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Security Token Offering について(トークンによる資金調達②)

この記事の内容

この記事は、トークンによるスタートアップの新しい資金調達方法についてまとめていくnoteです。

私のつたない英語力で理解したところになりますので、ざっくり概要を把握するのにご利用ください。理解のしやすさを優先して、専門用語をできるだけ避け、平易な言葉を用いています。

今後も少しずつ得た情報をまとめていく予定です。
間違い等がありましたら是非ご指摘をお寄せください(ちょいちょい理解できていないところもあります)。

前の記事:トークン・サイドレターについて(トークンによる資金調達①)|五十嵐将志@弁護士|note

セキュリティ・トークンって何?

そもそも、有価証券(security)とは取引可能な金融資産のことをいいます。
手形、債券、社債、オプション、ワラント、株式、持分などがこれに当たります。
これらは国や会社が市場から資金を調達するために用いられるメソッドです。

これに暗号化されたトークンを応用したのがセキュリティ・トークンです。

端的にいえばセキュリティ・トークンとは、株の利益、配当、利息、その他、保有者に何らかの利益をもたらす資産やトークンを吐き出す、暗号化されたトークンのことです。

セキュリティ・トークンは各地域における法律による規制を受けます

Howey Test

例えば、アメリカでは最高裁判例に基づくハウィー・テストと呼ばれる基準があり、これを用いて当該取引が投資契約であったかどうかを判断します。
これは暗号資産にも適用があり、ハウィー・テストを経て当該暗号資産取引が投資契約であったとされると、「有価証券」として証券取引法の適用を受けます。

ハウィー・テストは、以下の4要素の存否によって取引の「有価証券」性を判断します。

⑴ 資産の出捐を行う取引であって、
⑵ 企業に対して行われ、
⑶ 利益を期待でき、
⑷ かつその利益が他の者の努力に基づくものであるもの
は投資契約であるとされます。

ICOの時代はもうおしまい?

新規仮想通貨公開(Initial Coin Offering)はアメリカでは証券取引委員会によって規制の対象になっていることから、ICOの時代は終わってしまったかのように見えます。
しかし実際には毎週のようにSEOや世界中の当局から認められたICOが登場しています。
なぜでしょうか。

ユーティリティ・トークンとセキュリティ・トークン

それは、SEOの規制対象がセキュリティ・トークンだけだからです。
トークンはユーティリティ・トークンとセキュリティ・トークンに大別されます。

セキュリティ・トークン

セキュリティ・トークンは、保有者に対して株の利益、配当、利息、その他の利益をもたらすものです。

ユーティリティ・トークン

ユーティリティ・トークンとは、構築中あるいはICOの目的とされた分散型アプリケーションに関し何らかの有用性(utility)を有するトークンをいいます。

比較

ユーティリティ・トークンへの投資のリスク

ユーティリティ・トークンへの投資は、
①その価値がアプリケーションの価値に左右されるという点と、
実際には脱法的セキュリティ・トークンである可能性があるという点で、
セキュリティ・トークンへの投資に比べリスクが高いものになります。

セキュリティ・トークンのメリットとデメリット

メリット

  • コンプライアンス
    売買禁止期間などについてトークンに直接規定したり、ブロックチェーン上の履歴を監査することができるようになるなど、コンプライアンス面でのメリットが期待されている。

  • 新しい投資家の参加が期待できる

  • 流動性が高い

  • 効率的かつスケーラブル

  • 透明性が高い

  • 参入障壁が低い

デメリット

  • 上場を考えているならコンプライアンスが複雑になる

  • プラットフォームが必要

  • 市場が若い

STOとは?

ICO (Initial Coin Offering) って何?

トークンを発行してみんなに買ってもらいます。
株式とは無関係です。実際のところ買主には何の権利もありません。
うまくいけばアプリが使えたりするかもしれないという「希望 (hope)」に過ぎません。
永遠にかなわない場合もあります。
発行は簡単ですが、詐欺が横行しました。

STO (Security Token Offering) って何?

有価証券と紐づけられたトークンをみんなに買ってもらいます。
合法かつ安全ですが手続が大変です。

私見と疑問

セキュリティ・トークンのポイント

上記のSTOの定義からすると、セキュリティ・トークンのポイントは
・有価証券として規制されていること
⇒手続は面倒になるが法規制の下に服するため安全に取引できるというメリットが生じる
ことにありそうです。

現行LPS法でもOKっぽい?

また、セキュリティ・トークンは当該トークンそれ自体が有価証券であるというより、有価証券を保有していることを証憑するトークンであるだけなので、現行の日本のLPS法のままでも、株式や新株予約権などのエクイティと紐づければ投資可能なのではないかと思いました。

たとえるなら、
株式の保有を証憑する紙切れが株券であったように、
株式の保有を証憑するトークンがセキュリティ・トークンである
というだけなのではないでしょうか。
※ここらへんは勉強が進んできて普通に条文あることに気が付いたのでまた追記変更します。

ソース
STOs - Security Token Offerings for Beginners: The Ultimate Guide to Security Tokens, Security Token Offerings and Tokenized Securities
by Alex Anderson
Amazon | STOs - Security Token Offerings for Beginners: The Ultimate Guide to Security Tokens, Security Token Offerings and Tokenized Securities | Anderson, Alex | Finance


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