【ゲーム紹介記事】『Squirrel Board』(unity1weekより)
■はじめに
こんにちは、ゲーム制作サークル「ほんわかふわふわ」代表、花倉みだれです。
直近では「unity1週間ゲームジャム(お題:ためる)」に参加しています。
結果発表は明日なのですが、結果発表前に個人的オススメゲームを最近は書いていました。
今回は趣向を変えて、1つの作品についてご紹介できればと考えています。
■紹介するゲームは「Squirrel Board」です
それがこちらです。
しゅんてさんと青木ととさんのお2人で制作された『Squirrel Board』です。
■unity1weekに数回参加して感じていること
私自身がunity1weekに参加したのが5回目(あける、回、2、そろえる、今回)なのですが、その度色々な人のゲームを遊んでいて、いわゆる「常連」的な方の作家性を感じることが増えてきました。
その点今回紹介するゲームの製作者であるお2人にも印象があります。
しゅんてさんは度々覇者となっている超強豪で、ととさんも上位常連と凄まじい強者ですからね。
■しゅんてさんに対する印象
しゅんてさんのゲームはジャンルなどは色々なのですが、総じて短くわかりやすいサイクルで満足感があるオリジナリティが高いゲームが多いという印象です。
ご本人もノウハウとして色々言語化して認識していて、かなり確信的にツボを突いてきています。
特に、自作の楽曲とのシナジーたっぷりなエモーショナルな展開(最後のふたり、Keep in step with you)を交えた2Dゲームが印象的ですね。
■青木ととさんに対する印象
ととさんがunityroomで公開されているゲームは全部遊びました。
ととさんのゲームに共通して目立つのはデザインの秀逸さです。
サムネイルの印象などパッと見メチャクチャオシャレなうえ、遊んでみると遊び方に迷うゲームが一切ないのですよね。
どういうことを伝えて、どういう遊び方をさせたいか……そういう企画的な地力の高さと、それを伝えるデザイン・実装力の高さが凄まじくて、どれも遊んで楽しくて本当にすごいなと思っています。
個人的にはこれまでの中では「GOOLF!」が一番好きです。
GOOLF! タイトル画面
■「Squirrel Board」の紹介
そんなお2人が作られた「Squirrel Board」は「既定のターンの中で得点となるアイテムを取得して本拠地に戻る」を繰り返してスコアを稼ぐタクティカルボードゲーム……といったジャンルになっています。
モチーフとしているのは冬眠前のリス。
「どんぐりを集めて冬支度をする」のが目的であると端的に導入されます。
可愛らしい世界観でありながら、やや毒のあるキャラクターが目を引きます。
ととさん、しゅんてさんのゲームはそれぞれ丁寧な導入が一つ安定して目につく長所であると思っていますが、本ゲームでもそれは健在です。
ちょっと毒のあるキャラクターだからこそか、メタ的な台詞を聞いてもそれほど違和感はありません。
紹介記事……と言いながらスクショ張りまくって言葉少ななのは、それだけ本編内で過不足なく導入してくれるからにほかありません。
①ダイスを振る
②どんぐりのマスへ向かう
③本拠地へ戻る
④レベルアップしたらステータスを振り直す
の繰り返しを行うゲームです。
スコアはこの持ち帰ったどんぐりの種類と数によって決まります。
システムそのものはそんな感じで単純に理解できるのですが、
その中に色々な駆け引きが詰め込まれているのが本作の特徴ですね。
●駆け引き①スピード( ターン / げんき / たべる)
ダイスの出た目の分だけマスを自由に進めるゲーム性ではあるのですが、持ち帰ると得点になるどんぐりを回収すればするほど移動距離が短くなる(スピードが落ちる)という要素があります。
スピードが×0.5だと6を出しても3マスしか進めない……といった感じですね。
(ほおぶくろに入れているからスピードが落ちる、という設定も馴染み良くて好きです)
一方で「げんき」が0の状態で本拠地に戻れていないと貯めていたアイテムがロストするというデメリットが強烈にのしかかってきます。
なるべくめいいっぱい効率よくためこんでから帰りたいところなのですが、帰れなかったら全部無駄……という点との葛藤が生まれるわけですね。
一方で、このスピードはためたアイテムを消費(たべる)することで回復することができます。
当然、食べたら持ち帰ることもできないので、どのタイミングで帰るか、安全を見越してスピードを担保するために消費するか……といった駆け引きを求められます。
ゲームが進むと特殊効果をもったどんぐりも出てきて、なおのこと戦略性が増しますね。
●駆け引き②レベルアップボーナス
本拠地に戻った際、レベルアップした時に能力アップを行うことができます。
この3択のチョイスがなかなか悩ましい。
どれも欲しい……! と心底思うようなものの中から選ばされるので、難しさがあります。
自分の戦略に応じた選択が求められる感じですね。
●豊富なエンディング! 熾烈なランキング!
そんな感じで短いゲームサイクルに色々な葛藤が詰め込まれた本作ですが、なんとエンディングが13種類も用意されています。
ランキングも当然用意されていて、なかなか異次元な戦いを垣間見ることができます(私はぜんぜんかないません)。
■まとめ
シンプルで丁寧なゲーム性やデザインは製作者お2人の高い水準を踏襲し、かつやりこみ要素もたっぷりで可愛らしいゲーム。
それが『Squirrel Board』である……と私は思っています。
今回のunity1weekの中でもトップクラスの完成度だということは胸を張って保障します。特にゲームジャムということを考慮せずとも普通におもしろいので、ぜひ遊んでみてください……!
そしてこのお2人のゲーム、他のも全部面白いのでその流れのまま遊んでみるのもいいかなと思いますよ……!
お気持ちを形にして頂けることは大変光栄で、勿体ないながら大いに感謝いたします。いつもよりちょっとおいしい飲み物や食べ物を頂きますね。