見出し画像

2024年11月1日の「フリーランス法」の施行で何が変わる?

こんにちは。
メタップスHDでre:shineと人事労務を担当しているフリーランス・イケダ(@m_ike)です。

2024年11月1日に施行となるフリーランス法について耳にすることが増えてきていませんか?正式な名称は『特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律』といいます。

「発注者が対応することだから、フリーランスの自分は知らなくても大丈夫でしょ?」「うちの会社の取引先は法人だけだから、フリーランス法は関係ないでしょ?」

ちょっと待ってください✋その考えは危ういです!

  • 発注者が出している募集条件や提示された契約書、フリーランス法に適用しているか確認できますか? 

  • 育児や介護との両立が必要になった・ハラスメントにあった。どこに相談しますか?

  • 自分で受けた仕事を知人に手伝いをお願い(再委託)することはありませんか?

  • 取引先の法人は、社長一人きりの会社ではありませんか?

該当するかも……🤔と思った方、フリーランス・副業の方、一人法人の方、これから独立や副業をしようかなと考えている方も、ぜひお読みください!

お仕事を受ける前に『この条件で問題ないか?契約書の内容が一方的なものになっていないか?』知っておくことで無用なトラブルを防ぐことができます。フリーランスとしての装備強化(RPG風)できますよ💪

また、発注事業者や仲介事業者の方は、すでに知っていること・対応を開始していることも多いと思いますが、確認のため、お読みいただけるとうれしいです😊


そもそもなんでフリーランス法が必要なの?

厚生労働省が推進してきた働き方改革によって、副業を含めフリーランスとして働く方の人口が年々増加してきています。

新・フリーランス実態調査 2021-2022年版_ランサーズ

また、フリーランスの37.7%と約3人に一人以上が取引先とのトラブルを経験をしていると内閣官房の調査で発表されています。

発注者(親事業者)が資本金1千万円を超える場合は『下請法』の適用によりさまざまな義務や禁止事項が定められていますが、フリーランスの4割が資本金1000万円以下の企業との取引があるとの調査結果も出ています👀

令和2年5月 フリーランス実態調査結果_内閣官房

独占禁止法や下請法などの既存の法律だけでは、ビジネス上で立場が弱いフリーランスを守ることができない。フリーランスのトラブルを解決し、安心して働ける環境の整備を図るためには、新たな法整備が必要と考えられ、2023年5月のフリーランス法が公布されました。

特定受託事業者=フリーランス?

次にフリーランス法の中身を見ていきましょう👀
フリーランス法では対象となる事業者を次のように定義しています。

(フリーランス・事業者間取引適正化等法)パンフレット

フリーランスには①個人の場合と②法人の場合があります。取引先である法人が社長一人の場合は、特定受託事業者になりますので、フリーランス法の適用を受けることになります。発注者の方は要注意です👈

もう一つ、注意しなければならないのが『自分で受けた仕事を知人に手伝いをお願い(再委託)する』などのケースです(再委託に限りません)。

フリーランスAさんがフリーランスBさんに業務を委託した場合、フリーランスAさんは『業務委託事業者』となり、発注事業者としての義務や禁止事項を守る必要が出てくるのです。

こちらの図のように、要件によって義務・禁止行為がどんどん増えていきます👀

発注側:業務委託事業者 → 特定業務委託事業者
業務委託期間:1カ月以上 → 6カ月以上 

(フリーランス・事業者間取引適正化等法)_説明資料_P6

このnote記事では、個人であっても法人であっても特定受託事業者はフリーランスと呼んで書いていきますので、よろしくお願いします😊

何が変わるの?

フリーランス法の施行により、フリーランスの労働環境や取引条件にいくつかの重要な変更が発生します。

「フリーランス・事業者間取引適正化等法」リーフレット

イケダもフリーランス法の説明会や勉強会に何度か参加してきましたので、その中で学んだ話も交えて、主な変更点を見てみましょう👀

①取引条件の明示義務

  • フリーランスとの業務契約において、報酬や納期、仕事の範囲などの取引条件を書面やメール(電磁的方法)で明示することが義務づけられます。口約束ではNGとなります。この①の項目はフリーランス同士の取引の場合でも守る必要があります👈

例えば……
SNSなどを利用して明示をした場合は、誰がいつどう伝えたかが分かるようにスクリーンショットなどを保存しておくと良いでしょう。もし、口頭で条件確認を行った場合は、メールで決定事項を送ったり、議事録などを作成したりして共有するようにしましょう。

契約開始時に未確定な事項(納期や納入方法など)がある場合は「いつまでに決定してお知らせします」と明示しておけば、後日の明示でもOKとなっています。

書面=契約書ではありませんので、発注書などに必要項目を記載している、発注書+他の明示により必要項目が網羅されているでもOKとなります。

また、取引条件が記載されているサイトのURLを伝えることでも明示したとされます。ただし、サイトが常時確認できる状態でないとなりません。また、内容に変更を加える場合は、取引条件の変更に該当しますので、不当な内容変更となっていないかなど、当事者間の協議・合意が必要となります👈

②支払期日の設定・期日内の支払い義務

  • 発注事業者は、フリーランスから納品物やサービスの提供を受けた日から60日以内のできるだけ短い期間内に報酬を支払う必要があります。また契約書に支払日を定めていない場合は、納品日=支払日となりますので、忘れずに適法に記載しましょう。

例えば……
契約書の中に『納品後に〇日以内に検品を行う』としていた場合であっても、納品物の提供を受けた日から60日以内に支払わなければなりません。検品完了日からではありませんので、注意しましょう👈

ただし、再委託の場合は次のように『再委託の例外』の適用を受けることも可能です。元委託者からの入金がないと、再委託先に支払いを行うことが難しいときなど、この例外が利用できますね。

(フリーランス・事業者間取引適正化等法)_説明資料_P10

なお、中間の特定業務委託事業者が下請法の適用を受ける場合は、納品日から60日以内が支払期限となります📅「元委託者からの入金後に…」は使えませんのでご注意を👈 

③特定業務委託事業者の遵守事項・禁止行為

『フリーランスは悪くない』を前提として
受領拒否、報酬の減額、返品、買いたたき、購入・利用強制をしてはなりません。また、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更・やり直しの行為も禁止です。

例えば……
発注事業者の自社製品の購入や利用を強制したり、委託業務とは関係ない業務を無償でやらせたりすることなども該当します。

個人事業主(フリーランス)である俳優に対しての出演料(報酬)を、舞台チケットなどの現物で渡して、チケットをフリーランスが売り、その売り上げを報酬とするなどは、禁止行為に抵触する可能性が大です。

また、支払いは通貨によるものが原則で、それ以外の方法をとる場合は、①の取引条件の明示義務において『現金以外の方法で報酬を支払う』を明示する決まりがあります。また、容易に通貨に換金できる方法でなければなりません👈

④募集情報の的確な表示義務

  • 業務委託募集を行う際には、正確かつ最新の情報を伝える必要があり、虚偽の表示や誤解を招く表現は禁止されます。

例えば……
すでに募集が終了しているのに、削除せずに表示しつづけることは禁止されています。ただし『募集終了』と明示したうえで残しておくことは違反には該当しません。

再委託を行っているプラットフォーム事業者などは、特定業務委託事業者となりフリーランス法の適用を受けます。単に案件掲載だけの場合は対象外ですが、発注事業者に最新の情報に更新するように依頼するなどの対応は求められます。

募集時点で公表できない情報がある場合は、誤解を生まない範囲で表示をしないことはOKですが、契約条件の明示の際に受託(候補)者であるフリーランスに明示しましょう。

⑤出産・育児・介護との両立に対する配慮義務

  • フリーランスから要望を受けた場合は、発注事業者は出産・育児・介護と業務を両立できるように配慮することが求められます。

    6カ月以上の業務委託 → 必要な配慮をしなければならない
    6カ月未満の業務委託 → 必要な配慮をするように努めなければならない

フリーランスから、配慮要望の申し出を受けたら、発注事業者は関係者との調整・確認を行い、対応を検討しなければなりません。

検討の結果、配慮の内容の伝達・実施、または配慮不実施の伝達・理由説明をする必要があります。

また、フリーランスが要望をしても、検討の結果受け入れられないこともありますので注意が必要です👈

⑥ハラスメント対策に係る体制整備義務

  • フリーランスに対するハラスメント行為への適切な対応を行うために、次の図のような体制整備やその他の必要措置を講じることが求められます。

(フリーランス・事業者間取引適正化等法)_説明資料_P15

ハラスメント対策は義務のため、対応をしないと違反となります。

⑦中途解除等の事前予告・理由開示義務

  • 6カ月以上の業務委託を行っているフリーランスとの契約を途中解除したり、更新しなかったりする場合は、少なくとも30日前までに予告をしなければなりません。

  • 予告の日から契約満了までの間に、フリーランスが契約の中途解除や不更新の理由の開示を請求した場合には、 発注事業者は開示しなければなりません。

例えば……
従業員の場合のような『解雇予告手当』がもらえるという仕組みはありませんが、30日を切ってからの契約解除の予告は違反となりますので、当事者間での交渉では、何らかの補償を求められる可能性があります。

契約解除の事前予告や理由開示の方法は①書面の交付②ファクシミリ③電子メール等のいずれかの方法で行う必要があり、口頭だけでの対応はNGです。

今の契約はどうなるの?

現在の契約が自動更新の場合や2024年11月1日をまたがる場合は、2024年11月1日以降の契約については、フリーランス法が適用となります。もし不足している・不適合な項目がある場合は、新たに契約を結び直すか、覚書などで不足項目を補うようにしましょう。

そのままにしておいても、さかのぼっての違反とはなりませんが、11月1日以降は同じ業務を委託していたとしても違反となる可能性がありますので注意しましょう👈

契約期間6カ月の考え方(基本契約締結日が開始日となるケース)

基本契約+個別契約(見積書・発注書など)を締結している場合、基本契約の開始が始期になりますので、個別契約期間が6カ月に満たないから大丈夫!とはなりません。ここも注意が必要です👈

(フリーランス・事業者間取引適正化等法)_説明資料_P7


これって違反?どこに相談すればいいの?🤔

フリーランス法は、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の3つの行政機関が執行を担う法律です。発注事業者に違反と思われる行為があった場合、フリーランスは、その旨を申し出ることができます。

• 行政機関は、その申出の内容に応じて、報告徴収・立入検査といった調査を行い、発注事業者に対して指導・助言のほか、勧告を行い、勧告に従わない場合には命令・公表をすることが できます。命令違反には50万円以下の罰金があります。

• 発注事業者は、フリーランスが行政機関の窓口に申出をしたことを理由に、契約解除や今後 の取引を行わないようにするといった不利益な取扱いをしてはなりません。

(フリーランス・事業者間取引適正化等法)パンフレット

フリーランス・トラブル110番にまず相談!

フリーランス法が3省庁で管轄しているため、どこに申出ればよいのか分からない場合があります。そもそも違反に該当するのかわからない、広く取引上のトラブルがある場合など、まずはフリーランス・トラブル110番に相談しましょう!

該当する所管省庁への案内が受けられる
②弁護士への無料相談・和解あっせん手続きなどのサポートが受けられる

📩メール相談:(お問い合わせフォームから)
📞電話相談:0120-532-110(受付時間9:30~16:30/土日祝日を除く)

(フリーランス・事業者間取引適正化等法)_説明資料_P18

フリーランス法は、フリーランスの方・発注者の方双方に影響のある新たな法律です。11月の施行を前に、特設サイトをチェックしたり、勉強会・説明会などに参加したりして、フリーランスが働きやすく能力を遺憾なく発揮できる環境作りに、ぜひ役立ててください✨ 

フリーランス法特設サイトは、これまでの官公庁のサイトとは一線を画す、インパクトのあるもので、楽しく見ることができますよ😊


re:shine(リシャイン)というフリーランスや副業の方向けのお仕事のマッチングサービスを運営しています。ぜひこちらもご覧ください。 🙇🏻‍♀️

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?