細音啓先生と「氷結鏡界のエデン」について

0.始めに

今回のnoteは、私がどのような作品に触れてきたかについて執筆する第六弾になります、今回は、細音啓先生の作品、特に「氷結鏡界のエデン」シリーズを中心としたものになります。

注意:今回のnoteの内容ですが、"細音啓先生、並びに「氷結鏡界のエデン」シリーズの紹介"ではなく、"細音啓先生、並びに「氷結鏡界のエデン」シリーズの紹介に触れて私が考えたこと"に主眼を置いています。その点はご留意下さい。

1.概要

1-1.「細音啓先生」の概要

細音 啓(さざね けい)は、日本のライトノベル作家。男性。『黄昏色の詠使い イブは夜明けに微笑んで』で第18回ファンタジア長編小説大賞《佳作》を受賞し、同作でデビューした。第33回ファンタジア大賞からは選考委員も務めている。

Wikipediaの「細音 啓」の項目より

1-2.「氷結鏡界のエデン」の概要

「魔笛」という力を持つ謎の存在「幽幻種」という脅威が存在する世界。人々が生きることができる地は、巫女の祈りによってなる「氷結鏡界」に守られる「浮遊大陸オービエ・クレア」のみであった。

オービエ・クレア第二居住区の喫茶店に居候する少年シェルティスは、かつて天結宮(ソフィア)で氷結鏡界を守る巫女のために戦う護士として双剣を振るっていた。しかし、とある任務中の事故で浮遊大陸から穢歌の庭へ落下、誰もが彼の死亡を確信した。

だが1年後、彼は浮遊大陸へ奇跡の生還を果たす。その身に、魔笛を宿して。

「氷結鏡界のエデン」あらすじ(Wikipediaの「氷結鏡界のエデン」項目より)

「氷結鏡界のエデン」は、"富士見ファンタジア文庫"で発表された作品になります。たまたま一巻を見かけ、読んだ所、面白いと思ったので、最終巻まで読み続けました。その後、同氏のデビュー作である「黄昏色の詠使い イブは夜明けに微笑んで」の他、一通り電子書籍で手に入る作品は読みました。

2.「氷結鏡界のエデン」を読んで考えたこと

作品も素晴らしかったですが(ネタバレにならない範囲で感想を言うと、「氷結鏡界のエデン」の一巻を読んだ時点で、「この作品がどこに終着するか?」についての大まかな方向性が何となく分かった所は個人的に良かったと思います)、読みながら、「氷結鏡界のエデン」シリーズはなぜ面白いと思ったのか?ということを考えるようになりました。
このようなことを考え始めたのは、「氷結鏡界のエデン」シリーズに出会うまでに読んできた本と関わりがあります。同シリーズを読む以前は、海外の小説を中心に読んでいた時期がありました(その一端が、このnoteで過去に語っていた、アーサー・C・クラーク、トム・クランシー、マイクル・ムアコックらの作品でした)。その一方で、いわゆる日本の"ライトノベル"というジャンルに(先述の作家の作品と比べると)興味がわかず、「私は海外(英語圏)の小説の方が性に合っているのだろう」、「海外の作家の小説も面白いし、書籍の数も十分あるので国内の作家の作品はいいかな…」と考えていました(なお、海外の作品を主体に読んでいた媒体は小説のみで、漫画やゲームなどは日本の作品が中心でした)。
そのような自分に対し"ライトノベル"というジャンルの魅力を再確認(私自身の"ライトノベル"というジャンルに対する"食わず嫌い"だった部分も含めて)できたのが細音啓先生の作品「氷結鏡界のエデン」シリーズでした(ただし、海外の小説を読んでいたことで得られたことも結構あったので、一概に良かった・悪かったと断じることは難しいと思います)。

3.not for me

「氷結鏡界のエデン」シリーズはなぜ面白いと思ったのか?を考える中で、自分の触れてきたこれまでの作品について振り返りを行い、"作品のどこが良かったのか"、"自分と合う作品(または、合わない作品)に共通点はあるのか?"といったことを色々と考える中で、"not for me"という言葉に出会いました。

not for meとは、「私向きではない」「自分には合わない」ことを示す言葉である。

ニコニコ大百科のnot for meの概要欄より

"not for me"という言葉は、主観を軸にした場合の作品の評価に関わってくると考えています。そして、主観が関わってくるため、どのような作品であったとしても、自分にとっての"not for me"になる可能性はあると考えられます。そして、自分にとって"not for me"だということは自分と作品の相性の問題であり、作品の批判にあたらないと考えています(ただし、主観と客観を切り分ける思考が出来ることが前提です。この辺りの切り分けが出来ないと、「自分に合わない→駄目な作品」という思考になってしまう危険があると思います)。そして、色々と考えた結果として、自分が過去に読んだ作品で合わなかった作品に関しては、「その作品は自分にとっての"not for me"だったから」で説明できることに気がつきました。そして、小説にせよ、漫画にせよ、その他の媒体の作品にせよ、ある程度広いジャンル(このnoteのケースであれば"ライトノベル"が該当します)であれば、特定の作家が合わない場合、その作家が自分にとっての"not for me"だから合わないという可能性があり、同じジャンルの他の作家の作品は、必ずしも"not for me"とはならないことに気がつきました。
更に、小説にせよ、漫画にせよ、作品は数多くあるので、特定の作品が自分にとって"not for me"であることに気がついたのであれば、"not for me"な作品にはこだわらず、他の作品に触れた方がプラスになるということに気がつきました。

「氷結鏡界のエデン」シリーズを読んだことをきっかけに、以上のような気づきを得ることができたことから、自分の(価値観などの変化を含めて)転機となった、という点で私の中で重要な作家であると考えています(なお、その気づきを得られて以降、読む小説のジャンルの幅も広がりました)。

4.関連項目

細音啓

氷結鏡界のエデン

not for me


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