もうひとり産んで下さい!
三歳の息子が幼稚園に入園し、一歳の娘との時間にやっと余裕ができた頃。
夫が
「三人目、欲しいよね。」
ふたりを遊ばせながら、さりげなく言った。
一瞬、返事に困った。
たしかに二人とも可愛い盛りだ。
息子と娘のやりとりを見ていると子どもは何人いてもいいと思う。
けど、産んで育てるのは私ですけど…
言葉にはしなかったが、正直な気持ち。
当時は専業主婦だったので、当然ながら朝から晩まで子どもとずーっと一緒。
当時、夫は土日も仕事という事もたまにだが、あった。
お風呂なんかもウィークデーはひとりで入れることが多く、一人を洗っていたら、湯船でもう一人が溺れかける…なんて事も一度や二度じゃない。
毎日必死だった。
私ひとりで真っ裸のまま、子どもたちを着替えさせたりしている姿は、たとえ夫でも見せられない。(いや、見たくもないだろうが…😅)
公園デビューさながらにご近所ママさん達と子連れでお付き合いするのも結構大変。
なんだかんだ、楽しいけど、やっと息子が幼稚園に慣れたというのに…という気持ちと
私にもホッとする時間が欲しい!
そんな時期だった。
「ちょっと今は自信ない。」
「気持ちに余裕がないし…」
直ぐには、夫の気持ちを受け入れることができず、三人目はまだ考えられなかった。
一人目も二人目も、我が家は計画出産。
ありがたいことにそろそろ欲しいなぁ〜と思って夫婦が力をそろえるとだいたい神様も協力してくれた。
当時は自分の妹が妊活していた。
思うように妊娠できず、病院にも行っていた頃。
妹の旦那さんが行けない時は、付き添って他県の病院まで行ったこともある。
待合室には、スーツケース片手にはるばる遠方から名医を求め訪ねてくる人たちの姿。
自分が知っている産婦人科とは全く雰囲気が違った。
妊娠というのは、実に神秘の世界なのだ…
夫の三人目が欲しいという希望は、じっくりあたためながら時が過ぎた。
しばらくして夫から
「できる限り協力するからもう一人産んで下さい!」
と、土下座までして訴えられたことがあった。
夫は兄弟二人。
私は姉妹二人。
正直、私も憧れていた。
三人いたら賑やかだろうなぁ。そんな思いでいたけど、育てるにはお金がかかるし、お家も広いところじゃないと…といろんな不安が先に立つ。
マイホームのことも、二人目と三人目の間をあけたらどうか、とか…
夫婦で話し合い、ようやくふたりの気持ちが歩み寄り、数年後、三人目を計画することになった。
私は夏の出産を希望した。
なぜなら、娘が夏に生まれて育てやすかったから。
息子の時は夜中の授乳が寒くて辛かったが、娘の時は、夜中の授乳も楽だった。
家族が増えたら旅行に行けなくなるから今のうちに!とディズニーランド旅行を夫が計画した。お隣さんと一緒ならなお楽しいよね。旅行計画はとんとん拍子に進んだ。
子どもたちの喜びようは予想以上。
お友達家族と一緒という事も飛行機✈️に乗るという事も何もかも初体験だったから。
行く前から私もワクワクしていたが、なんとなくひとつだけ引っかかっていたことがあった。
月のものが遅れている事。
夫には黙っていた。
二泊三日の旅行は、ハプニングあり笑いありの楽しいものになった。クリスマスシーズンだったので限定物のグッズも買えたし、パレードもクリスマス一色🎄当時のビデオを何度観ても飽きない。みんなの幸せそうな顔を見ているとやっぱり行って良かった!と思う。予想以上に自分がはしゃいでしまった😊
無事に帰って来てから、胸に引っかかっている事を夫に打ち明けた。
「えっ!ほんとに!飛行機なんか乗って大丈夫だった??」
予想通りのリアクション。
で、さらに
「ちょっと行ってくる!」
ど、どこへ???
「検査薬、買ってくるよ!」
そう来るか!とさらに驚いた。
夜の8時前。
そのまま夫は近所の薬局に走った。
私の引っかかりは、現実のものとなった。検査薬の印を見た時の夫の喜びようは、この私が引くほどだった。
夫がすかさず、
「嬉しくないの??」
いやいや、あなたのリアクションに驚いているだけ…
その時、三人目の感動は、後からじわじわくるもんだとわかった。
母となる身は、瞬時にこれからの事を頭に浮かべざるを得ない。
やはり、三人目は体力がいる。妊娠中、無理をし過ぎて切迫早産寸前だった。結局、1ヶ月半もの間、入院生活を強いられた…
息子と娘にも寂しい思いをさせてしまった。
じいちゃん、ばあちゃんも協力してくれたおかげで何とか乗り切った。
三番目は、予定日よりずいぶん早く出てきた。しかも、娘と一緒の誕生日。
で、さらに夫に似ている男の子。
成長と共にますます夫に似てきた。
顔も骨格も血液型も。おまけに鼻くそを丸める癖までそっくり!
何でそんな癖まで似るんだろう。
先日、アルバムを整理していて驚いた!
大学時代の夫の写真…今の息子にそっくり。
瓜と瓜。瓜二つ‼️
親子って不思議です。
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