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【映画記録】関心領域

第96回アカデミー賞で国際長編映画賞、
音響賞を受賞した関心領域を観てきました!
これは納得の音響賞でした。

スタッフ・キャスト

スタッフ
監督・脚本
#ジョナサン・グレイザー
原作
#マーティン・エイミス
撮影監督
#ウカシュ・ジャル
音楽
#ミカ・レヴィ
音響
#ジョニー・バーン
#ターン・ウィラーズ

キャスト
#クリスティアン・フリーデル
#ザンドラ・ヒュラー

短評

劇中で大きな事件は起こらないが
壁の向こうでは常に…という映画。
あまりに淡々と進むストーリーの
残酷極まりない恐ろしさ。

所感

音の存在感

湖か川のほとり、
のどかなピクニックから始まる本作。
あまりに牧歌的な風景と幸せそうな家族。
なんて素敵な生活だろうという画作りだが
ピクニック帰りの車のナンバーに「SS」の文字。
家族の住む家の壁一枚向こうは
アウシュヴィッツ収容所である。

無音であれば郊外の静かな生活だが、
家では終始ゴゥゥゥンという音
悲鳴
銃声
嫌な音が鳴りっぱなし。
主演:音
一家はその音に一才触れることなく、
唯一反応を示すのは
遠くから遊びに来た妻ヘイトヴィヒの母のみ。
壁の向こうを想像すらしない家族が
段々と、淡々と恐ろしくなってくる。

階級・差別

とにかく優しそうで、
家の中で偉ぶらない父ルドルフ(クリスティアン・フリーデル)
対して存在感抜群の
妻ヘイトヴィヒ(ザンドラ・ヒュラー)

壁の向こうから運ばれてきた袋から
毛皮のコートを取り出し鏡の前でポーズ。
ポケットの口紅をひと塗り。
あとの肌着は家政婦さんにポイ。
画に温度感がまるで無いため
ともすればただただコートを着て、
いらない肌着を分け与える夫人だが

重要なのは
「それが昨日まで誰の持ち物であったか」

家の中での厳然たる階級差と
愛すべき子供たち、家。
それ以外は彼女の頭には存在しない。

突きつけられる関心領域

正直、家で起こるイベントとしては
夫ルドルフの転勤ぐらいなので
筆者も珍しく睡魔に襲われた。
それくらい大きな事件が起こらない。
ただし、それこそが「関心領域」
筆者も壁の向こうを想像できていなかった時間があった。

その恐ろしさを感じながらの終盤、
いきなり現在の映像がはさみ込まれる。
アウシュヴィッツで起きたことの証拠は
劇中で一才映されない、ユダヤ人がいた証拠。
想起するのは、今ガザで起きていること。
関心領域というタイトルが重くのしかかる。

まとめ

ガザまで話を広げなくとも、
身の回りにも関心領域が存在します。
1分以上何も映らないオープニングは
目には見えない関心領域。
見えている世界が全てではない、
そんな当たり前のことを突きつけてくる映画でした。

逃げ場のない劇場で是非。

※写真はIMDbより引用


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