サッカーの巧さとは?
指導者の立場で
第2回 巧いの本質
自分が所属しているチームは技術を重んじたクラブで入団当初(~卒団まで)、足りない所が多々あれど伸び代を感じる選手を預かり、伸び代を消さず引き伸ばすことを努めて次世代へ受け渡しをさせていただいております。
(まぁ技術を重んじていないチームはないとおもいますが自チームはその傾倒が強いです)
今回はその現場で経験していることを1つ。
※匿名で執筆している自分の言葉は信憑性が薄くなりますが、一応実体験としては指導に携わった選手にはJリーガー、海外でのプロもいます。
(本人の努力と次のカテゴリーの方々のおかげでもあることは当然のことです)
基本的に時間の差はあれど何処の国、チーム、スクールでも相手のいない練習はしていると思います。
自チームではそれ系の練習が練習の3/2を占めることもしばしばあり、よく質問や批判的なご意見も頂きます。
リフティング。
コーンドリブル(フリードリブル)
ボールタッチ。
対面パス等
俗にいう基礎練習と括られるこの練習ですがこれが(これを)出来ることがサッカーの巧さに繋がるか?というと自分的には極論
目的(意図)による&メリットとデメリットの理解によると思います。
また、そもそも【サッカーの巧い】とは
味方が頼りになる選手又は相手が怖がる(嫌がる)選手
のことを指すと思うのです。
ドリブル下手だけど必ず得点にからむFW
リフティング下手だけど空中戦に負けないDF
パス下手だけど誰よりも運動量があるMF
トラップ下手だけどパントキック正確なGK
上記のどの選手も状況によっては試合で味方の頼りになり相手にとっては怖い選手になります。
そう考えるとその一部の技術が巧いから巧い選手なのではなく、技術的な練習をする意味はその巧さが選手の強味と弱味、チームの思想や特徴どれにアプローチしている物なのか?が重要だと思うのです。
※要するに批判されると技術練習の1つを切り取ってそれが【意味ない】【必要ない】と捉えることが出来るわけがないでしょ?と感じてしまいます。
例えばリフティングでサッカーの運動量を上げることは効率的とはいえませんが、サッカーの特性上おきる動き、身体を調整する能力を向上させるのであれば効率が良いと思います。
ここでご質問、ご批判頂く内容を2つ紹介
Q①試合中はリフティングのような浮かせた状況を続けることはない
A①続けることに(落とさないことに)意味があるのではなく、その状況を経験しておくことでその場面がおとずれたとき思考を停止しない+違うことに(味方、相手、スペース)に意識を向けられるようにしたいので【敢えて】浮かせて練習しているのです。
Q②サッカーの試合で相手のいない状況はない
A②その通りです。ですが相手がある状態でおきる結果は複雑な要素が伴う為
(判断、環境、相手の実力等)
単純にその動きが出来ないからくることか見極めることが難しいです。相手がいないメリットは失敗の原因、成功の要因について運の要素を(相手の実力に左右されることも含む)限りなく無くすことが出来ることなので。
また、判断の要素が少なければ動きに意識を向けることが出来るので指導者、選手お互いに結果の要因と原因を思考し、経験することが出来ます。
※意識し行動~結果が(成功に向かっていれば失敗しても問題はない)経験値の量を上げます。言い換えれば意識を向けない練習ではそこに変化をおこすことが出来ず同じ失敗を繰り返します。指導者の叱咤も称賛も思考を停止させたら選手の経験値を奪うことに繋がります
(個人的には称賛の方が気を付けて行う必要があると思っていますが…)
その他、ご質問やご批判頂く内容は多々ありますが長くなるのでまたの機会に。
最後に練習を行う際に気を配る必要があることを3つに整理します。
①なぜその練習をするのか?
②その練習でプラスになることは?
③その練習でマイナスになることは?
この3つになるかと。
※持論ですが、どんな練習にも効能と副作用があり全てにおいて100%効く練習はないと思っています。また練習の組み合わせも同様で効果がより出る組み合わせを持つ為に練習の終わりを(試合で終わるなら試合で出てほしい現象、練習試合、公式戦から出た課題)逆算して練習を組み立てます。
どんな練習も意図なく、選手が作業の1つとなれば効果はありません。寧ろ同じエラーの繰り返しや成功の繰り返しはメンタル面も含めてマイナス面が大きくなるかと思います。
(但し動きについては、最終的に思考をそこに向けなくても正しい動きが出来ることは重要です)
例えば1人でのリフティングを何故行うのか?
何を経験をさせたいのか?
・何故?
試合中ボールに集中してしまい、状況に意識が向いていない。地面でボールを扱うより誤魔化しがきかず、希望する結果を成立させる動きが難しく、動きに意識を向けなければ成功しにくい為。
・プラスになること
①選手、指導者共に自分(その選手)の動きの良し悪しに集中出来ること
②設定によって成功を実感しやすいこと
③試合では経験しにくいが、必要(起こる)動きを経験出来ること
・マイナスになること
①判断を伴いにくい
(相手がいない、ボールを扱うことを目的としてしまいやすい)
②物理的接触がない
③単純な動作の繰り返しの為、作業(結果について思考しない状況)になりやすく楽しみにくい。
以上を踏まえて練習が必要かを決断します。
また、更に内容を深掘りすると
落とさないこと触る場所や方向を限定することで何を身体に経験させたいのか?
あえて落とすことで何を身体に経験させたいのか?
リフティング練習で養い辛いことをそれで養うには?
など思考すると意図の深さは無限大になります。
選手の状態が分からないので詳しい練習の提示は出来ませんが、上記を考えた上で行う練習は必ず意味を持ってくるので必要であれば行って下さい。
※余談ですが、自分が尊敬する指導者の方は
【その練習で選手が意識して行うこと(表の意図)とそれ以外の所も伸ばせる(裏の意図)を持って指導を行えるかが指導者の腕】だと言っていました。
どんな練習がいいか気にしてるウチは指導者失格とも💦なのでそのお話を聞いてからは自分も【表裏の意図】を持って練習を行っています。
自分の経験が他者様の思考に活きたら幸いです。
今回はこの辺で。凡人になりたい。
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