私のシェイクスピア/オデッサ感想

三谷幸喜さんの最新作、Odessa(オデッサ)を観た。本当に本当に三谷幸喜さんは大好きな脚本家で、最速先行の頃から心待ちにしていた。
結論、めちゃくちゃ面白かった。三谷幸喜らしい言葉遊びの笑いが随所に散りばめられていた。彼の作品の笑いは初見を必要としない完成度ではあるが、なるべく洒落についてはネタバレを控えたいと思う。

舞台はオデッサ。
英語話者のアメリカ人女性警部、日本語話者の男性容疑者、その二人の通訳として呼ばれたバイリンガルの青年、3人が織りなす言語喜劇である。

通訳をする青年の匙加減一つで、警部と容疑者の会話は巧みに操られ、すれ違い、そして事件の真相が徐々に明かされていく。

言語や文化によるギャップやあるあるを使ったアンジャッシュコント的な笑いがテーマだ。

上演前は英語を話している体裁で日本語を話すのかな〜なんて甘いことを思っていたが、なんと、しっかり英語劇!
警部も青年も容疑者を前に話すときは英語で会話し、後ろのスクリーンに日本語訳が映し出される演出だった。

それもこの字幕、ただの字幕ではない。この字幕も演出のひとつとして、観客に笑いをもたらす仕掛けが施されていた。

面白いのに、ふと言葉や生まれた国、人種、そういったものについて訴えかけられる。でもまたすぐに笑いに戻る。そんな塩梅が私はとても好きです。

いま何度も誰かによって上演され、パロディになったり手が加えられたり、役者を変えて何度も演じられている作品があるわけだが、三谷さんの作品もそうなってくれないかなあとつい願ってしまった。
シェイクスピアみたいに。何十年、何百年と経っても、上演してほしい。

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