クリアするはずじゃなかった。その2

その1
・初めてのループまで

 その日はそのまま(ちょっとだけ先に行ってMicaに探査機の操作技術を大いに心配されながら)終了。おもむろにブラウザを立ち上げる。
「ゲームパッド おすすめ 価格」

 あれマウスで操作できる人いんの?!!!?! いやいるよねあたりまえだけどいるだろうけど私は絶対に完璧に圧倒的に無理でしかなかった。一度たりともまともに着陸しなかった。
 かくて世界の滅亡を防ぐ役目をもって任じた私の最初のミッションはヨドバシでのゲームパッド購入になったわけだが、ゲームパッドの価格帯ってなんであんなにばらつきがあるんだ…慄きながら会社帰りに実店舗に向かう。
 ありがとうヨドバシの店員さん要領を得ない客でごめんな…。どっちが使いやすいかなんてわかんないよね…。
 帰ってからもコンフィグがおかしいとかなんとかtwitterに泣き言入れつつ四苦八苦しながらどうにか接続。

 そしてOuter Wilds(やっと、なんとか、どうにか、本当の)開始。

 ゲームパッドすごいね…人間工学…。何年振りだかで手にしたけど、しみじみと、しみじみと感動した。
 視界も動きも思い通りだよえらい。とりあえず見える限り自分の姿を確認…足下くらいだけど意外とひょろりとしている。鏡はないのか鏡は。
 ってつぶやいていたら方法あるよって教えていただいてかなり先になってだけど見られた。
 自分の姿を確認することができたのとても楽しかったので見てない人がいたらおすすめしたい。

 さてあらためてSlateに話を聞く。
 私は新米宇宙飛行士で本日初単独飛行。探査艇打ち上げには発射コードが必要。星系各地には先輩がいるけどMIAがひとり。
 出かける前に知人に挨拶もしなくてはいけないし、どうやら教官も待ってるようだ。
 情報を集めなおす頃には夜が明けていた。まずはHornfelsに会いに行こう。昨日一回も成功しなかった模型探査艇の間欠泉着陸を決めてご機嫌で坂道を降りた先。

 うわーーーむらーーーー!わたしここにすむーーーー!!!
 ウィンダスにも(気持ちだけは)住所あるけど、ここにも住民票置くーーーー!!!

画像1

 木で出来た素朴な村と宇宙探索と、ギャップがあるのに馴染むこのデザインがたまらない。
 坂道降りて日に照らされてる光景見るのがほんと好き。

 あちこちにある面白そうなものに後ろ髪をひかれつつ、とにかく発射コードをもらいに観測所へ。

画像3

 入り口ホールの左右にはどこかの星に立てられた旗…恐らく最初の宇宙飛行か。反対側にあるのがオリジナルの四人組。ちなみにサインはひとり多い。Eskerのサイン。
 写真自体はOuter Wilds Adventuresが立ち上がる前だと思うんだよ。旗のマークないし。
 そんで本格的な探査を始めるために観測所兼博物館を建てて、月面基地を作るために新人(Esker)が入って、って頃ではないかなあ。
 文字にも性格出るのがおかしい。隅っこかつ丁寧な字がEskerっぽい。ていうかFeldspar…この傍若無人なサイン…w
 右下のはたぶん謝辞。

 それからホールの真ん中に据えられた三つ目の羊…か山羊のようなこれがNomaiかなるほど。その前に立っているのがHal。親友かつNomai翻訳機の作成仲間とな。そのあとにして、さて、一歩中へ。

画像2

 あっ、ここ好きなやつ…。
 なんだこの世界。わしが好きなものしか詰まってねえぞ…?

 1F博物館で2F観測所とか住み込みたい。
 この2F行って星系図見た時リアルで声が出た。船の星系図はそれほどでもないんだけど、ここの星系図は最初に木の炉辺のこの場所から視線が上空に上りながら視界が広がっていくのがとても良い…。

 Hornfelsに発射コードを無事にもらえたので、博物館の展示物を見て回る。
 入り口の写真に彫像にもわくわくしたけど、展示物も良い。この時点で上がったテンションが帰ってくる気配はまったくない。
 目を離すと消える奇妙な石、勝手に動く石、重力を捻じ曲げる水晶、アンコウのような謎生物、先住民の骨、星の一生、先輩宇宙飛行士たちが撮ったであろう写真。
 なによりNomaiのメモ!翻訳機!解読!!!!
 文字の人は文字が読めるだけでテンションが上がる。お手軽。

 この翻訳機、日本語版だとあーなんかうごいてるなーって表示でしかないんだけど、英語版だと文字がちきちきちき…って順番に入れ替わって正しい文章になっていくのですごく解読中って感じでうらやましい。

 あとNomaiのチャットウォール、このあともあちこちに出てくるんだけど渦巻きの伸び方が昔懐かしいツリー式BBSを彷彿とさせて大変Nomaiへの好感度があがりますね…。

 翻訳で思い出したので脱線だけどEscallの神隠し、あれ原文だとDisappearanceで、そこ神隠しって訳しちゃだめだろうよ…と。
 神の概念あるのかNomai!って思ってどんな文章なのかと原文確かめに行ったらちがった。宗教については科学を信奉してるけど宇宙の眼を信仰してる感じでもあるし、中々面白い。Solnumのメモを追っていくと顕著だけど、時期で変わっていくあたりが良く見える。

 この博物館攻略の助けになる情報もかなりあるんだが、いやもうこの時点で攻略とか割とどうでもよくなった。探索してるうちにクリアができればまあいいか、みたいな。
 あーでも20分しか探索できないんだよな、クリアした後にエンドレスで探索とか出来るようになったらいいなーとかのんきに考えていたんだ私は。
 
 展示物もざっくり見るだけ見て説明読んで、これで宇宙に出る準備が整ったな…と思って出口に向かったところでNomaiの彫像が!ぎぎって!こっち見んな!えっなになんか場面がいっぱい…なんだこれ記憶…吸い取ってる…? 変な仮面らしきもの、三つ目だからNomaiっぽい、に向かって光る線が走る。この線どう見てもNomai文字だぞ。多分これがループの結び目か…?
「太陽系消滅までの22分をループ」っていう知識をプレイヤーの方の私は持っている。
 ということはこの彫像を発掘したところも行かないとならない。つまり当面の目的地はNomaiのメモに書かれていたアトルロックとGabbroを追って巨人の大海。

 途中で親友のはずのHalに頭の方を心配されたりしながら、とりあえずまず一回空飛んでみるしかないなと発射場に。ぐるっと村一周して戻ってくるコースになってる。
 コードは自動的にリフトに入力されて、我が相棒たる探査艇に乗り込む。

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 良い…木製…木製宇宙船…。
 ものすごいお役立ちだった丁寧親切な注意書き。誰が描いたんだ。手描きか。かわいいか。

 宇宙服着用着座シートベルト指差し確認。ぼーんと飛び上がって周囲の目的地を探している間に高度が下がって転がる。なるほど理解した。
 再び上昇。高度を取ってからとりあえず宇宙を彷徨う。そして目についた惑星を追いかけて…追いつかない…。燃料はあるっぽいからいいけど、そうか対象は円軌道なんだからこっちが直線で動けば追いつけるはずだなええとこっち向きかなおっ距離縮んだ相対速度も上がってるからこのまま進んでって…あれ視界がなんか白い、えっ、なに、なにがおきたあっえっ死んだ?!!!??走馬燈----ーーーー!!!!

ブッハァ!

 今考えるとあれはたぶん結構なスピードで太陽に突っ込んだんだと思われる。その時はひたすらびっくりしていた。
 がばあっ!って感じで起き上がって目の前のSlateに話しかける。
 と、会話内容が変わっている。プレイヤーの自分だけではなくキャラクターの自分にもこのループ自覚があるとわかった時の一体感とかね…これはもう他のメディアじゃ出来んよなあ…と。

 まあその分辛い怖いも襲ってくるわけで。
 宇宙コワイからちょっと地元を先に探索することにする。
 
(たぶん続く)
→続いた

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