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素人が新規ゲーム企画書を作ってみた時の話(原本つき)

■はじめに

 こんにちは。花倉みだれです。
 今回は、転職活動にあたってエージェントから求められて作ってみた新規ゲーム企画書の原本を添付しつつ、振り返っていきたいと思います。

 似たような形で書いた記事として「モンスト」の提案書を書いてみたときの話がありますが、エージェント様は別の方です。時期は同じくらい(半年~一年前くらい)です。
 かかった時間は2日間(1稿に1日、ブラッシュアップに1日。人日計算でどうかはちょっと記憶が曖昧……)だったと思います。
 例によって転職活動としての結果は振るわなかったので良いサンプルとはなるわけではありませんが、それはそれで(悪いサンプルや自己肯定感の根拠など)アップロードすることに価値がないとは思わないので思い切ります。自分としても、過去をしっかり見つめ直して次はコレ以上のクオリティにするのだという気持ちを新たにする場としたいと考えています。

■オーダー

 いわゆる「なんでも屋」的なポジションとして、肩書きが「プランナー」ではありましたが新規タイトルの企画書など書いたことはありません。
 とはいえ、売り込むにあたって機密に絡まない形でドキュメント作成能力を見たい・見せたいというエージェント様の気持ちはわかります。泣きごと漏らす暇があるならワンチャンス書いてみるほかありません。
 エージェント様からのオーダーは「マネタイズについての記載があること」でした。
 とはいえ、タイトルレベルでのマネタイズがどうこうといったところに対しての知見は正直ちょっと持っていません(業務経験的には、運用中のサービスで、施策や商品ごとに考えるレベルでした)。制作とプロモーションにかける工数、見込まれる売上、運用効果、ランニングコスト、リスク……などを盛り込んだ「プロデューサー的企画書」を作ることを求められるとかなり厳しい。この辺りも正直にお伝えしたところ「フリーテーマすぎると商業的視点に欠けるきらいがあるので、儲けようという意識が見えるだけでとりあえずいい(欲を言えば世間のタイトルのマネタイズに対する意識が見えればいい)」といった返答を頂きました。なるほど……。

 直近で読んだねじお様の記事「プランナー志望の方向け/ゲーム企画書を手探りで作る前に一度見てほしい話」の中で『学生さんの企画書(中略)僕の考えた僕が最強におもしろいゲーム」になっているケースが有ります。』という言葉があったので、採用担当的には実感を伴ったお話なのかなと思います。
 もらいたくないタイプのドキュメントを回避するようにある程度事前に誘導した形で要求され、やりとりがしっかりできたので信頼できるエージェント様だったな、と今となっては思います……(時系列的には「モンスト」について書いたときのほうが後ですが、比較すると色々……)。
 あとは即日というほどではなかったものの、なる早でというところも条件としてはありました。練り練ることは得策ではありません。

■とりあえず書く

 あまり時間をかけるのも状況的に得策でもなかったのでやはりスピード感は大事です。
 あまり体系だって「こういうゲームを作りたい!」とタイトルレベルで考えることがこの時点ではなかったので、ネタのストックもありません。
 一人ブレーンストーミングを必死に行おうとしますが、私の中の私がブレストの禁忌「否定的意見」をすぐ出してきます。そんなの既にあるじゃないか、と。他人とブレストする分にはそうそう否定的意見は出さないのですが、一人だとなかなか難しい……。

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『渦巻く知識(英版:Brainstorm)』マジック:ザ・ギャザリングより

 結果的に否定的自分をすり抜けて「パワプロっぽい構成のRPG」「ネットゲームのサクラとして運営を盛り上げていくSLG」「『かまいたちの夜』的な即死系ノベルゲーム」の3つがなんとか生き残りました。
 どれが転職的にモチーフとして良いかということもわからなかったので、とりあえずざっくりと、思いつくままに体裁を整えず書くだけ書いてどれをブラッシュアップするべきか判断を仰ぎました(今思うと少々頼り過ぎかもしれませんね……)。
 結果的には「『かまいたちの夜』的な即死系ノベルゲーム」をブラッシュアップするようにと言われます。

■「『かまいたちの夜』的な即死系ノベルゲーム」(1稿) 

 ※スライドについてはざっくり流してください

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 ブラッシュアップするにあたって改善点として捉えたのは以下のあたりでした。

・全体的にちょっと寂しい(体裁の問題)
・マネタイズ面書いてなかった。
・シナリオとキャラクターはいらない。

 「シナリオとキャラクターなどの世界観系がいらない」というのは、 これまた現職プランナーの「仕様です。」様の記事「ゲームの企画書にシナリオや世界観を書く前に知っておいてほしいこと」内に学生さんの企画書を読ませてもらう機会も増えました。(中略)かなり気合の入った世界観説明やキャラクター設定が書かれたページです。実はこういったページって、採用面でプラスの評価をもたらすことはめったに無い』ということが書かれていたので判断としては間違いではなかったようでよかったです。
 ただ、自分の脳内のイメージを固めるという1稿としては書いてよかったかなとも思っています。この辺りは「誰向けに書くものか」というところを都度都度意識する必要性なのかな(自分向け1稿なら必要だが企業向けと考えるといらない)と今になって思ったりしています。


■「『かまいたちの夜』的な即死系ノベルゲーム」(第2稿=決定稿) 

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 1稿で捉えた改善点についてはそれなりに意識できたのかなと思っています。本来的には一発でそういう意識が出てくるとよいのでしょうが、このあたりは経験値の低さも露呈してしまったところかもしれません。
 一人で完結する制作を行う時にドキュメントをどれくらい作るかというのは難しい課題(小説や漫画でもプロット・ネームを掌編なら作らず書いちゃうということもありそうですし)でもありますが、課題として出されなくとも自身でこういったドキュメントを作ることはしていきたいですね。「新規タイトルの企画書」はこの時が書くのは初めてでしたが、いい経験になりました。難しいですが面白いものだな、とは思います。
 そもそもしっかりと面白そうなアイデアを思いつければ難易度も下がるのでしょうし、見せ方で面白そうに見せる方法もまだまだあると思います。どちらも出来る人の凄さは改めて痛感しました。
 「ゲームプランナー入門」という本を結構参考にしてブラッシュアップは行いました。(参考にしてこれ、というのが書籍の評価として必ずしも良いことになるかどうかは不安ですが……)

■※おまけ ブラッシュアップ前にボツになった企画書

 ボツになった理由と、原本をそれぞれ貼り付けてみます。
 参考までに。そのとおりだなと思うばかりです。よく読んでくれててすごいなと思います……。
 結果的に力になれなかったのが申し訳なく感じます。

●パワプロっぽい構成のRPGの企画書(ボツ)

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 これに関しては「それってしゃちバト(社長! バトルの時間です!)」ですよね」と言われてぐうの音も出ませんでした。まさしくそうでした。
 完全に守備範囲から漏れてしまっていたので反省するばかりです。 

●ネットゲームのサクラとして運営を盛り上げていくSLG(ボツ)

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 こちらは「メタ的な設定とゲームデザインが噛み合っていて個人的には面白く感じるし、学生の企画コンペとかであればブラッシュアップすれば悪くない評価を受けるかもしれないが、商業的視点(制作可能性)がやや欠けている印象で転職活動の資料としては推しにくい」というような評価でした。
 一通り褒めてからボツの理由教えてくれる優しさに涙しつつ、確かにそうだなと思うばかりです。

■終わりに

 プロでもなんでもない人間が書いた新規タイトルの企画書、という参考値としては低そうな記事をここまでご覧になっていただきありがとうございます。
 noteは「クリエイターを応援する」というコンセプトを推していますし、クオリティに関わらずアップロードすることに対して肯定的であると感じています。色々なレイヤーの方が惜しまず発表することで、凄い方の凄さが際立つわけでもありますし、確かにそういったプラットフォームは必要と言えるでしょう。
 私のこの記事がそういった理念の一端を担えていれば幸いです。
 noteには企画書の書き方や注意点などを記事としている方も多くいらっしゃいますし、そういったものも適宜参考にしながら、これからもっとうまく作れるようになれればよいな、と思います。


※言い訳
「かまいたちの夜(及び2)」にフラグ管理が全くないわけではないことはプレイしたこともあるので理解しています。この記事内では「選択直後にバッドエンドになる(こともある)」という特徴を「かまいたちの夜的」としています。ギャルゲーで即死はあまりないので……。

お気持ちを形にして頂けることは大変光栄で、勿体ないながら大いに感謝いたします。いつもよりちょっとおいしい飲み物や食べ物を頂きますね。