろうね。

(小出):僕も複数の組織に属することもあり、話し合いを何度も重ねる組織や、スピード重視でどんどん意思決定が下される組織を見てきました。個人的には意思決定者が決まっていても、各所から意見が上がってくる組織が理想だと考えているのですが、そのような組織を実現させるために意識すべきことや大事なポイントがあれば教えて欲しいです。

(神村):自分が意識していたのは、議論のゴールを予め明確にしておくことです。たとえ議論が紛糾する場合に備え、ある程度、自分の中で結論を用意しておくのです。「今日の議論で、ここは絶対に結論出す」と決めておけば、その議論で何も決まらず次回に持ち越し...といった事態は防げます。

(小出):すごく参考になります!今度、話し合いする際には活用してみます!

こんな時、皆さんならどうしますか?

(小出):僕の周りではフリーランスが多いので、組織を立ち上げたばかりで、これから組織を作る段階なので、結構いろんな人同士で活発な意見が交わされるんです。でも後になってみて頭を冷静にすると、議論の中で出た結論に異を唱えて「やっぱあれって間違いじゃない?」とか「考え直したらこっちの方がいいよね。」と言ってくるんですね。最終的には、意志決定者が結論を出すのですが、せっかく議論を重ねた期間が水の泡になったような気分で。。こういう状況ってビジネスの現場でも結構あるのでしょうか?また、仮に起きてしまった場合、その状況を改善すべきなのでしょうか?

(神村):よくある話ですね。「それ前に決めたよね」ということを、ひっくり返すような議論をして、前に進めない人・・・・結論から言えば、絶対に改善すべきです。例えば、これは最悪。組織のスピード感がどんどん失われていくからね。

(小出):議論の後に結論が一旦決まった後で、個人的に上長に相談したり意見を言ってくる人にはどう対処すれば良いのでしょうか?

(神村):少なからず意見する人が出てしまうのが組織というものです。大事なのは、意思決定の権限を持つ人が一度でた結論を簡単に変えないことなんです。これがまさに権限の本質です。逆に、コロコロと組織の意志を変えてしまう人には意思決定の権限を持たせるべきではありません。

(小出):たしかに。僕の仕事の例でいうと、YouTubeとかSNSの投稿数・フォロワー数などを数値化・目標化しています。
先日、「週3回の投稿・2ヶ月で200人フォロワーを増やす」を目標と決めたのですが、「もっと動画の編集技術や質を上げないといけない」という理由で当初の投稿頻度が落ちてしまいました。この場合は、投稿頻度を守るのを優先すべきなのでしょうか?

(神村):そうだね。あくまで質を上げるというのは手段だから、改善するのが前提にあるならば、週3回の投稿を守りつつ徐々に改善するべきでしょう。本来の目的と手段を混同してしまうと、議論の内容そのものが本末転倒になるんだよね。僕は山登りに例えるんだけど、頂上に到達することが最終ゴールで、途中のルートは A,B,C といくつか選択肢があるよね。でも途中で状況を冷静に見ながら適宜ルート変更したり、あるいは引き返したりする判断が意思決定者には求められます。ぐるぐる道を上っては降り、別のルートを言っては変更するを繰り返していると、いつまでたっても山の中腹ということもありますけどね‥‥笑

(小出):なるほど。僕の中で、すごく腑に落ちました。

まとめ

(小出):最後は少し脱線してしまいましたが、僕個人だけでなく読者の方にとっても具体的で理解しやすかったのではないかと思います。

(神村):組織の計画を作って会議で意思決定するということは、自分の持つ権限の意味合いを理解し、そこに居合わせた参加者と共に同じ山に登るということです。ぜひ、小出くんが関わる組織の意思決定プロセスが改善されるといいね!

(小出):ありがとうございます!また適宜、ご相談させてください!

(神村):うん、喜んで!

(文責:神田) 


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