推し語りまとめ・中編(応用編) 「メタバース」題材にした本を例にした本の選び方について

0.はじめに

本noteはこのnoteの続きになります。中編では番外編として小説以外の本を題材とします。

推し語りまとめ・前編

本は小説以外にも、様々な種類の本があります、その中にはホットなトピックについて書かれた本もあります。それらのトピックを取り上げた本を読むことで、そのトピックに対する知識が得られるのも読書の良いところです。本noteではその一例として、昨今色々な所で聞くようになった「メタバース」(最近ではその地位を生成AIに奪われているような気がしますが、長いスパンで見れば確実に普及するものだと思います)についての本の話題です。記憶されている方も多いかと思いますが、メタバースに関する本は、2022年にかなり出版されていました。ただし、(メタバースに限らず)注意しなければならないのは、その本の著者がその分野に詳しく、しっかりと調べた本であるか、単に流行りに乗っかり、一儲けしようとした薄っぺらい内容の本かを判断するのは『本を買う人』だということです。本の宣伝文句は、あまり参考にはならないと思います(宣伝文句は本を売るためのものですから、あくまで「宣伝」に過ぎないものだと考えた方が良いと思います)。せっかくお金を出して、時間をかけて読むのであれば、身になる本を選びたいと思うのは当然だと思います。
ということで、今回はメタバースを例に取り、何冊か取り上げながら特定のトピックについて取り上げた本を選ぶ上での私なりの考え方を書きたいと思います。


1.「メタバース」について書かれた本の中での個人的なお勧め


本項目では、本のタイトルと、若干の著者の背景について記載します。

1-1.メタバース さよならアトムの時代

著者はメタバースプラットフォーム「cluster」を運営されているクラスター株式会社のCEOである加藤直人氏です。

1-2.メタバースビジネス覇権戦争

著者である新清士氏は、この書籍以前に「VRビジネスの衝撃 「仮想世界」が巨大マネーを生む」という書籍を2016年に出版されています。

VRビジネスの衝撃 「仮想世界」が巨大マネーを生む

1-3.メタバース未来戦略 現実と仮想世界が融け合うビジネスの羅針盤

著者である久保田瞬氏は、『VRの「いま」を掘りだすニュースメディア』Mogura VRの編集長を務められています。

1-4.メタバース×ビジネス革命 物質と時間から解放された世界での生存戦略

著者である西田宗千佳氏は、メタバースに限らず様々なテック系の記事を書かれているライターの方です。

2022年前後に発売されたメタバースに関する本は他にもあります。理想論だけではなく、メタバースを実現させるための技術的な話などに踏み込んだ、地に足が付いた良い本が多かったと思います。また、未来の話だけでなく、メタバースの過去(歴史)について触れていた本も多かった印象があります。私は、新しい技術について知る場合は、過去について知ることは、メタバースに限った話ではなく、重要だと考えます。

未来を考える時には過去に学ぶのが良い。

「メタバース×ビジネス革命 物質と時間から解放された世界での生存戦略」より引用

ただし、これらの本は現時点(2023年9月現在)でも読んでメタバースを知ることができ、面白いと思える内容だと思いますが、5年先、10年先になると、さすがにちょっと情報の鮮度は下がっていると思います(それくらい先になると、2022年以降に起こった技術などの進化を踏まえた、より新しい本が出ていると思われます)。ただ、それはメタバースに限らず、新しい技術を語る本においては避けては通ることが出来ないと思います(私見ですが、「メタバース」に関しては、実現することが遠い未来ではなく、「メタバース」と呼ばれるものがおぼろげながらも見え始め、実現に手が届きかけている段階のものだと思います)。

①永続的に存在する
②リアルタイム性
③同時参加人数に制限がない
④経済性がある
⑤体験に垣根がない
⑥相互運用性
⑦幅広い企業・個人による貢献

マシュー・ポール氏の「メタバース7つの条件」
(加藤直人氏の「メタバース さよならアトムの時代」にて紹介されていたものを引用させていただきました)

いずれの本でも、「メタバース」という単語が使われたサービスにおいて、上記のような「メタバースの条件」を紹介し、"本が出版された2022年時点で、全て満たしたサービスは存在しない"という見解も一致していたと思います。私個人としては、上記の「メタバースの条件」を満たしたメタバースが生まれた時に、これらの本を読み返してみて、どの程度未来を予見できたかを見てみることが面白いと思います。考慮しなければならない要素が余りにも多いですし、これからメタバースが実現するまでに現時点では想像も付かない出来事が発生する可能性があるので、2022年時点で100%の正解を言い当てることは不可能だと思います。

2.本を選ぶ際のポイント

この手の書籍を選ぶ上で個人的なポイントは「著者の背景」だと思います。著者のバックグラウンドを知ることは本選びの一助となると思います。

列挙した順で言及すると、

「メタバース さよならアトムの時代」:著者である加藤直人氏は、メタバースプラットフォーム「cluster」を運営するクラスターのCEOです。この書籍以外に、cluster上で何度か行われたカンファレンスなどでお話を聴講させていただいたこともあります。

「メタバースビジネス覇権戦争」:著者である新清士氏は、この書籍以前に「VRビジネスの衝撃 「仮想世界」が巨大マネーを生む」という書籍を2016年に出版されています。本の内容として、2003年頃スタートし、一時期大きな盛り上がりを見せた、「Second Life」について掘り下げて紹介されている所が特長だと思います。なお、「Second Life」は本note投稿時点でもサービスは継続しており、一定数のユーザーがいる模様です。

「メタバース未来戦略 現実と仮想世界が融け合うビジネスの羅針盤」:著者である久保田瞬氏は、VR関連の記事をあつかう"Mogura VR"の編集長を務められています。

「メタバース×ビジネス革命 物質と時間から解放された世界での生存戦略」:著者である西田宗千佳氏はメタバース以外のテック系の記事をかかれており、技術に対する造詣の深い方です。
2023年9月11日に発売される書籍は、冒頭で少し触れたトピックである、生成AIに関する書籍です。

生成AIの核心 「新しい知」といかに向き合うか (NHK出版新書)

少し穿った見方をすると、本の内容が、著者自身の信用にも跳ね返ってくると考えられます。仮にメタバースに関して、でたらめだらけの本だった場合、「この著者の運営しているサービスは、大丈夫なのか?」、「この人の記事、あの本にようにでたらめだらけの記事なのではないか?」という視点で見られてしまうリスクがあります。

3.最後に

メタバースに関しては、X(旧Twitter)では「あれこれ言う前に実際に試した方が良い」という要旨のポスト(ツイート)は見かけたような記憶があります。プラットフォームによっては、専用のデバイスではなく、スマートフォンを使ってプラットフォームにアクセス出来るものもあるので、実際に本を読んでみて興味が出てきたら、試して見るのも一興だと思います。

なお、本noteの主旨から少し離れていますが、このような本もあります。

メタバースワールド作成入門 clusterで作る仮想世界・イベント空間

メタバースプラットフォーム「cluster」においていくつかのワールドを投稿されているvins氏による本です。clusterにおいてワールドを作ってみたいという方は手に取ってみられてはいかがでしょうか。




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